プロトレイルランナーに学ぶ やり遂げる技術

著者 :
  • 実務教育出版
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感想 : 7
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  • Amazon.co.jp ・本 (220ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784788914681

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  • 【生き方】やりとげる技術/ 鏑木 毅/ 20190201 (8/740)<218/106438>
    ◆きっかけ
    ・同著者日経新聞コラムから

    ◆感想
    ・走るうえでhow toの前にある心構えをよく纏めてくれた。刺さる言葉が多い。
    ・自分に勝手に限界を設けない、勢い、情熱、覚悟、欲望、全て総動員して結果だす。

    ◆引用
    ★すべての準備はパズルのピースと捉える。一つ一つの練習に意味を持たせて、一つでも欠けると最高のパフォーマンスが発揮できないと言い聞かせて、どんな小さなトレーニングでも集中する。こなすだけではだめ。毎回誠実に。
    ★大小さまざまなピースをはめこんでできたジグゾーパズルをレース本番で披露して、一つひとつの練習を披露して、成仏させてあげたい。
    ・少しでも楽したいという言う枠はあらゆるところから忍び寄ってくる。そんなとき、これは練習じゃない、遊びだと言い聞かせる。
    ・忘れたくなるようなハードな練習も、次に生かすために何度も脳内再生しておけば、いつしかそこがペースになる。次は、そのペースの上にどれだけ上乗せするか。イメージトレーニングで極限状態になれておく。
    ・本番で最高の状態に持っていくためには、高揚感と平常心の間を行ったり来たりしながら、精神的な波をうまく乗りこなす。
    ★最後の最後は誰かのためにと思えないと、自己満足だけでは、決して極限状態を乗り越えられない。斜め左に誰かずっと並走してくれている感覚。
    ・あらゆる想定をしてシュミレーションをする。それこそ、競技会場の雰囲気や行くまでの交通まで含めて。
    ・辛いことがあったら、走るペースを上げて、ネガティブな感情を追い払う。ペースを切りかえると、思考もチェンジできる。
    ★あらゆる欲望を総動員する。
    ・未知の状況にぶつかったとき、それまで培ってきたものが、いろいろな形をかえて、思わぬところで役立つ。
    ・最後まで気持ちを切らさずに我慢できた。100%を超えて110%の力を出し切った、そういう感覚が得られるかが大事。
    ・ベストレースは未来に待っている。
    ・自分を騙して、心のブレーキをはずす。やめろという脳の声を振り払い、これは苦しいんじゃない、楽しい経験なんだと無理やり自分に思い込ませる。
    ・自分ならどうするか、を意識
    ・どう見られたいか、どこを見てほしいかを意識すれば、ふだんの自分の行動も他人とかかわり方も違ってくる。
    ・2つのイメージを併用:ゴールした時の自分+一歩一歩着実に前進する自分
    ・真剣勝負を重ねれば、心は筋肉のように磨きあげられる。
    ・これはチャンスと思っただけで、修羅場を乗り越え方も違ってくる。先が見通せず不安というよりも、自分の次のステップにつながるではないかという期待感を。
    ・棘のある言葉が出たら、それを和らげる言葉をかぶせて、棘が刺さらないようにする。

    ===qte===

    今日も走ろう著書に感じるプレッシャー 鏑木毅
    2018/10/31付日本経済新聞 夕刊
     40歳でプロトレイルランナーになって以来、10年間で10冊以上の書籍を出版させていただく機会を得た。ハウツー本は自分の持つ知識をどのように読者に伝えるかに心を砕くが、内面を記述する自伝的な内容となると、心の中の素直な部分をいかに引き出すかに集中している。
     自分の内面を分析し、記す作業は骨が折れる。感動や悔しさ、やるせなさ。その時の心の振れ幅をできる限り掘り起こして再現しようとすれば、膨大なエネルギーを要する。時には当時の光景をまざまざと思い出し、悔しさで頭がさえて眠れなくなる日もあり、書き上げた時には正直もうこんな苦労はしたくないとさえ思う。それでも次の話をいただくとやはりうれしくなりここに至っている。
     ところで私は本の中で「楽しむ勇気」という言葉を頻繁に記している。どのような状況でもたとえそれが辛く嫌なことであったとしても、何事も楽しむ心を持とうというのが自身のモットー。そのはずなのに40代後半から男の更年期なのか実のところ自制が利かず、感情にまかせて非常に怒りっぽくなってしまう。
     「本に書いていることを、あなたは全くできていないではないか」と最近、妻にちゃかされた。確かに自己啓発スタイルの書籍を書いた手前、どうしても家の外では無意識に取り繕って、模範的な良い人物であるかのように装ってしまい、家庭ではその反動で妻にあたっている自分がいる。
     先日、ある作家の方に、著書に対してその後の生き方でプレッシャーに感じることはないのか尋ねてみた。すると本に書いてあることはあくまで理想であり、自戒の念もこめて書く部分もあるという。要は読者に対しては人生を好転させるスイッチを押す契機を提示しているにすぎないということらしい。
     この春に出版した「やり遂げる技術」という書籍ではこれまでの50年を振り返り人生哲学をまとめた。ただ、この本に書いたことを私自身が常にできているわけではない。正確には人生のどこかのタイミングではできたものもあり、もしそれが常日ごろできていればきっとより素晴らしい人生になったはずだという自戒の念も込めて書いている。
     「ここで死んでもいいという覚悟が力を生む」と書いてはいても、正直死ぬのは怖いし、そんなことは考えたくもない。ただ極限まで精神的に追い込まれた瞬間にそう思うことで困難を乗り越え、大きな成果を手にした経験はある。いつもこのような気持ちで努力すればいいのではないかと思っているのである。
     先ほどの妻の言葉には、できないからこその願望を書いたのだと開き直った。私以外にもこんな作者も多いのではと思う。読者の方にもそんなことを頭に入れて読んでいただけるとさらに血の通ったものを感じてもらえそうな気がしている。
    (プロトレイルランナー)
    ===unqte===

