旅するモヤモヤ相談室

  • 世界思想社
3.41
  • (5)
  • (5)
  • (9)
  • (0)
  • (3)
本棚登録 : 231
感想 : 26
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (208ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784790717812

作品紹介・あらすじ

タンザニアの行商人、ブータンの酒飲み、エジプトのムスリム、パスタを深く味わうイタリア人……世界を知れば、悩みは解ける! 医学生が、先生たちを訪ねて見つけた、目からウロコの生きる知恵。読むと心が軽くなる、閉塞感を打ち破る対話集。

【本書に登場する先生たち】
小川さやか(立命館大学大学院先端総合学術研究科)
坂本龍太(京都大学東南アジア地域研究研究所)
石井美保(京都大学人文科学研究所)
東長靖(京都大学大学院アジア・アフリカ地域研究研究科)
宮本匠(大阪大学大学院人間科学研究科)
風間計博(京都大学大学院人間・環境学研究科)
前田昌弘(京都大学大学院人間・環境学研究科)
岩谷彩子(京都大学大学院人間・環境学研究科)
藤原辰史(京都大学人文科学研究所)
松嶋健(広島大学大学院人間社会科学研究科)
広井良典(京都大学人と社会の未来研究院)
山極壽一(総合地球環境学研究所)

【本書の特徴】
◎世界各地で調査する研究者に対する100時間以上のインタビューを濃縮
◎「こんな生き方ありなんだ!」という医学生の瑞々しい感動の記録

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 旅するモヤモヤ相談室へようこそ 『旅するモヤモヤ相談室』まえがきより | せかいしそう
    https://web.sekaishisosha.jp/posts/7002

    [医学部 4年生] 木谷 百花 | わたしの京大力 | 京都大学 創立125周年記念事業特設サイト(2020.10.08)
    https://125th.kyoto-u.ac.jp/kyodai-ryoku/05/

    旅するモヤモヤ相談室 - 世界思想社
    https://sekaishisosha.jp/book/b620424.html

  • いろんな学者さんへのインタビュー集。人類学者さんが多めかな。効率化を極めたがりたい世の中ですが、別の見方を提示してくれます。「神が望むなら」「大したことないよ」

  • 京大医学部の筆者が、京大を中心とした世界各地を調査する研究者に直接会って、現代日本の処方箋を聞くというコンセプトで作られた本。
    一年くらいかけて、1人ずつゆっくりと読んだ。(というか、放置してたまに読んだという感じ)
    医学と文化人類学は親和性があるのか、文化人類学の教授が医学部に所属する国公立大学もある。総合診療科は特にケアの見地から文化への関心が高く、大学を跨いでの文化人類学の本を読む読書会も開催されているところもある。

    最後に登場するのはゴリラの山際先生。動物から学ぶ共生という観点からも、シェアとコモンズという発想が生まれるようだ。
    斎藤幸平の本が広く読まれるのは、研究のどの観点からも斎藤幸平の提言する未来予想に流れ着くからなのだなと感じた。


    一番印象に残ったのは、藤原辰史さんの日本で基本的人権が抑圧される社会になってしまった理由
    一つは、第二次世界大戦時に築き上げられた「総力戦」の空気を熱血サラリーマンたちが会社への忠義ときて戦後も引きずってしまったこと
    二つ目は、戦後すぐGHQが日本を占領きてしまった後冷戦となり、民主主義と非民主主義が混在してしまったこと。
    三つ目は、やはりネオリベラリズムの台頭。

    それから、鳥取にある「野の花診療所」というホスピスの取り組みも覚えておきたい。診療所なのに充実した図書室や、一人で自分を見つめられる瞑想室があり、キッチンでは美味しいお弁当を作っている。読書や食を通して人が尊厳を保つ場所が次々とできるといいなと思う。

  • 医学生の著者が日本人の抱える日々のモヤモヤは海外の馴染みのない文化の中にこそ解決のヒントがあるのではないかと考え、日本各地にいる文化人類学者に人生のヒントを聞きに行く話。

    文化人類学者は生業が現地人と同じように生活し、その文化にどっぷりつかるフィールドワークが主であるために、一般人が短期旅行で経験するのとは全く異なる経験をしている。

    その中で得る気付きや発見は、「先進国」であり「資本主義経済」で生きる日本の常識からは思いつかない有益な物であったりする。
    確かに日本は経済的には豊かな国に分類されるが、果たしてそれだけが追い求める姿であるのか?はこういう本を読んで自問してみるテーマだと思う。

