美人の正体 外見的魅力をめぐる心理学

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  • 実務教育出版
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  • Amazon.co.jp ・本 (288ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784788914841

感想・レビュー・書評

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  • 内面より容姿が魅力という結果。女性は幼児顔でくびれがありグラマーがより魅力。男性は男らしさ(一部女性らしさ)、財力が魅力。という身も蓋もな結果で、さらに美人は頭が良く、性格もいい。だが、それぞれの生存戦略的な相手を選ぶ、類似的な異性を選ぶ傾向にあるため、美人でなくても幸せになれる。美人はモテないという発言はイヤミに聞こえるが、短絡的な相手にモテるだけであり、それなりに悩みがあるそうな。
    この結果を不公平とみるか否か、なにがゴールかによるのだろう。納得できた。
    60冊目読了。

  • 外見的魅力をめぐる心理学をまとめてあり、見た目が良いほど人生の勝ち組となるのかを科学的に説明したもの。
    ざっくり言うと、生物学的要因と社会学的要因の双方から、美人・ハンサムは能力が高い、と結論づけられた。つまり、美人・ハンサムであるほど、頭が良く、運動や音楽でも優れ、仕事ができ、玉の輿に乗る可能性が高いようだ。
    平均的で均整がとれた顔を美人ととらえやすいが、顔や身体の左右対称性は健康や知性、社会的な適応と密接に関連している。しかも、美人・ハンサムは幼少時から周囲の大人に能力が高いと期待されやすく、結果努力を重ねることとなるからだとか。
    しかし、年を取ると、価値観が広がるため美人の定義が広がるうえ、自意識が薄れるため美人かどうかが気にならなくなる。一時的に差はついても、人生トータルで考えれば、見た目と幸福度は関係ないのだと思う。

  • 本書は美人やイケメンは本当にモテるのか?また、そもそも美人やイケメンとはどういう人のことなのか。について紹介をしている。

    タイトルは「美人の正体」である。では私たちは美人やイケメンがこういう人だ!という風に説明できるだろうか。おそらくできた人がいたとしても、それが三者三様であることを理解した上のことだと思う。
    また、私は性格で選ぶ〜、やっぱイケメンってクズだよね〜などと発言する人は私たちを含めてどれだけ多いことか。

    そのくせして私たちは美人やイケメンに羨望の眼差しを向け、彼らに少しでも近づこうと努力をし、たまに微かな希望を見出せば、すぐにその光は消え、気づけば彼らを恨んでいるのである。

    これらの疑問を持っていた私は、心理学という確立された学問によって、客観的で数値に基づいた「美人の正体」に興味を持ち、本書を手に取った。


    まず初めに伝えたいことは、
    本書が決して私たちに寄り添うような本ではないということである。

    第1章「恋愛において外見はどのくらい重要なのか」
    この章の答えを一言で示せば、外見が極めて重要であり、
    性格とモテ度との間には相関がないということである。

    第2章「美人は性格が良いのか悪いのか」
    世の中には「美人性格良い論」と「美人性格悪い論」が存在し、そのように感じている人がいるとされている。
    一言で言えば、美人は性格がよく見られる傾向にあり、実際においても孤独感の低さ、社会的不安の低さ、社会性の高さなどの点で性格が良いとされる可能性が高いということである。美人性格悪い論は、いわば嫉妬によるものである。

    第3章「美人は頭が良いのか悪いのか」
    2章同様にこちらもそれぞれの論が存在し、そのように感じている人がいるとされている。
    統計において若干の疑問は残しつつも、美人は頭が良いという傾向にあるようだ。また運動能力についても同じことが言えるそう。

    なぜこれほどまでに美人やハンサムが優れているのか。
    これについては生物学と社会文化的要因の2つのアプローチがなされている。
    ①顔の左右対称性は優れた能力、遺伝子を持っているという証明であるという理論(生物学)
    ②ピグマリオン効果(幼少期から容姿が優れていることによって周囲からの期待を背負い、その期待に答えようとしたことで優れた能力を得る)によるという理論(社会文化的要因)

