- Amazon.co.jp ・本 (360ページ)
- / ISBN・EAN: 9784781619187
感想・レビュー・書評
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1976年から2016年まで約40年間、少年
ジャンプで連載された「こち亀」。
ギャク漫画というジャンルでくくられてし
まいますが、内容はその時代時代の世相が
反映されていて、当時の流行や生活スタイ
ルを知ることができる一種の学術的な要素
も併せ持っています。
この本では、そんな要素を浮世絵と同格に
とらえています。
現代の日本は浮世絵を通して江戸時代の生
活用式を知ることができます。それと同じ
です。
今では「サブカルチャー」でとして地位が
確立されたアニメなどが、この40年間で
どのように扱われていったのか、スマホと
いう小型のコンピューターがどういう歴史
を経て我々の必需品となったのか、などが
「こち亀」で知ることができるのです。
昭和、平成の風俗史を振り返ることができ
る一冊です。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
いつの日にかこち亀全巻よみます!読みたくなります!
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[評価]
★★★★☆ 星4つ
[感想]
自分に取っての『こち亀』はコンビニの愛蔵版やブックオフで中古本を買って読む程度でジャンプの連載を追いかけたことは一度もなかった。
しかし、『こち亀』が様々な要素を含んだ漫画である事は理解していたつもりだったが、時代に沿うように変化してきたことは本書を読み、なるほどと納得できた。
『こち亀』が連載当時の世相を取り込んでいたことはそのとおりと思うのだが、実際に読む際は難しいことを考えずに好きな話を楽しめば良いと思ってる。 -
全部こち亀読んだことに敬意を示しつつ。
社会論みたいな感じの分析で面白い。
ポリコレ的なものは確かに酷いと思いつつも、当時の時代ではそれが普通だったという、時代が人を適合したり作るというところは、色々と考えさせられる。
こち亀をビジネス本としての評価も面白いところ。
こち亀久しぶりに読もうと思ったのだけど、新聞的であると、あえてそれを読み直すかというと、リサーチ資料みたい感じでしか読めないかなと思うので断念(笑)
こち亀40年の歴史の「まとめ」ではないのでそこは留意を。40年でどういう感じの定点観測をしてきたか、というところに重きがあるところ。
こち亀をネタにした本はいくつかはありそうだが、そういう意味ではまともな本で、なんちゃって分析ではないのが好感を持てた。 -
あとがきのあと『こち亀』社会論 稲田豊史氏
昭和から平成の世相重ねる
2020/10/3付日本経済新聞 朝刊
「『こち亀』は現代の浮世絵だ」。1976~2016年、「週刊少年ジャンプ」に一度の休載もなく連載された秋本治著「こちら葛飾区亀有公園前派出所」は、一貫して庶民の目線で、飾ることなくその時代の空気を描き続けた。「下町文化啓蒙的な役割ばかりが強調されがち」な大作を改めて読み解き、昭和~平成の日本社会を追う力作だ。
いなだ・とよし 74年愛知県生まれ。DVD業界誌編集長、書籍編集者を経てフリーの編集者・ライター。著書に『ぼくたちの離婚』『セーラームーン世代の社会論』など。
いなだ・とよし 74年愛知県生まれ。DVD業界誌編集長、書籍編集者を経てフリーの編集者・ライター。著書に『ぼくたちの離婚』『セーラームーン世代の社会論』など。
主人公の警官、両津はバブル期には地価狂乱で9億円をせしめ、90年代半ばにはパソコンを徹底的に解説、毛嫌いしたこともあるアニメなどのサブカルも00年代には存分に楽しむ。
経済、都市論、最新技術、両津のビジネス――。語るべきテーマを決めた後、所持していたコミックス全巻を読み返し、採り上げる場面をテーマごとに分類、執筆に際して該当箇所を読み返す。数カ月にわたる気の遠くなりそうな作業を経て作り上げた。「原典は200冊。そこに必ず"答え"があると思ってやり切りました」と笑う。
全盛期に600万部を誇った人気少年誌に載り続けた影響力を鑑みて、こち亀の「ポリティカル・コレクトネス(政治的な正しさ)」も検証した。90年代に至っても両津はのぞきをし、00年代でも女性警察官が「結婚のポイントは料理」といった発言をする。「糾弾する気は一切無い。それが当時の一般的な男性の感覚だったということ。ただ、自分で気づいて矯正している人はいいが、そうでない人もいるので指摘はしておかないと」
「美少女戦士セーラームーン」や「ドラえもん」を扱った過去の著書では作品ファンからの反響が大きかったが、今回は異なるという。「大学の研究者など、いわゆるホワイトカラーの人からの反響が大きい。全巻を通読している人は意外と少なくとも、子供の頃に読んだこち亀で世の中の仕組みを学んだ人にとっては、普段は意識しない精神的なインフラになっているのかな」(イースト・プレス・1700円) -
ジャンプ初登場時、まさに漫画少年(読者として)だった。ただ、当時のお目当ては『サーキットの狼』であり、ギャグ漫画系ではチャンピオンの『ガキデカ』や『マカロニほうれん荘』の印象が強い。
いつしか漫画雑誌も読まなくなり、しばしの時が過ぎたのち、幼稚園頃の子供と一緒に見たのが、国民的アニメ主人公と化した両さんだった。
それからさらに15年ほどの連載を重ね、コミック200巻をもって連載終了となる。
一度も稿を落とすことなく40年書き継がれた同作を、庶民目線という定点観測で世情を写した定点観測として、その意義を問うのが、本書の趣旨である。その主張は極めて多岐に渡るため流石にサマリーでたお伝えできないが、「両さん」になんらかの思い入れのある人なら、きっと一気読みできる内容だ。
「#『こち亀』社会論」(イースト・プレス、稲田豊史著)
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