  • プロトレイルランナーに学ぶ やり遂げる技術
    2018/5/1 著:鏑木 毅

    人生においても、仕事においても、いざというときに真の実力を出せるかどうかは、それまでくぐってきた修羅場の数できまる。決して強い人間でなかった著者が、なぜ最も過酷なウルトラトレイルの世界で、トップランナーの仲間入りができたのか。限界を超えて自分の底力を引き出す、絶望的状況の自分を変えるというのは、どういうことか。何回失敗しても折れない心はどうやって育むことができるのか。

    本書の構成は以下の7章から成っている。
    ①本番までにできることはすべてやる
    ②集中力を極限まで高める
    ③つねに考えながら走る
    ④自分の限界を超える
    ⑤結果を次につなげる
    ⑥開拓者として生きる
    ⑦これからも走り続ける

    私はウルトラトレイルの存在自体も知らなかった。
    168キロに及び山道を1昼夜にわたって寝ずに走り続けるレース。想像を絶するそんなスポーツでプロとして活躍し続ける著者。超人以外の何ものでもない。

    その中でも著者の優れている点が何かを考えれば「自分を知っている」ことにつきる。自分の能力や限界、考え方や気持ちの流れすべての集大成の自分を主観的・客観的に理解している。自分の限界を知っているから無茶もできる。限界を知っているから限界を超えることもできる。

    著者のそれは無謀ではなく、計画的な想定範囲内での無謀である。厳しいウルトラトレイルではその自分を知るが不十分であればレースのリタイアどころが簡単にそれは死に直結することになる。

    自分を深く知っている著者だからこそ感じる悔しさや苦悩。本書はそれが赤裸々に書かれており、高い次元での自分を高める著者の姿を学べ自分に活かす糸口を探りながら楽しみながら読み進めることが出来た。

    ウルトラトレイルに挑戦することはないものの、大いに自分の日常の行動に直結する材料をたくさんいただいた。

  • 編集協力しました。読めば元気になりますよ!

  • イメージしてた通りの鏑木さんの書籍。
    恐らく、公務員としても優秀な方だったんだろうと思います。

  • とんでもないアスリートも挫折や悩みを繰り返している同じ「人間」だったと感じるお話し。
    その同じラインに立っていながらどうやって心と体をある意味騙して臨むか、そしてそれを楽しんでやれるか、そんな事が学べる。

  • 自分に厳しく年齢を重ねても妥協しない姿勢には感心させられる。内容的には過去の著作と似たようなことを言っているような感じがする。ビジネス本ではないのでサラリーマン向けというより、人生全般に言えること。

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著者プロフィール

1968年、群馬県生まれ。日本を代表するプロトレイルランナー。早稲田大学競走部に所属し、箱根駅伝を目指すも、故障で断念。公務員をしていた28歳の時、野山を走るトレイルランニングと出合う。2005年には日本国内の三大レースを制覇。’07年世界最高峰の100マイル(160キロ)レース「UTMB(ウルトラトレイル・デュ・モンブラン)」を日本人過去最高位の12位で走破、’09年には3位入賞を果たす。以降、’12年まで連続出場。’19年に50歳にして再びUTMBに挑戦。125位で完走を果たす。

「2022年 『50歳で100km走る!』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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