    第4章「美人•ハンサムとは何か」
    ここでは「平均顔」「対称顔」「お肌すべすべ理論」が提唱されており、特に有力なものは「平均顔」とされている。
    一方肌がすべすべであることは平均顔に迫るほどの力を持ち、対称顔についても魅力度を向上させる一つの要因であることが示されている。

    第5章「スーパー平均顔よりも美人な顔とは」
    平均顔よりも美人とされる顔の特徴とは、目が大きいこと、顎が短いこと、鼻の面積が小さいこと、頬が狭いことであり、これは幼型化とされている。
    好まれる理由としては、男性が生まれてくる子供が自らの子供である可能性が高いと判断できるからである。
    かつては年齢を見た目から判断するしかなかったためであるとされている。
    また笑顔を強調させる口の大きさも魅力を高める。
    一方でこれらは女性の魅力を高めるに過ぎず、男性から女性に対しては効果を及ぼさない。

    第6章「魅力的なからだとは何か」
    この章では特に女性の体に着目をしている。
    その中で3つの要素(WHR, BMI, バストの大きさ)が紹介されている。
    ①WHRとはウエストの細さを示す指標であり、
    くびれが大きくなるほど指標は0に近くなる。
    その中で、魅力的と判断される数値は0.7である。
    男性はこれらを瞬時に判断する能力を持っている。
    ②BMIは15〜20の間が最も魅力的。
    これは年齢?や出産に関連して魅力度に差が出る
    ③バストは大きい方が魅力的。
    これはバストの大きさが脂肪分や栄養の多さにも関連し、出産可能性の高さに関連して、魅力度を高めているという。

    第7章「魅力的な男性とは何か」
    魅力的な男性とは経済力のある男性である。
    女性は妊娠というリスクを抱えているため、人間に限らず男性に対して先行的な投資を求める。
    男性もこの投資によってその女性を大切にするという仕組み。
    男が身体的な浮気に、女性が感情的な浮気に嫉妬を感じやすいのもこれらの点が要因。

    第8章「マッチョで男らしい男がモテる条件」
    マッチョで男らしい男と女性らしい男。
    この両者にはそれぞれでモテるタイミングがあるとされている。
    男らしい男は、短期的な交際や関係で好まれる。
    女らしい男は、長期的な交際や関係で好まれる。のである。
    これを短期的配偶戦略と長期的配偶戦略という。
    これにはいわゆる「やりにげ」という要素が関与している。
    そのため、魅力的な女性は、男らしい男を求める。
    これはやりにげされる心配がないからである。
    また、女性は排卵期に魅力的になる傾向があり、浮気の可能性や男らしい男を求める傾向が強くなるとされている。

    第9章「なぜ恋人同士は似ているのか」
    恋人同士の顔は似ている?実際に似ている傾向がある。
    しかしどのような人も魅力度の高い人を好むデータもある。
    これは、自らと付き合える可能性を予測した上の行動をとるという傾向、釣り合っている方が発展する傾向にあるためである。
    バランスが重要な理由は、相手の浮気の心配をしなくていいから。一方でセルフチェック傾向(自分自身がどう見られているかを気にする傾向)が高い人は、美人を好む。
    顔が似るのは、長期的な信頼において顔が似ている人や動物を選ぶ傾向にあるから、食生活などが挙げられている。
    短期的にはそうではない。

    第10章「美人•ハンサムじゃなくても大丈夫!」
    美人やハンサムは指摘されているように短期的な関係を求められやすく、長期的な関係を求められない傾向にある。
    また注目されすぎる、陰口を叩かれるなどの傾向がある。
    また恋愛のSVR理論に基けば、
    S(Stimulus:刺激)では外見的魅力が強い影響。
    V(Value:価値観)では性格や趣味などの内面が影響。
    R(Role:役割)では長期的な関係を持てるかが影響。
    また外見的魅力判断システムは単純接触効果(何度も顔をあわせる)によって薄れる。

    このようにまとめられている。
    共感できる部分があれば、意外であると感じる部分もある。
    私たちの心理は表層部と深層部があることがよくわかった。
    恋愛に関する本はどこかで共感や安心感を求めてしまうことで、このような内容にがっかりしてしまうこともあるかもしれないが、改めて客観的な数値に基づいた指摘に触れることで、違った視点を獲得できるのではないだろうか。

