- Amazon.co.jp ・本 (288ページ)
- / ISBN・EAN: 9784787292674
作品紹介・あらすじ
日常を逸脱した存在や現象である「怪異」は、恐怖の対象として忌避されてきた。しかし同時に、怪異は好奇心を刺激して多くの人々を魅了してきた。私たちはなぜ「怖いもの見たさ」で怪異をのぞき込み、怪異と戯れてしまうのだろうか。
怪談師、心霊術、分身、透明人間、キューピッドさん、『トワイライトシンドローム』、妖怪と地域文化、「意味が分かると怖い話」――多様なジャンルの事例から、怪異と遊びとの関係性を描き出す。
怪異を自らの手で日常生活へと呼び込む心性に迫り、怪異が単なる恐怖の対象ではなく娯楽や趣味として受容されてきたことを、文学研究や民俗学、社会学、宗教学などの視点から照らし出す。作家・川奈まり子との座談会も所収。
執筆者(以下、執筆順)
大道晴香/伊藤龍平/斎藤 喬/一柳廣孝/永島大輝/構 大樹/今藤晃裕/橋本順光/橋迫瑞穂/市川寛也/川奈まり子
感想・レビュー・書評
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全部面白かったけど、特に2部が興味深かった
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摂南大学図書館OPACへ⇒
https://opac2.lib.setsunan.ac.jp/webopac/BB50291311 -
「怪異」と「遊び」をテーマにした論文集。
内容は様々で何れも面白く読めたが、特に怪談を語る人に注目した「怪談師の時代」、ネットで流布してる「『意味が分かると怖い話』とは何か」の2編に興味を惹かれた。後者については語られる内容ではなく、語られる場、文脈を共有する物語としての集合として「話群」という概念から切り込んでいくのが面白いなぁと。 -
「怪異」と「遊び」というテーマで、領域横断的に論考を集めることによって、私たち人間が、自分自身を喪失することに恐怖を感じながらも、どこかでそれを希求し、それに魅せられる存在であることが浮かび上がってくる。
怪異怪談研究会のこの論考集のシリーズは『怪異を歩く』『怪異とは誰か』『怪異を魅せる』などすでにいくつか出版されているが、『怪異を歩く』が都市・地域文化論的な視点から「怪異」を浮かび上がらせ、『怪異とは誰か』『怪異を魅せる』が、文学的なアプローチから表象としての「怪異」に迫ろうとしているのに対し、本書から見えてくるのは自己やアイデンティティといったものと「怪異」との関わりだ。
本書の説明に「怪異を自らの手で日常生活へと呼び込む心性に迫り、怪異が単なる恐怖の対象ではなく娯楽や趣味として受容されてきたことを…照らし出す」とあるように、「娯楽」「趣味」としての「怪異」に特化して論じられた論考もあるが、個人的にはそれを入り口に、「遊び」を行う主体の心性に迫ることで、恐怖を感じつつも自己の存在の基盤を揺らがすことに取り憑かれる人間像に迫るような論考に魅力を感じた。