チェ-ンストア経営の原則と展望 (チェーンストアの新・政策シリーズ)

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  • 実務教育出版
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  • Amazon.co.jp ・本 (247ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784788906310

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  • 「21世紀のチェーンストア」に続く、チェーンストアの新・政策シリーズ 第2弾
    ペガサスクラブの主催者、流通経営コンサルタントの渥美俊一氏の著書です。

    渥美氏の考えるチェーンストアとは高度なシステムであり、決してそのあたりのチェーン店のことではないと主張しています。

    本書の主旨は、チェーンストア志向企業が、21世紀初頭において、何をすべきかの「今後のあるべき行動指針」をまとめたものです。
    経験則および、科学的な仮説・実証から出発しているところがすばらしいです。

    気になった言葉は、次の通りです。

    ・チェーンストアが目指すものは、①国民大衆の、②日常生活における、③くらしを充実させるための生活を提案すること
    ・そのためには、①大衆品であり同時に実用品である商品を提供すること、②大部分の人に気軽に買える価格であること、③便利に入手できること、④快適に使えること、⑤使うことによってくらしがもっと楽しくできること。
    ・安い価格:チープとは流通の慣習や、仕組みを変えることでだす価格、ディスカウントとは生産の仕組み、原材料、加工方法、保管運搬を変更にするこでだす価格
    ・商品開発とは、製品開発と提供方法の開発を同時に行うことである。その技術体系の総称をマス・マーチャンダイジング・システム作りという
    ・ウォンツ商品の仕入れや、商品管理を担当するテクノクラートを、バイヤーといい、そのなかから、厳選して商品開発を担当するのが、マーチャンダイザーである。
    ・商品のセグメンテーションのいきつくデザインは、①カジュアル、②コーディネーション、③コンビニエンスである
    ・何度も繰り返し、継続してつかう商品をポピュラーアイテムといい、気軽に買える価格で、他の商品と組み合わせできるものを、アフォーダブル・アイテムという
    ・徹底的にポピューラー・アイテムと、アフォーダブルアイテムに絞り込めることがチェーンストアの商品技術である

    ・アーバンとは旧市街地、住宅アパート密集地であり、ザバブとは、新しく開発された住宅地帯で人口が増加している地帯をいう。立地は、ザバブが1で、アーバンがそれに次ぐ。
    ・チェーンストアの商圏はちいさく、10万人程度、食品ならば、3.5万人程度である。
    ・小商圏をそれぞれ隣接させた地域を、ドミナント・エリアといい、商品管理を行うディストリビューションセンター、プロセス・センター、食品の二次加工を行うコミッサリーが設置される
    ・チェーンストアの最大売場面積は3000坪。IEの調査でそれ以上だと肉体的に店内を気軽に歩くことができないから。
    ・店舗については、階数が少なければ売場構成もしやすく、エスカレータ、エレベータの設置も不要、原則きわめて軽装備店舗とする。それは、売上高の損益分岐点を下げ、使用総資本の回転率を上げるためである。

    ・ビッグストアは株式会社か、生活協同組合のいずれかでないとならない。それは、急速な増資の継続が必要であるため。
    ・資金調達対策が重要で、まず資本金を大きくしなければならない。年次決算ではなく四半期決算を行い、つど、改善・改革の手を打ち続け、好収益化を図る

    ・資金調達対策は、以下
     ①借入金より増資 ②担保能力の急速な増加 非営業資産の売却とさらに値上げする土地の購入 ③高収益経営の継続による、利益額の増加
     ④金融機関からの借入 ⑤資金コストゼロで資金を活用:回転差資金の活用:現金で販売して、カケで仕入れる ⑥上場 ⑦社債の発行 ⑧合併・統合

    ・商品回転率は、高すぎず、低すぎず、適正な在庫高を発見することが商品在庫管理の決め手 すなわち、①死に筋退治、②欠品退治、③売れ筋確保
    ・労働分配率を、38%以下へ、労働生産性は、1000万以上。
    ・部門別管理を徹底する(①数表作りは準備手続き、実地棚卸を省くと推定値となり、信用できなくなる、③部門ごと、人時計測対策が必要④発生主義にする、⑤平均値を部門ごとに比較し、その差異原因を明確化する)

