さびしさの授業 (よりみちパン!セ)

著者 :
  • イースト・プレス
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本棚登録 : 84
感想 : 12
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  • Amazon.co.jp ・本 (146ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784781690179

作品紹介・あらすじ

自分が「生きられる」ささやかな場所をみつけるために、さびしさを手放さず、大切なものとして抱えていこう。世代問わず、すべての人に読んでほしい永遠のロングセラー。

感想・レビュー・書評

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  • 印象に残ったところ

    65ページ
    傷ついたと自覚している人間ほど、かえって、他人の苦しみに鈍感になっているところがある。自分だけが世界から虐げられていると、みずから世界に心を閉ざしがちになるからです

    あとがき
    みんなそれぞれの孤独を抱えて生きている
    だからこそ切実に誰かを求めずにいられない
    そんな気持ちがわかるだけで、他人に優しくなれるし、互いを大切にしようと思える


    余裕がない状態では、自分のことに精一杯で他人のことを思いやれない
    寂しさを埋めながら生きるには、パンパンに仕事やタスクを詰め込まず、自分と他人を思いやる時間を作る必要があると改めて認識

  • 「私」という個のあり方

     『さびしさの授業』と題してありますが、別にさびしいことについて長々と講義を受けるわけではありません。「私」という個が、世界とどのような関わりを持って、世界をどう受け取るかを考える練習のような本でした。
     人の形は人の数だけあります。自分が他人に理解されない時、自分に居場所がない時、自分の尊厳が傷つけられる時......。人はありとあらゆる機会にさびしさを感じます。この本はそんな「私」がすでにいくつもの奇跡の上に成り立っていること、を今一度明確にしてくれました。あとは、この世界とどう向き合っていくかだけ、考えていきます。

  • 正解かどうかは分からないけど、どんな人にも「この世にいていい」というメッセージを感じた。
    人間必ず寂しく感じる瞬間はあるのだし、優しく生きることを肯定してくれているような気がする。

  • 子ども向けに、漫画や映画、児童文学なんかを参考に、「寂しい」という感情との付き合い方を書いています。
    誰でも「寂しい」という感情い囚われる事ありますね。もしかしたら感じない人もいるのかもしれないけれど。
    著書の冒頭で、小学生時代にクラス全体から無視されたことが、今になっても消えない傷になっていると書いています。僕は高校時代にこれをされた事が有ります。
    泣いて喚いた方が実は問題の解決にはいいと思うのですが、無視されている事自体が恥ずかしくて、一人で居たいから一人で居るんだという態度をとるしかありませんでした。
    著者もやはり、誰にも相談なんてしたくないし、こんな事なんでもないというポーズをとったそうです。憐れまれる事が一番怖い気持ち本当に分かります。
    こればかりはされた事が無いと分からない事だろうなあと思います。
    後年その頃の友人に有った時に、その事を全く覚えていなくてショックを受けるくだりは大きく心の中で頷きました。そうなんです、された方しか覚えていないんですよね悲しい事に。だから学生時代の誰とも会いたくありません。

    大人になってくると「寂しい」という事は自分の中で発生している未精製の感情ではないかと思う事があります。もっと突き詰めていくと本当はもっと違う感情の未分化のものなのかもしれません。
    寂しいという感情に左右されている時、人は空しくなります。実際は何も失っていなくても失ったような気になる。寂しさは誰でも感じますが、それをどこかの引き出しに分類出来るようになる事が大事な気がします。
    子どもの頃はそういう分類が難しいし、逃げ場が無い事がとても多い。ひきこもりになるくらいしか無かったりすることも有るでしょう。自己肯定出来ない事で寂しさに追い込まれてしまう事も容易に想像出来ます。
    この本を手に取った子供が少しでも「寂しさ」と上手く付き合って、子供時代を無事に乗り切ってくれる事を願います。

  • 配置場所:摂枚普通図書
    請求記号:159.7||F
    資料ID:95170824

  • この本を思春期に読んでいたら少しは楽だったかもしれない。「赤毛のアン」にそういう解釈があるとは思わなかった。人生には想像力が必要なんですよね。子供って時に吃驚する位残酷になるから、もし子供の時に寂しい体験をするとその感覚は一生付きまとうのかもしれない。でも、辛い事、苦しい事を経験したからこそ他人の痛みが分かる、多角的な解釈が出来ると信じたい。そうじゃなきゃ悲しい思いをした人が報われないじゃないか。色々考えさせられた。

  • 『シックス・センス』『赤毛のアン』『X-メン』『千と千尋の神隠し』といった映画の中の主人公、そして彼らが置かれた立場を通して、孤独とは?孤独とどう向き合えばいいのか?を探っていく。ただ、なんとなく散漫としており、読みやすいようで(実際すぐに読めはする)読みにくかった(それぞれの話に関連性を求めるからダメなのかな?)。
    紹介された映画や実在の人物たちの多くは、恵まれた環境になかった人たち。でもだからこそ、他ならぬ自分の生きる意味を見出すことができるわけであり、所謂「フツウ」である方が却って自分の意味を見出しにくいという話には納得(ここら辺は5時限目:『千と千尋の神隠し』の件に詳しい)。この矛盾こそ人間の本質だとするならば、所謂"幸せ"に暮らすための秘訣は「鈍感であること」しかないように思える。でもそれは"真の幸せ"ではないだろう(考えないことは生きることを放棄しているように思えるから)。
    内なる孤独を秘めていた場合、それを「仲間と繋がる」とか「社会に訴える」とか、分かりやすい形で表すことのできない、そうした「静的な」孤独(「動的な」孤独ってなんだ、という疑問は置いておくとして…)を抱える人は、いったい自分をどう意味付けしていけばいいのだろう?動的にならない、なれない人は、ただただ怠惰なだけなのだろうか?

  • そうかも、と思うところも。でも、なんとなく「いい子」すぎてお行儀良すぎるというか、悟った大人だからこそ言えるみたいな、リアルに感じられない言葉が多い感覚…

  • 2冊目のよりみちパン!セ。サイバラ本のときも思ったけど、この本がこの本に書いてあることを切実に必要としている子ども(おとなでももちろんいいんだけど)に読まれるといいなあと心から思う。

  • 子ども達の本棚にそっと忍び込ませておいた。親も、親じゃない大人も、子どもも、皆読んだらいいと思う。

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著者プロフィール

1963年生。作家、ゲイバーのママ。慶応義塾大学法学部政治学科卒。1991 年に『プライベート・ゲイ・ライフ』にてゲイであることをカミングアウトし、90 年代のゲイ・ムーブメントに大きな影響を与える。2003年に『魔女の息子』で第40回文藝賞を受賞して小説家としてもデビュー。2013年、新宿二丁目にゲイ・ミックス・バー「A DayIn The Life」を開店。2017年、ウェブマガジン「アデイonline」を開始。

「2017年 『エッチなお仕事なぜいけないの?』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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