詩のすすめ: 詩と言葉の通路 (詩の森文庫 103)

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  • 思潮社
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  • Amazon.co.jp ・本 (169ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784783720034

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  • Ⅰ部は詩の言葉の解説。詩が、言葉の持つ「ゆらぎ」をもとに心に訴えるものであることがわかる。それ故に詩は、通常の散文と違って理解しがたいが、揺らぎからくる抑えがたい感動がある。▼Ⅱ部は自作詩による解説。自作詩『生命は』ではこう記す。生物は欠如あるもので、その欠如を他者にうめてもらうことによって生命を維持できる。他人は疎ましく思えるものの、他者とのつながりの深さがないと生物は生きてゆけない。▼Ⅲ部は5人の詩人の解説。中原中也「帰郷」、高見順「私の卵」の解説は良かった。詩が作られた時の詩人の置かれた状況が理解できると、感受性の鈍い私にも詩の意味が分かる。詩が分かる人は、詩を読んでその背景や状況まで理解できる人だろう。

  • 第一部では、どのような言葉に心を惹きつけられるのか。気にかかる言葉にふれたとき、詩人である著者の心の中で、どんなふうに思いが広がっていくのか、その様子が語られています。第二部では、創作の切っ掛けになる事柄や、その意図が明かされており、そして第三部では、啄木、光太郎、中也、立原道造、高見順の詩について、著者の思い、解釈が綴られています。
    日常わたしたちが使っている言葉と、詩の言葉には明らかな違いが感じられます。安易に文字を連ねるだけでは、けっして詩にならないということが、よ~っくわかりました。
    ひとに伝えたい何かがあるとき、どこまで言葉を研ぎ澄ますことができるか・・・。詩人とは、それを生業にしている人たちのことなのですネ。


    べそかきアルルカンの詩的日常
    http://blog.goo.ne.jp/b-arlequin/
    べそかきアルルカンの“銀幕の向こうがわ”
    http://booklog.jp/users/besokaki-arlequin2

  • 中身の確認なく購入したため
    期待した内容とは大きく相違がみられた。



    雪はその白さから治る日はない―ということを散文的に言えば、雪は永久に白いという、只それだけの意味にすぎない。しかし、白さから治る日はない、という表現のもたらす衝撃の強さは、散文で言い直した意味からは、まず生まれる可能性のないもので、雪が白という呪縛から逃れることはできないということを、いやおうなく読者に感知せしめる。


    魅力にある語句は、いろいろな創造の楽しみの間に遊ばせてくれるものである。

    海を脱ぐということは、普段、海をぴったりと着こんでいることをごく自然に想像させる。その海を脱いで魚が水面から上へ踊り出るのである。こういう表現は私たちの常識的表現に不意打ちをくらわす。そして魚の躍動感を鮮やかにつたえてくる。われわれも、魚が海を脱ぐというように常識を脱ぎたいと思わせる

    「堅実な末路」という言葉は、なんとも奇妙な気分を与える言葉である。普通、「末路」というと、その上に「不幸な」とか「悲惨な」とかいう形容語を持ってきたくなる。ところが…

    わからない、或る体験が、私の詩の好機のスタートです。わからなさを無理にわかろうとしません。その信望が、表現という名の労働行為です。

  • 吉野弘、詩を人生にとって必要としているならそれは素朴な疑問符から始めればよい。奈々子に対する愛情に私はまだ触れていない。光晴の若葉ちゃんに対話する気持ちは優しいおじいちゃんの瞳である、大詩人は感受性がしなやかで新鮮である。

  • 自作の詩と5人の詩人の詩の解説など

  • 緑のノートに記載

  • 詩の森文庫で「戦後屈指のライトバースの達人」と紹介される著者。戦前なら松尾芭蕉級だと思う。

  • 吉野弘はまじめな詩人。デカダンな人ばかりじゃないんだよ、詩人て・・・

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著者プロフィール

1926-2014 詩人。山形県酒田市生まれ。代表作は「夕焼け」「祝婚歌」など多数。校歌・社歌も多く作詞。詩集に『贈るうた』『夢焼け』『吉野弘全詩集』など。読売文学賞詩歌俳句賞、詩歌文学館賞受賞。

「2015年 『吉野弘エッセイ集 詩の一歩手前で』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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