    海外の場所は
    タンザニア、ブータン、インド、ガーナ、エジプト、キリバス、スリランカ、ドイツ、イタリア、そして日本

    特に記憶に残ったのはタンザニアにおけるお互いが扶養し合う考え方。日本には中々見られない寛容な考え方である。またキリバスの極限地帯での生活も心に残った。

    正直期待以上に面白く気づきの多い良い本でした。

  • この本を読んでいると本当に旅するような気持ちにさせてくれます。しかもブータンやキリバスなど日本人にとってはあまり馴染みのないマイナーな国の経験を語る方もいらして、遠い国に想いを馳せながら読了しました。

    初めは単純に坂本龍太さんの活動やフィールド医学に興味があってこの本をとってみただけなのですが、それぞれの専門家たちのテーマや経験談は興味をそそられますし面白かったです。ですがやはり専門の研究テーマから有効成分を抽出しているので、人によっては難しいと感じる文章もあるかもしれません。

    何かに悩んでいる時って無意識に視野が狭くなってしまうけれど、こうやって遠い国を思い浮かべてみて、世界は広いのだと楽観的に考えられる姿勢を学びました。

    京大の先生方って学風故なのか、素敵な考え方を持っていらっしゃるなあという印象。こんな先生方がいる大学で学んでみたい、、

  • 世界各地を調査する研究者たちへのインタビューを、現代人の悩みに沿ったカルテと処方箋という形でまとめた本。たとえば、「自分に自信がない」という悩みには、タンザニアの行商人の「外付けハードディスク」的友人に頼るという生き方を紹介。この他、異文化の生きる知恵が満載で、視界が広がる 1 冊です。各症状にオススメの本のリストも付いています。

  • 世界各地でフィールドワークをしてきた京大の先生方に、現地での体験やそこから得られた考え方などを語ってもらう形式。
    憑依とか、妖術とかの、超常現象と思えるような事柄についても言語化されているのはさすがです。
    私は、特に後半に、共感できたり参考にさせてもらえたりする部分が多くありました。
    そして、日本人の中にも幅広い多様性があるけれど、それも世界から見たら狭い範囲のものかもしれない、ということ。だから、そこに縛られてしまうのは勿体ないことなんだと思った。
    また、日本・世界の現状は、時代の流れの中で形づくられてきたものだから、歴史的背景を知ることは大事。他の地域や国の、現状や歴史的背景に参考にできる部分が大いにあって、大切に残していったり変えていったりできるんだ、と思った。

  • 【他の世界を知ること】

    人に話を聞くことが好きと気付いた京大の医学生が、移動や交流が制限されるコロナ期間の機会に、世界各地でフィールドワークを実施してきた15人の教授にインタビューをし、まとめたもの。

    ここ、以外の世界を知っていること、具体的に、そしてそのぶっとび度、は強いな、とあらためて思った。

    各先生からのおすすめの文献も掲載されていたので、いろんな世界観を深める旅が続きそう。

  • 世界各地でフィールドワークをしてきた学者たちを訪ねて聞いた話をまとめた本。面白かった。

    当然とも言うべきか文化人類学の人が多いが、それ以外の学問領域の人も取り上げている。
    (私が)これまで通りの読書生活をしていたら接することのない話があれこれあった。予備知識が全くなかった領域の話がとても面白かったりする。(それほど面白くなかったりもする)

    それぞれの先生が関連書籍を紹介しているが、フィールドワークをまとめた本だけではなく、一見なんの関係もない文学作品を取り上げられていたりする。
    多和田葉子とか川上弘美とか中島敦とか安部公房とかフィリップ・K・ディックとか、津田恒美の奥さんとか、どういう学問領域と関係して紹介されるか予想できます?
    なので、次の読書のネタが広がる本です。普通にしていたら読まないであろう本に興味がつながるので。

    というわけで、カテゴリ設定の難しい本ですが「読書」カテゴリに分類しておいた。

    ※ブクログでは小川さやかさんが著者としてクレジットされていますが、編者である木谷百花さんをクレジットするのが妥当だと思う。Amazonは編者と著者がいる本でそういう扱いにするからなのだけど。

全26件中 1 - 10件を表示

著者プロフィール

小川さやか(おがわ・さやか) 立命館大学先端総合学術研究科教授。専門は文化人類学。研究テーマは、タンザニアの商人たちのユニークな商慣行や商売の実践。主な著書に『都市を生きぬくための狡知――タンザニアの零細商人マチンガの民族誌』(世界思想社、2011年)、『チョンキンマンションのボスは知っている―アングラ経済の人類学』(春秋社、2019年)など。

「2022年 『自由に生きるための知性とはなにか』 で使われていた紹介文から引用しています。」

小川さやかの作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×