メロドラマ的想像力

  • 産業図書
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  • Amazon.co.jp ・本 (343ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784782801390

作品紹介・あらすじ

メロドラマこそが西洋近代文学においてもっとも重要なモードであると指摘する本書は、1976年に発表されるや、たちまち英語圏の比較文学と映画研究の分野に大きな衝撃を与え、今日では古典的批評書と呼ばれようとしている。表象ジャンルにおける高位と低位の別を問わず、現代の物語芸術を論じようとする者には、けっして避けて通ることのできない問題文脈が、ここに横たわっている。

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  •  原著は1976年。産業革命&仏革命後不安定化した社会で新たな道徳を探る物語のモードとしてメロドラマを捉える。神の秩序を背景とする悲劇に対して、メロドラマでは美徳も悪徳も人格化されている。

     メロドラマの特徴は善悪二元論的な道徳と、観客の感情を煽り立てること。メロドラマの過剰さはブルジョワイデオロギーの矛盾を露呈させながら生き抜いていくものであり、感情に物語の形を与えるものであるがゆえに過剰を旨とし、そのことが悲劇とメロドラマを分けるとする。

     後半はユゴー、バルザック「ゴリオ爺さん」、ヘンリー・ジェイムズ「鳩の翼」の緻密な作品論で、表象と意味の関係を探る内容。

     訳者の四方田犬彦は解説で、メロドラマは横断領域的なキーワードであり、漫画・映画・演劇など多様な関心を持つ人々に手にとってほしいと訴えていたが、これはぼくもそう思う。

     ぼくがこの本を手に取ったきっかけは、関肇『新聞小説の時代』(新曜社、2007)で紹介されていたことで、関は、明治30年代の「金色夜叉」「不如帰」、家庭小説など、文学的に無価値とされてきた小説をメロドラマとして再評価している。多様な研究領域でメロドラマという概念は有効な切り口となるように思うし、今後のメロドラマ研究の展開に期待したいと思う。

  • レポート書くために斜め読みしたんですがなかなか興味深かった・・・ので全部読みたいです。

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