- Amazon.co.jp ・本 (377ページ)
- / ISBN・EAN: 9784789730020
作品紹介・あらすじ
「個人個人が、共通のDNAでつながった近い関係であることを理解すれば、民族差別や偏見、争いや攻撃をなくすことができるだろう」著者ブライアン・サイクス遺伝学の泰斗である著者は、五千年前のヒトの化石からDNAを採取することに成功。それをきっかけに母系でのみ受け継がれるミトコンドリアDNAを解読した。現代欧米人の95%は七人の母に行き着くことが証明されたのである-人類をつなぐこの共通祖先の存在が明らかになるまでの知の格闘と、七人の母たちが海を越え、大地に踏み込んで世界に広がっていくまでの物語を綴ったノンフィクション。
感想・レビュー・書評
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ミトコンドリアDNAを用いて母系祖先へ出会うための活動と、ヨーロッパにおける7人の母の生活を想像した文学が融合した一冊。
フィールドワークの楽しさと大変さ、科学界での激しい論争に揉まれながら、著者は母に一歩ずつ近づいていきます。
後半には文学的な想像の物語があり、彼女たちの過酷ですが普通の暮らしについて綴られています。
日本人の祖先についても扱われており、既に日本の女性らしい名前が与えられています。
我々に一番近い一族の母たちにも共通祖先があり、全てがアフリカ発祥であることが解明されています。
人種に関係なく繋がり、皆がホモサピエンスの親戚であることが科学的に証明されています。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
子孫が絶える人はいても、先祖の無い人はいない。普通の人は系図を三世代以上さかのぼることは難しいが、しかし彼らが存在していたのは間違いない。そして、現代人より原始人の方がずっと少なかったことから、共通の祖先を持つ現代人同士はかなりの数になるはずだ。
著者らの研究グループは、母親のみから受け継がれるミトコンドリアDNAの性質を利用して、現代人の遺伝系統の調査を行った。その結果、欧米人の95%は七人の母に繋がっていることが判明したという。ちなみに日本人の95%は九人の母に繋がっているとのことで、さらに言えば全人類は一人の母“ミトコンドリア・イブ”に繋がっている。
もちろんそれ以外の数多くの女性の子孫が絶えたという意味では無い。娘の娘の娘の娘の‥‥と女性だけの系統(母系)が現在まで続いているという意味だ。もし“完全な”家系図を描くことができるなら、もっと多くの男女が現在まで子孫を残していることがわかるだろう。
本書は最先端の遺伝学を一般人にもわかりやすく解説した科学読み物であり、ストーリー仕立てはなかなか秀逸だ。ただし、七人の娘それぞれの生活を再現した章は、考古学的な証拠に基づく記述と著者の想像の産物との区別がつきにくいのが難点。まあ、ロマンチックな物語と思って読めばいいのかもしれないが。
本書で中心的に述べられているのは、最初に研究されたポリネシアと、主な研究対象である欧米である。またアフリカは人類発祥の地として語られる。それ以外の地域では日本も少し言及されている。
ミトコンドリアDNAの解析によれば、アイヌ人と琉球人は恐らく縄文時代以前からいた人々の末裔で、その他の大部分は弥生時代に朝鮮半島から渡ってきた人々の末裔だと言う。それなら、古代に半島から来た“渡来人”というのは、異民族ではなく、遅れて渡って来た同胞なのではないだろうか? 色々と物議を醸しそうなテーマだが、その辺はやはり日本人による研究を期待したい。 -
日々科学は進歩しているんだなぁと思わせられる。今の結局イヴの娘は世界中で何人いるのだ?それぞれの娘について書いてある章はどういう根拠があるのかがイマイチ分からなかった。
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結構生物学的なんだけど、意外と読みやすい。でもこれまだ読み途中だから早く読破したいなー
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ミトコンドリアの持つDNAは混ざらないから、祖先へと遡ることが容易。こうして現代人のミトコンドリアからその母系の祖先を探っていく。ヨーロッパでは7人の母に行き着き、更に世界的にも調査が進んでいる。
すごい話だ。なにより、自分もこの物語に参加しているところがすごい。間違いなく、あなたもその1人だ。日本人の母も9人に行き着くという。私の母は誰だろう?