- Amazon.co.jp ・本 (251ページ)
- / ISBN・EAN: 9784791766895
作品紹介・あらすじ
地中生活の長いセミに生きる歓びはあるのか、そして如何に夏の到来を知るのか。飛ぶのに4枚ばねが効率的なのに2枚のはねの昆虫が多いのはなぜか。なぜ蛾は嫌われるか。アリやハチたちの知られざる役割分担…。光と闇、寒暖など自然に鋭敏し感応し、懸命に生きる小さな生命の驚異と不思議。
感想・レビュー・書評
-
詳細をみるコメント0件をすべて表示
-
1990年~2005年頃にかけ,日高さんがいろんな雑誌に書いてきた昆虫エッセイを集めた本です。とくに,本書のタイトルともなっている「昆虫学ってなに?」というのは,動物園協会というところから毎年発行されていた「インセクタリゥム」という雑誌に掲載された文章だそうです(奥本さんのあとがきによる)。
この「インセクタリゥム」には若者昆虫研究者が,いろんな論文を寄せていたようですが,それを分かりやすく解説しながら紹介してくれていて,とてもおもしろいです。
昆虫の姿や名前は知っていても,その生活や種族保存のための努力などは,全く知らないことだらけなので,とっても興味深く読むことができました。
「生きものたちの世界は本来的に情報とコミュニケーションのシステムとしてできあがっているのではなく,何を情報に使って生きるかという闘いの場であるような気がする。これは,人間の世界でも同じことである。主体を抜きにした「環境情報」というものはあり得ないのだと思う。」(同書,p.105より) -
日高氏といったら日本に動物行動学という学問を広めた第一人者。
語学にも長けていた方だったらしい。そういえば、ローレンツやユクスキュルの翻訳も日高氏だった。
図書館で見かけて、若かりし頃『ソロモンの指環』を読み、動物行動学ってなんて面白いんだ!とその分野に興味がわいて関連する本を読むきっかけになったな~と懐かしくなり、手にしてみた。
昆虫の専門誌や新聞、その他雑誌などに掲載されたコラムなどをまとめたもののようだ。1ページ程度のものから長くても4、5ページと、ひとつひとつがとても短い。
だから、非常に興味深い内容に触れられていても、さらっと語るにとどまり全く掘り下げられていないケースがほとんど。また、数種類の雑誌などへの投稿だったために内容がダブっているものもいくつか見受けられ、そのあたりちょっと物足りなかった…。