偏見というまなざし: 近代日本の感性 (青弓社ライブラリー 13)

制作 : 坪井 秀人 
  • 青弓社
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  • Amazon.co.jp ・本 (242ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784787231833

作品紹介・あらすじ

ヒステリー観の変遷、文学史における性と生、戦時雑誌の公共性、ポートレートとジェンダーの問題、感覚の抑圧と近代主義など、近代日本における感性の変遷を「偏見」をキーワードに読み解き、メディア論・文化研究の新しい視角を提示する刺激的な論考集。

感想・レビュー・書評

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  • 論集です。佐藤(佐久間)りか「近代的視線と身体の発見」は、近代日本における身体観の変遷を写真を通してたどろうとしたもの。本書の中でいちばんおもしろく感じました。それから、市野川容孝「『障害者』差別に関する断想」は、短いながらも実体験を踏まえた説得力ある文章。「障害者」に対する「作為的無関心」によって覆い隠されてきた差別のまなざしを顕在化させ、意識化させるべきではないか、という話には、強くうなずきます。あと、正高信男「感覚の抑圧と近代主義」は、目新しいテーマではないものの、話のネタとしては便利な論考かも。(20071123)

  • 【書誌情報】
    偏見というまなざし――近代日本の感性
    編著:坪井 秀人
    シリーズ名:青弓社ライブラリー ; 13
    出版社:青弓社
    版型:四六判  248ページ 並製
    定価:1600円+税
    ISBN:978-4-7872-3183-3 C0336
    https://www.seikyusha.co.jp/bd/isbn/9784787231833/

    【目次】
    まえがき  坪井秀人

    第1章 KNOW THYSELF? ──猫の観相学  坪井秀人 
    1 書く猫、そして観察する猫 2 観察のディスクール 3 鼻という中心 4 観察される主体 

    第2章 明治末、超感覚を定位する──催眠術・千里眼・科学  一柳廣孝 
    1 心霊写真は語る 2 催眠術が超常感覚を開く? 3 「超」はあるのか──千里眼事件の帰趨 4 おわりに 

    第3章 ヒステリー──メディアのなかの病  船越幹央 
    1 女性の病「歇以私的里(ヘイステリ)」 2 通俗医学書にみる記述 3 ヒステリーの意味 4 論理的な逸脱 

    第4章 読書としての文学史──文学史の〈性〉と〈生〉  和田敦彦 
    1 「史」という読み方 2 文学史の中心点 3 小説と史記述の性 4 史記述の人生化 5 「中年」という中心 6 史記述と読みの規制 

    第5章 出版バブルのなかのファシズム──戦時雑誌の公共性  佐藤卓己 
    1 戦時出版に関する「戦後的常識」 2 国民雑誌の黄金時代 3 戦時雑誌バブルの実相 4 大衆雑誌の国民的公共性 5 おわりにかえて 

    第6章 近代的視線と身体の発見 佐藤(佐久間)りか 
    1 ものを見るということ 2 写真と鏡 3 「手」の発見 4 「裸体を見慣らす」 5 近代化される身体 6 おわりに 

    第7章 「聴く」ことからの音楽 藤井明子 
    1 意図的に聴かれない音楽──サティの「家具の音楽」 2 聴くことによって生まれる音楽──ケージの『四分三十三秒』『〇分〇〇秒』『ONE 3』 3 自然音と楽音が織り成す交響詩──シェーファーの『星の王女』 4 今堀恒雄による「コラボアート『環』」の音楽 

    第8章 感覚の抑圧と近代主義 正高信男 
    1 聴覚障害児の初期言語発達 2 指先で点字を「見る」視覚障害者 3 認知障害の代償としての「超」感覚 4 障害を得ることによる正岡子規の「開眼」 5 視力を失ったことによる北原白秋の転向 6 近代主義における感覚の征圧 7 感覚による自立的な「自己規定」 8 社会のマジョリティとしての障害者=高齢者 

    第9章 「障害者」差別に関する断想──一介助者としての経験から 市野川容孝 
    1 「儀礼的無関心」と「無礼な注目」 
    2 「作為的無関心」 
    3 差別を可視化すること──「青い芝」の運動 
    4 「健常者のアイデンティティを問いなおす」

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