    ・経理部門は、①現金出納、②伝票整理、③作表、④税務、⑤株主対策を行う ⇒サービスという職能にあたる 過去を問題にする後始末、(P/Lベース)
    ・財務部門は、①資産運用、②資金調達、③資金繰り ⇒スタッフという職能にあたる、未来を考える計画対策、(B/Sベース)
    ・資金繰り表と、各種効率表は、その中間に位置する
    ・観察(問題点の発見)⇒分析(原因となる事実の推定と確定)⇒判断(改善策と改革案、応急処理と抜本的経営戦略)

    ・マネジメントとはあらかじめ計画された数字と、状態との2つの目標を達成すること
    ・3つのスローガン、①標準化、②単純化、③差別化
    ・マニュアルとは、作業命令を完全に成文化したもの、日本のマニュアルの多くは、注意書きであり、断じてマニュアルではない
    ・マネジメントの課題:日本の多くの流通が手をつけることのできない難問。
      ①店段階で最も作業人時数の多い作業の人時数削減 ②担当者の能力不足と実行時期の不適切の発見とそれにもとづく現場作業の完全化の教育 ③店段階での欠品をなくすための事故報告と本部への要求
    ・マネージャーの職務は5つ ①部下への作業割当てと稼働計画と指示 ②部下の考課と現場作業教育 ③法規上の労働条件の確保 ④資産の保全と緊急事態対策 ⑤報告書の完全記入と期限内提出

    ・チェーンストア組織の特徴 ①教育が職務上の責任と義務に優先する(教えてできるようになったら現場に出す)、②階層を3つにする(トップマネジメント、スペシャリスト、ワーカ)③職能横割りは5つ(スタッフ、サービス、ライン・スタッフ、クリエイティブライン、オペレーションライン)

    ・教育政策 ①マンツーマン、②段階別教育、1つの職能をマスタしないと次へ行けない ③職務ごと、職位ごとの目標を明示 ④効果測定を上司とスタッフが実施 ⑤知識と経験についての不足の発見とその充足とを繰り返す

    ・戦略とは、長期的な行動方式、戦術とは、技術的な対応策と工場計画、経営戦略とは、時流にのるための経営軌道つくり
    ・3C主義 変化、挑戦、競争
    ・競合とは、競争状態の前段階で中型以上ならとにかくやっていける状態、競争とは、大型企業でも楽にやっていける状況でなく、勝敗をわける激しい戦いをいう

    ・経営効率を財務指標から学ぶ
    ・単年度の決算書の分析を静態分析といい、欧米では否定される。動態分析とは、四半期単位の決算書を少なくとも3年、通常は10年分析する

    ・消費の成熟や少子高齢化が問題ではなく、まずくなった本当の原因は、経営技術のマンネリ化だ

    ・日本のフォーマットは、スーパー、大型スーパー、専門店、ホームセンター、ドラッグストア、食品ではファーストフード、ファミレス、コーヒーショップ。
    ・フォーマットのライフサイクル ①時流に乗ったフォーマットもいずれ寿命がつき、新しいものにとってかわられる、②それはカテゴリーキラー、③サイクルはどんどん短縮している
    ・新生活提案は、3C Conveience+Comfort+Change

    目次は、次の通りです

    まえがき
    本書を読まれたあとに

    第Ⅰ編 チェーンストアの経営原則
     1 商品
     2 店舗
     3 財務
     4 マネジメント
     5 作業
     6 組織
     7 教育

    第Ⅱ編 チェーンストアの経営戦略
     1 経営戦略の原則
     2 現状の経営効率と問題点
     3 フォーマット
     4 二十一世紀初頭の発展軌道
     5 展望

    資料編 チェーンストアの基礎資料
    用語索引

  • チェーンストアについて学ぶために購入。
    勉強になったのはマニュアルの定義。作業命令を完全に成文化したものとあり、熟練社員が備忘録的に作成したものはマニュアルではないことを学びました。そのとおりに実行すれば、同じ結果が出る手順を明瞭に、誰でもわかる形で表現したものがマニュアルだということ。
    認識を新たに取り組んでいきます。

  • 流通業界の実践書。体系だった説明や実務レベルへの示唆が書かれており専門的。とりあえずひととおり読んだけど、また読み直さないと

  • ケータイから更新テスト。

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