- Amazon.co.jp ・本 (240ページ)
- / ISBN・EAN: 9784787200730
作品紹介・あらすじ
学校図書館とは何か。
それは、子どもの成長・発達の権利を日常的に支える教育環境である。同時に、すべての子どもが、学校図書館を利用することで平等に情報(学習材、読書材)を入手し、豊かな学びと育ちを保障する学校社会の「セーフティネット」である。
本書では第1章・第2章・第3章で、現在の教育課題である「批判的思考力」を児童・生徒はどのようにして身に付けるのかを解説し、学校図書館法にある「健全な教養」概念を、大正教養主義にまでさかのぼって検討して「教養」の重要性を示す。そのうえで、学校図書館が「教養」の形成にどのように役立つのかを解説する。
加えて第4章では、図書館利用者の利用記録が捜査機関に提供された問題を論じる。利用記録は、図書館利用者のプライバシー情報であり、他者への提供は利用者の思想・信条や内心の自由の侵害を招来しかねない。さらに、秘密の保持は公務員に課せられた法的義務である。公立図書館は、捜査機関からの照会にどう対応するのか、利用記録のプライバシー性を軸に論じる。
目次
第1章 「批判的思考」を支える学校図書館
「自ら考え自ら判断する」ということ
「批判的思考」を支える条件 ほか
第2章 読書は子どもの「栄養素」
「想像力」を高める読書の世界
情報獲得手段としての読書 ほか
第3章 「健全な教養」って何だろう
「共用」概念の歴史性と時代性
「健全な教養の育成」と選書 ほか
第4章 図書館利用記録とプライバシー
図書館利用記録の捜査機関への提供
「貸出記録」と個人情報保護条例 ほか
感想・レビュー・書評
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上皇后は、皇后の時代に第二十六回国際児童図書評議会ニューデリー大会(一九九八年)で基調講演をした。その長い講演のほぼ最後の部分で、読書との向き合い方について次のように話した。
読書は私に、悲しみや喜びにつき、思い巡らす機会を与えてくれました。本の中には、さまざまな悲しみが描かれており、私が、自分以外の人がどれほどに深くものを感じ、どれだけ多く傷ついているかを気づかされたのは、本を読むことによってでした。 (略)本の中で人生の悲しみを知ることは、自分の人生に幾ばくかの厚みを加え、他者への思いを深めますが、本の中で、過去現在の作家の創作の源となった喜びに触れることは、読む者 に生きる喜びを与え、失意の時に生きようとする希望を取り戻させ、再び飛翔する翼をととのえさせます。悲しみの多いこの世を子供が生き続けるためには、悲しみに耐える心が養われると共に、喜びを敏感に感じとる心、又、喜びに向かって伸びようとする心が養われることが大切だと思います。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
【貸出状況・配架場所はこちらから確認できます】
https://lib-opac.bunri-u.ac.jp/opac/volume/745246 -
第1章 批判的思考力を育てることに資する学校図書館の役割の重要性
第2章 読書は子供にとってどんな意義があるのか、どのような資質や能力を育てることにつながるのか
第3章 「健全な教養」とは