ティク・ナット・ハンの般若心経

  • 新泉社
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  • Amazon.co.jp ・本 (276ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784787718815

作品紹介・あらすじ

ティク・ナット・ハンが「般若心経」を、現代人にもわかりやすく翻訳・解説しなおして2017年夏に刊行された書の日本語版。(発行=野草社)
「すべてのものは存在し、現実であると考えるのか。それとも、何ひとつ存在などしない、現実ではないと考えるのか。私たちがかしこければ、般若心経は、私たちがそのあいだにある中道を見いだせるように助けてくれるでしょう。」――ティク・ナット・ハン

般若心経は、私たちがもっとも親しんでいる仏教経典のひとつで、解説書もたくさん刊行されていますが、なかでもティク・ナット・ハン師の解説は、現代人に般若心経の教えをわかりやすく伝えるものとして有名です。
最初の解説は一九八八年に出されましたが、ティク・ナット・ハン師は二〇一四年に、誤解を招きやすい箇所に新たな解説を加えました。その内容は「空」の意味をより明確にしたものですが、それを反映したのが本書The Other Shore: A New Translation of the Heart Sutra with Commentaries です。
また後半には、ティク・ナット・ハン師がアメリカの刑務所で行った法話の記録Be Free Where You Are も収載しました。マインドフルネスについてわかりやすく語られていますので、あわせて参考にしてください。
本書が般若心経をより深く理解するためのお役に立てれば幸いです。(野草社編集部)

感想・レビュー・書評

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  • 名著

  • この十日ほど、『ティク・ナット・ハンの般若心経』をじっくり再読していた。ちょうどタイミングよく重版記念オンライントークが開催されるのを知り、翻訳者の馬籠さんと協力者の島田啓介さんによる解説を聞くことができて、最初に通読したときよりは、いくらか深く読めるようになってきた。

    日本人がよく知る玄奘訳の漢語版は、唱えていると呪文のようなリズムに酔ってしまいがちになるが、この本では、現代日本語訳も対照させて、1フレーズごとに意味を読み解きながら、願掛けや信心のようにならないように、自分自身で解放と自由に至るガイドとして、徹頭徹尾、教えの実践が重視されている。

    「現実に根差したリアルな呪文、洞察による智慧と解放の呪文」として日々の力とできるよう、この短い経典をめぐる旅は、まだまだ続きそう。

  • なんか、はじめて腑に落ちたという感じ。わかりやすかった。

  • 般若心経の入門書によい

  • ティク・ナット・ハンの「般若心経」の新しいコメンタリー。

    以前に、同じくハンの「般若心経」のコメンタリー”The Heart of Understanding"を読んで、あまりのわかりやすさと英文の美しさに感銘を受け、その大幅改訂版"The Other Shore"を買った。

    が、ページが大幅に増えていることもあり、途中で挫折して、まずは日本語で読むことにした。

    基本的なメッセージは、「空」というのは、「無」と違って、相互依存的であって独立した実体ではない、ということ。

    「ある」と「ない」の二項対立を超える"interbeing"という概念であること。

    その辺のところは、以前の"The Heart of Understanding"でも明快だったが、今回は、般若心経中盤以降の、「○○もなければ、○○もない」の連打で言うところの「ない」も「独立した実体はなく相互依存的である」という意味であることをとても丁寧に説明してある。

    さらに、例え話とか、他の経典との関係など増えていて、懇切丁寧で、わかりやすくなっている。

    一方、長くなった分、散文的、講話的で、"The Heart of Understanding"の詩的な美しさはやや後退したかな?

    日本語で読んだせいかもしれないけど。

    日本語だとどうしても伝統的な仏教用語が出てきてしまうので、英語に直したときのシンプルな言葉の美しさは後退するのかも。

    やっぱ、仏教のエッセンスはこの短い経典に凝縮されているのだな〜と思う。

    次は、新旧の英語ヴァージョンとこの翻訳版を対比させながら、読んでみたい。

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著者プロフィール

釈一行。1926年ベトナムに生まれる。禅僧、詩人、学者、人権活動家。「行動する仏教(エンゲージド・ブッディズム)」を提唱し、ベトナム戦争中の南北ベトナムの和解に尽力、1967年にM.L. キング牧師によりノーベル平和賞候補に推挙された。100冊以上の著書を世に問い、仏教の教えとその実践をわかりやすく説くことで広く知られている。
現在は南フランスのプラム・ビレッジを本拠地として、アメリカ、ドイツなど各地にリトリートセンターを設け、仏教の教えに基づいた学びと実践の指導を続けている。

「2011年 『味わう生き方』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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