遊ぶヴィゴツキー: 生成の心理学へ

  • 新曜社
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  • Amazon.co.jp ・本 (248ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784788514089

感想・レビュー・書評

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  • 昨年、ロイス・ホルツマン『「知らない」のパフォーマンスが未来を創る』(ナカニシヤ出版)( https://amzn.to/3cuBm5V )が発売されたことを受けて、あらためて再読。『「知らない」のパフォーマンスが未来を創る』でさまざまなキーワードの付置を理解したあとに、そこで引っかかったキーワードを探求していくための書として読むと、さらに深く読めるような気がする。特に「道具と結果(tool and result)」や「頭一つ分の背伸び(a head taller)」といったヴィゴツキー理論に基づく考え方については、こちらの方がしっくりとした説明がなされているように思う。

  • 読むのに難儀した。在野の研究者であり実践者であると著者のヴィゴツキーの読み方。人間が社会的存在であるというのはすんなりに受け入れられているものだが、もう少しその意味を深く理解していくときには本書はよい。
    わたしたちにとって、自分自身を見るためには他者が必要なのであり、発達には他者が欠かせない。「発達と学習の問題を、日常的で、直接的で、実践的なやり方で問い続けるなら、人々は世界を変えることができるに違いない」と締めの言葉は、読み手に、世界を変える原動力になれ、と鼓舞されている印象を与えていると思う。

  • ・二元論を斥け、パラダイムから離脱
    ・問題解決をするための認識論から、統合的、生成的、持続的プロセスを目指す道具と結果の方法(探究)

    ・「社会が人間を人間として形作ると同時に、社会も人間によって形作られる(マルクス)」をベースにしている。
    ・「学習が先導する発達は集合的に創造される」

    ・「発達の再近接領域」とは?また、ここで言われる「子ども」とはどこまでの発達?幼児期?中学校入学以前程度?
    結局、発達し続けるには、リスキーな新しい世界に飛び込み(新しい世界で適応するには新たな自分を創造せざるを得ない)、『世界を広げ続ける』行為を「快」と感じるマインドセットをもつしかないのではないか。

    ・「子どもの最大の達成は遊びの中で可能になる」「遊びに自由度を与える想像力と、遊びを制約するルールの相互作用が遊びの発達的潜在力をうみ出す」とある。
    遊びとは自由遊び(ごっこ遊びやファンタジー遊び:幼児期)、ゲーム遊び(サッカーやドッジボールなどルールに依拠:学齢期から成人)、劇的プレイまたはパフォーマンスなどを指すとあるが、この「遊び」を学校教育の授業や活動場面に取り入れることで、「子どもの最大の達成」を促せるのではないか。

    ・「話すことの構造は、単純に思考の構造の鏡像ではない。それゆえ、衣服のように思考に着せることはできない。話すことは、発達した思考のただの表現ではない。思考は話すことへと変換されるとき、再構造化される。それはことばによって表現されるのではなく、完成される」は、「『建築予定の家のイメージがあり、それを建築模型で示す』のではなく、『積み木を積み上げながら建造物がつくられ、つくりかえられていく』」イメージなのかな?自分自身が比喩で理解を確かめようとしている精神構造もまた、自分の「ことば」をもたない事柄を自分の枠で表現しようというなかで動く思考の感性なのだろうか。ウェビングなどの思考ツールも、表現しながら思考し、相互で作用しあっているように思う。「表現ツール」ではなく「思考ツール」である所以なのかもしれない。

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著者プロフィール

コロンビア大学で,発達心理学・言語心理学の博士号を取得。
1980年フレド・ニューマンと共に,イーストサイドグループ・短期心理療法研究所(East Side Institute for Group and Short Term Psychotherapy)を設立。
同研究所ディレクター。
2年に1回開催される「パフォーミング・ザ・ワールド」大会の設立者,会長。

「2020年 『「知らない」のパフォーマンスが未来を創る』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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