  • 容姿端麗な人がいかに得をするか、ということを数多の研究を拠り所に書いている本でした。数字で事実を突きつけられてなかなか苦しくはなりますが、肌感覚では、10章の「ハンサム意外ととモテにくい(結婚しにくい)説」にすごく納得が行きました。というか、そう強く信じています。信じたいです。ここだけ、研究による客観的事実は出てきませんでしたが。

  • 読んでる途中で辛くなってきた笑
    美人は如何に有利であるかが様々な論文から検証されており信憑性がある。性格がよく見られる、頭がよく見られる、社会からそのような期待の目で見られることにより、実際に性格も頭も良い。現代社会で美貌ゆえの玉の輿は難しい。肌の綺麗さは平均顔に匹敵する美しさを規定している。顔の下半分が小さい幼顔が魅力を向上させる。BMIは15〜20、ウエスト対ヒップは0.7程度がちょうど良い。美女と野獣より似たもの同士の方が長続きする。

  • 学生(らいすた)ミニコメント
    美の真実を知って、美は定義されていない

    桃山学院大学附属図書館蔵書検索OPACへ↓
    https://indus.andrew.ac.jp/opac/book/654686

  • とても勉強になりました。
    外見的魅力は同じくらいの相手がやっぱりいいですよね。

  • 美人やナイスバディ←を極めて冷静に分析している本w
    全ては子孫を残すために本能的に備わっているもので、恋愛に浮かれていると思っても、すべては子孫繁栄のためにDNAに組み込まれたものなのだなと、、、面白いような、つまらないような、不思議な気分に見舞われました。
    ですが、美人であることは生きる上で色々有利になるのは確か。
    美人すぎたり、ナイスバディ過ぎたりするのはそれはそれで苦労もあるけど、普通より少し上を目指すことで、人生がうまくいくようになっている。

  • 人間がどのように異性を選んでいるのか、評価しているのかがわかった。
    自分には残酷な本だったが面白かった。

  • 自分の容姿に自信がある人が読めば、更に自己肯定感が上がる内容です。最終章には美人やハンサムの苦労話も楽しんで読めると思います。
    世間一般に言われているように、外見が良い人は好印象を持たれるので得だそうです。そして、本人もその印象を維持するため努力をします。
    でも、この本を読んでいて考えたのは、「外見の良さは内面の表れなのか? あるいは、外見が良いから内面が磨かれたのか?」という疑問。
    他には、美人、ハンサムと言っても、定義がわかりにくいのですが、調査結果で「〇〇%女性的要素が入った男性の顔が選好された」、など具体例が合って参考になりました。

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著者プロフィール

越智 啓太(おち・けいた)
法政大学文学部心理学科教授。
横浜市生まれ。学習院大学大学院人文科学研究科心理学専攻修了。警視庁科学捜査研究所研究員などを経て現職。臨床心理士。専門は、プロファイリングや虚偽検出等の犯罪捜査への心理学の応用。その一方で、素朴なオモシロ研究を愛しさまざまな論文を密かに読み進めてきた。また、これらの研究を追試することを生きがいにしている。最新論文は「恋愛関係における『恋は盲目』バイアス」(法政大学文学部紀要)で、今の恋人は過去の恋人よりもかっこよく(美しく)みえることを科学的に明らかにした。
著書は、『ケースで学ぶ犯罪心理学』(北大路書房)、『テキスト 司法犯罪心理学』(北大路書房)、『臨床心理学と記憶心理学のコラボレーション』(北大路書房・共著)、『美人の正体』(実務教育出版)、『恋愛の科学』(実務教育出版)、『progress and application 司法犯罪心理学』(サイエンス社)など多数。
テレビ・映画等メディアでも、犯罪心理学や社会心理学の観点から多くの人気ドラマを監修、コメント出演をしている。
趣味は授業と資格取得。「甲種火薬類取扱保安責任者免状」「警戒業務管理者・専従警戒要員」「心電図検定」などマニアックなものを中心に多数の資格をもつ。

「2021年 『すばらしきアカデミックワールド』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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