- Amazon.co.jp ・本 (216ページ)
- / ISBN・EAN: 9784790717706
作品紹介・あらすじ
本屋は焚き火である
本と人が集い、直接触れあえる場所、本屋。なぜ人は敢えて本屋をたずねるのか。書店員は仕事に何を求め、自分の個性をどう生かし、どんな仕事をつくっているのか。火を熾し、薪をくべ、火を焚き続ける、書店員18人の仕事論。
▶18人の書店員
モリテツヤ(汽水空港)
宇田智子(市場の古本屋ウララ)
田尻久子(橙書店・オレンジ)
奈良敏行(定有堂書店)
辻山良雄(Title)
堀部篤史(誠光社)
黒田義隆(ON READING)
北村知之(梅田 蔦屋書店)
岡村正純(大阪高裁内ブックセンター)
徳永圭子(丸善博多店)
東二町順也(紀伊國屋書店新宿本店)
北田博充(書肆汽水域・梅田 蔦屋書店)
磯上竜也(toi books)
長江貴士(元さわや書店フェザン店)
鎌田裕樹(元恵文社一乗寺店)
狩野 俊(コクテイル書房)
田口幹人(合同会社未来読書研究所・北上書房)
編者:三砂慶明(読書室・梅田 蔦屋書店)
▶本文「序」より
この企画をすすめるにあたり、最初、脳裏に浮かんだのが、定有堂書店の奈良さんの言葉でした。私が定有堂書店でお話を伺っていて印象的だったのは、「本屋は焚き火である」というお話でした。
一冊一冊の本には、それぞれ著者の熱がこめられていて、それがまるで焚き火のように読者を温めている。焚き火は暖かいからまわりに人が集まってきますが、みんなが火にあたりに来るだけではいつか消えてしまいます。でも、来る人がそれぞれ薪を一本ずつ置いていけば、火は燃えつづけることができるのだと奈良さんに教えていただきました。
私たち本屋は本を並べることで、読者は本を買うことでお互いを支えつづけています。私は奈良さんの言葉を聞いて、はじめて自分の仕事を通して何か世の中の役に立っているのかもしれないと実感することができました。
私たちの生きている世界は、私たちが積み重ねてきた仕事の上に成り立っています。私たちが住む家も、着る服も、食事も、誰かの仕事の結果です。私たちは生きている時間の大半をそれぞれの仕事に費やしています。だから、良い仕事をすることは、より善く生きることと密接につながっています。
私は本屋で働いているので本が中心ですが、本屋の仕事について改めてもっと深く知りたくなりました。尊敬する書店員の方たちは、なぜ本屋を選んだのか。働くことを通してどんな価値を生みだしてきたのか。本への愛憎。本棚の耕し方。お客様との対話。お店を成り立たせるためのマネジメントについて、書店員の先輩方にたずねてみることはきっと、ほかの職業にも通底する本質的な問いだと信じています。
感想・レビュー・書評
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本を売る人たちを書いた本書を図書館で借りて読むのはちょっと後ろめたいものがありましたが…。
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しかし!本書はそんな狭い了見ではなく、全国の本屋さんの熱意と、本への大きな愛で包みこんでくれました。
中でも注目したいのは、田口さんという人が作った、一冊からでも本の取次ができる「ホワイエ」という仕組みです。これは取次の革命と言えるのではないでしょうか!?
本は「どこの本屋で、誰から買ったか」が大事、という言葉も印象的でした。
最近知ったのですが京都にある恵文社さんみたいなところだと、同じ本でも買った嬉しさが一味違うような気がします。(行ってみたい)
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ブクログのレビューを読んだ誰かが、その本を気に入って一冊でも本を買ってくれるかも知れない。
そう思えることはブクログの良さですし一つの理想ですが、生業として考えるときっと大変なんだろうなあとも思います。
今後も「薪をくべる」ことを考え続けて行こうと思います。そしてまた本を買います!
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→再読記録に余談アリマス
出会い系サイトで本をすすめまくった
あの人が!
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書店業が既にビジネスとしては成立せず、茶道や華道のような「道」になって来ているのがしんみりと悲しい。ですが、そうやって生き方としての本屋を模索している人々の姿を確認すると、それだけでホッとするし救われたような気がします。
本好きしか読まない本屋本。やはり好きだなあ。 -
大きな書店には気軽に入れる。こだわりのありそうな小さな本屋に入るには、私の本好き程度では恐れ多いのではないかと思っていた私なりの感覚を払拭してくれる本。
本の中に出てくる各書店員には、出会いや縁づくりになりたいとの思いで本屋を開業している共通点があった。
そして、読者が本と出合うために、一冊一冊の魅力をより引き出す棚づくりという演出をしている。この棚づくりから漏れ出す書店員の思いを、棚の前に立ち、感じ取れたらどれだけおもしろいだろうか。
呑むこと、食べること、買うこと、そして子供達へ本の魅力を伝えるなど、本と出合うきっかけづくりは様々あるとして、現代にあったカタチで読書を広げ続けている。
出会いや縁づくりを思い、読書を広げ続けている本屋というものを知り、これから私も小さな本屋に入ってみようと思った。 -
本屋は焚き火である
人は、なぜ本屋を訪ねるのか?
本屋が生み出す新しい価値とは?
18人の書店員が語る本屋の仕事。
もう、本、という物理的な物体を持つことを諦めた。図書館と電子書籍へ切り替えよう。
そう思っていたはずなのに。
つい、書店に吸い寄せられてしまう。
どこに行っても本屋を見つけると入ってしまう。
読めない本ばかり売ってる海外の本屋でもそうだ。旅先で、空港で。
長く電車に乗って通勤していた頃は、朝の通勤で手持ちの本が読み終わってしまい、何も持たずに帰りの電車に乗ることができなくて、間に合わせの本を買おうとして書店に入り、迷いに迷って、迷いまくって、片道の電車に乗ってる時間ぐらい書店にいたりする。
この本は、本屋を始めるには、火を熾さなければならず、本屋を続けていくには、火を焚き続けなければならない。そんな想いで本屋を立ち上げ,本屋を続けるために奔走する人たちのインタビュー。
全国の有名書店の店主の話、本に携わる楽しみ、大型書店から独立系書店に関わるお話に、とてもワクワクする。書店が好きな人なら、いつも行く書店へのさらなる愛が芽生えるかもしれない。
本屋は人と物語が出会う場所であり、本との出会いも物語になる。 -
本屋さんの仕組みとか苦悩とかそういうのも含めたリアルが見えて面白かった
ただの本好き、読書好きなだけでは決して書店員なんて務まらないなと感じた
私自身、図書館で本を借りることが多く本屋で本を買うことが少ないので読んでて何となく心が痛かったが、余裕がある時はできるだけ家の近くの本屋で本を買いたいと思う -
名物書店員さん達でもこれだけ苦しんでる話を読んでしまうと、本屋やってみたいけど、厳しいんだろうな、と思ってしまう。
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各地で日々本を手渡し続ける人たち。
場を、棚を、その方法そのものを作り続け、実践し続ける。胸に留め置いておきたい言葉に出会えた。 -
書店員による、仕事の仕方とか、こだわりなどの語りを収録。対談もある。
本の選び方についての話は面白かった。本が棚の文脈を作る。
紹介されていた方の書いた本を読みたくなった。