疎まれし者デカルト: 十八世紀フランスにおけるデカルト神話の生成と展開
- 世界思想社教学社 (2004年10月1日発売)
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- Amazon.co.jp ・本 (299ページ)
- / ISBN・EAN: 9784790710837
作品紹介・あらすじ
「デカルト神話」の謎に迫る。ヴォルテールなど啓蒙主義者たちのデカルト批判にもかかわらず、デカルトの思想が十八世紀フランスを生き抜いたのはなぜか。「オランダで迫害され、フランスに疎まれたデカルト」という神話の謎を、広範な文献の渉猟によって解き明かす。
感想・レビュー・書評
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「オランダで迫害され、フランスに疎まれたデカルト」という定式を出発点にして、18世紀フランス啓蒙におけるデカルト像を描き出す研究。ヴォルテールがニュートン力学とデカルトの渦動論を比較して前者に軍配を上げていることは有名だが、そうしたデカルト批判の議論が同時代のフランスでどの程度広がっていたのか、そうした議論をすることと知識人集団の中での立場の問題、デカルト主義とジャンセニズムが親近性があると見られていたこと、などなど、科学史的問題というよりも、科学思想的問題が18世紀の文脈において論じられている。近代哲学の先駆者とされるデカルトが、18世紀にどれほど批判に晒されたか、あるいはどのように当時の状況に即して再解釈されたかが具体的に描かれており、非常に面白い。
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