- Amazon.co.jp ・本 (264ページ)
- / ISBN・EAN: 9784787721198
作品紹介・あらすじ
SDGsが大流行の昨今。環境問題の大切さはよくわかっていても、「地球温暖化とCO2排出量は関係ない」「いやある!」、「緑のダムがあれば洪水や山崩れは防げる」「いや防げない!」などなど、環境問題に関しては異論だらけで、果たして何が正解かわかりません。さらに地球環境を巡ってはさまざまな“常識”も繰り広げられています。しかし、それをそのまま信じてもいいのでしょうか? 本書は、そうした思い込みに対して、もう一度一つ一つ検証を試みました。「森の常識」を元につくられた〝環境問題の世論″に異論を申し立て、不都合な真実を突きつけた一冊です。
感想・レビュー・書評
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森林に関わる環境問題について理解を深めるために手に取りました。
虚構、不都合な真実、などうさんくさい言葉が散見されますが、文章はそこまで不誠実ではありません。
そう思った理由は、断定的で極端な言い方や非論理的なところは意外と少ない、ネイチャーとかの論文の内容を踏まえた意見も多い、難しいことやわからないことはきちんとそう言っている、からです。
なお、本書後半は私の読書目的とちょっと異なったので、ちゃんと読んでいません(読み物としては面白いです)。
そしてここでは各論的なイシューについては触れません。
そのかわり、本書前半で述べられたものの中で、森林の環境問題の議論をする際に前提として知っておくべきだと思った、森林に関する事実っぽいものを以下に記します。
(数字はページ)
•地球上の森林総面積は増加。増加の理由は植林、温暖化。ただ熱帯、亜熱帯地域は森林減少。16-18
•植物は光合成もするし呼吸もする(二酸化炭素を吸収もするし排出もする)
•植物の二酸化炭素の排出量は、光合成と呼吸の差し引きで、結果マイナス。
•ただし森林全体でみると、二酸化炭素排出はこれより増加する。これは森林には植物だけでなく、呼吸しかしない動物、菌類がいるから。21
•木は樹齢が高いほど、生長もするし二酸化炭素を吸収する。39
•一本の木は生長もするし、伐採されたり枯れもする。生長するのは時間がかかる。伐採は一瞬である。
•光合成能は気温により変化する。気温がある程度高いと活発に、一定以上だと低下する。32
•呼吸量は、生物によらず高温ほど増加する。33
•二酸化炭素発生は、土壌の有機物の分解でもおこる。気温の上昇で分解は加速するかもしれない。33
•植物体と土壌の有機物の蓄積炭素量の比は、熱帯雨林で同等、温帯•亜寒帯の森林では4倍。33
•土壌内の有機物は、水中では(水没を想定)二酸化炭素よりもメタンガスが発生しやすい。木もメタンガスを発生させるかも。 メタンガスは二酸化炭素よりも20倍以上温室効果がある。 35
•木が育つには土壌と水が必要 46
•森林と水、土との関係は複雑で難しい54
•森は水を増やさず消費するか。樹木は光合成と雨水の蒸発(雨量総量の10%前後)。動物菌類も水消費。地表の雨水の動向は土壌の有無•地質性状による。55-57
•貯水効果は、森林土壌は少なく、高いのは岩盤層(特に花崗岩)。59
•山崩れには表層崩壊と深層崩壊がある。森林の影響を考えるのは前者。70
•降雨から森林の土壌流出を守るのには、森林に加え草も重要。71-76
•マツは痩せた土地に生え土壌が肥えると衰退する。92
•森づくりは植生遷移を考慮する。106
•生物多様性の大きさ。森林より草原。肥沃より痩せ。ほどほどの環境変化(中規模撹乱仮説、122)。126
全然知らなかったことも多いですが、書き出してみると当たり前だなぁと思うこともあります。
森林と環境問題に関して、知識の整理と増加があり、読んで良かったと思います。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
配架場所・貸出状況はこちらからご確認ください。
https://www.cku.ac.jp/CARIN/CARINOPACLINK.HTM?AL=01426717 -
東2法経図・6F開架:650.4A/Ta84k//K
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森林に対して世間で言われている事、それに反する意見を具体的な内容を交えて記載されており読みやすく感じた。
また、筆者の意見に対するスタンスが、あくまでもこういった側面もあるといった意見に留められており非常に好感が持てた。
何に対してもそうだが、改めて多様な意見や情報を得ることの重要さを認識することができた。 -
森林、緑のダム、再生可能エネルギーなどについての多面的な見方を提示
森林は酸素の供給源であり二酸化炭素を吸収する、というのは森全体で見るとそうとは限らない。森林には呼吸しかしない動物がいるだけではなく、キノコ、カビなどの菌類の二酸化炭素排出量が植物全体の光合成による酸素供給と、ほぼ同量。
安定した森林は酸素も二酸化炭素も出さない、それを間伐しても二酸化炭素吸収量は増えない。若い樹木の方が二酸化炭素の吸収量が多い訳ではない。 -
岐阜聖徳学園大学図書館OPACへ→
http://carin.shotoku.ac.jp/scripts/mgwms32.dll?MGWLPN=CARIN&wlapp=CARIN&WEBOPAC=LINK&ID=BB00620253
SDGsが大流行の昨今。環境問題の大切さはよくわかっていても、「地球温暖化とCO2排出量は関係ない」「いやある!」、「緑のダムがあれば洪水や山崩れは防げる」「いや防げない!」などなど、環境問題に関しては異論だらけで、果たして何が正解かわかりません。さらに地球環境を巡ってはさまざまな“常識”も繰り広げられています。しかし、それをそのまま信じてもいいのでしょうか? 本書は、そうした思い込みに対して、もう一度一つ一つ検証を試みました。「森の常識」を元につくられた〝環境問題の世論″に異論を申し立て、不都合な真実を突きつけた一冊です。(出版社HPより)