- Amazon.co.jp ・本 (290ページ)
- / ISBN・EAN: 9784788512481
作品紹介・あらすじ
◆「自殺の少ない国」のセーフティネット◆
古いしきたりを否定し、高福祉と家族や性の「自由化」を謳う北欧型の社会モデルが、いまや福祉の高額な負担、高い自殺率など、矛盾に突き当たって立ち往生しています。一方イタリアは少子高齢化やパラサイトシングル現象など日本社会との共通点が多い一方で、先進国中、自殺率がもっとも低い国です。そこには、北欧型とは逆を行く?しがらみ?ともいえる濃密な地域コミュニティが、政策に頼ることのないセーフティネットとして機能しています。それはどのように形成され、維持されているのでしょうか。日本の、とくに都会ではいまや消滅してしまったかにみえる「地域」の力の再生を考える上でも、示唆に富んだ一冊です。好評を頂いた『違和感のイタリア』(2008年刊)の続編です。
感想・レビュー・書評
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「イタリアは自殺者が先進国中でも抜群に少ない。」のコピーにやられて
読みはじめたのだが、内容はものすごく濃くてどきりとした。タイトル通りイタリアのしがらみ社会であったり、陽気な人間性を中心に語られると思っていた想定を裏切られた。世の中について、知らないことが多いと改めて思い起こさせられる。なかでも、北欧の社会保障システムは理想だと思っていたが、背後に孤立化という問題があってそれが、自殺につながるというのは、政治の難しさを知ったし、人としての大切なモノはなんなのかということを考えさせられる。どんなに理論上理想的な制度であっても、その対象は「人」であり、そこに帰属感というか密度の濃い人間関係がないと人は人ではなくなるのかもしれない。あと、どんな理想の制度でも運営するのは人間、つまりリーダーシップを持って人をひっぱって行く人がいないと、成功モデルを真似ても上手くはいかない。あの村で上手くいったのになぜうちで上手くいかないのか?失敗の原因は村長が違うからだ。というのが物凄く盲点で衝撃だった。ものすごく勉強になった。まちづくりの人は読む価値あり。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
EU企画展2022「Ciao!イタリア」で展示していた図書です。
▼金沢大学附属図書館の所蔵情報
http://www1.lib.kanazawa-u.ac.jp/recordID/catalog.bib/BB0726336X -
失業率は高く
社会福祉制度の立ち遅れ
経済不安に少子高齢化。
日本と同じような問題を抱えつつも
自殺率の低いイタリア。
長年イタリアに住み、日本とイタリアを行き来している著者が観察したイタリアが書かれています。
主に
家族や社会、地域コミュニティのあり方・人間関係のあり方
カトリック教とイタリア人の宗教と信仰
そしてイタリアの共産党について書かれています。
大変勉強になりました。
イタリアについて
街づくりについて
人と人との結びつきについて
などに興味のある方にオススメです。
サラサラっと読むというよりは、むしろ、しっかりした内容の本です。特に後半は。