動物は何を見ているか

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  • 青土社
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感想 : 9
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  • Amazon.co.jp ・本 (244ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784791766963

感想・レビュー・書評

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  • お前の目は節穴か! 何て言葉は最近聞かなくなったけど、まあ、何かしでかすと怒られるのは今も昔も変わらない。
    じゃあ、動物達は何を見てるだろう。興味がある題名ですね。

    なんだ、人間の方が色んな物を見ているから、注意力が散漫になったり、目移りしちゃうんだ。そういう風に出来ているから、そんな事で怒られたって直らないんだな。今度はそんな言い訳をしようかな。

  • 動物学者日高敏隆氏のエッセイ。
    BSプレミアムで「渋谷でチョウを追って」という日高敏隆氏の軌跡を追う番組を偶然みて興味を持ちさっそく読んでみた。

    番組は再現フィルムと日高氏のインタビューを交えてのもので、戦時下、体が弱く教師や親に「死んでしまえ」と言われたのを担任が家に訪ねてきて「息子さんを動物学者にさせてください」と親に頼んでくれ、軍事教練の厳しい学校からそうでない小学校へ移って楽になったこと、近所の昆虫好きの歯医者さんとの交流、強制疎開、結核での父の死、東京農工大学での講師生活など、来歴がとても興味深かった。

    それがこの本の「青春の道標」で書かれている。またチョウや虫の研究をして何になるのか?という問いはとても哲学的で、人間の存在意義にもかかわってくるな、と思った。アゲハ蝶はどこをどう飛ぶか?とということをずっと研究する。光の木立をなぞる、などということが分かってくる。幼虫はプログラムされて決まった葉っぱを食べて成長する。すべての生物はそこにいるだけで存在意義があり、人間もそうなのだ、と感じた。

    またダーウィンの「種の起源」の思想は「適者生存」という言葉で言われるが、正しくは「適者多産」で、自分の遺伝子を持つものを多く残したものは数も増え生き残り進化していく、ということだそうだ。

    「ぼくにとっての学校」により詳しく来歴を書いたらしいのでそちらも読んでみたい。

    ・「青春の道標」は日経教育欄に2000.10.7-12.30まで連載されたもの。

    BSプレミアム2018.5.30放送。2008年の再放送なのだが、なんと2009年11月14日に肺がんでお亡くなりになっていた。

  • 環世界

  • タイトルから、環世界の話であろうと想像して入ると大間違い。まえがきこそ、そのものずばりの話だが、ほとんどは自分史と、ちょっとしたエッセイなのである。背景を知って読むならこれはこれで興味深い。パワーポイントの功罪。「科学する心」という言葉が大嫌い、つげ義春のこと。つげといえば、僕は「石を売る」が妙に好き、いや、むしろ嫌いだった。今もその呪縛に取り憑かれているような気がする。
    それはともかく、環世界は後半までおあずけだけど、後半はみっちりとその話が出てくる。
    ネコは自分が一番偉いのだ、というような顔で人を見下ろしている。人間は自分が実は相当に阿呆だということを知っている。それが本当に偉いということではないか。
    パワーポイントの功罪は、すぐにそのものを写してしまうということに触れていた。実は相当に阿呆、ということを少し噛み締めてからいろいろなことに進まないといけませんね。最近は何かと「議論のもとに」とか「国民的議論が必要」とかいいながら、反射的な話ばかり。相当な阿呆であることを忘れずに。

  • 日高先生の本はいつ読んでも、その視点に感動します。
    人は一人では生きてゆけない。嫌な人でも好きな人でも、いろんな人がいたほうがよい。そこから学んで育ってゆく。
    科学とは主観を客観にしてたあげるプロセス。

    環世界という言葉をしって広い視野を持てるようになりました。
    人間のみ環境を自分たちの環世界に変えた。

  • 三分の一は面白く、三分の二はつまらない。死後本になってないのを纏めたせいか、纏まり無いし重複も多いんだよなあ。残念。同著者の別の本読み直すべきかも。もう自伝的な部分はいいや。

  • 動物ネタよりむしろ筆者の人生についての話がメイン。つまらなかった。

  • <本から>
    フォン・フリッシュ(1973年ノーベル生理学医学賞受賞尾)の
    ミツバチでの研究以来、昆虫に紫外線が見えることがわっている。

    ユクスキュルの『環世界』

    ウシとウマ
    ウシは反芻胃。ウマは反芻胃なし。次から次へと草を食べて、
    腸の終わりの部分で消化して栄養を吸収する。消化しきれなかった
    分は惜しげもなく糞にして捨ててしまう。だから、ウマの糞は繊維質で
    ぱさぱさしているのだ。
    雨がふらなかったりして牧場の草の質が悪くなると、ウシはその質の
    悪い草を胃に長く置いて、何とか消化しょうとする。必然的に食べる
    量が減り、ウシはだんだん痩せていく。
    ウマはそんなことは気にしない。どんどん食べて、腸の中を「流して」
    いく。草の質が悪くなってもウマの食べる量は増えるが、ウマが痩せる
    ことはないのだそうである。

    鳥たちの「食」
    鳥たちは本来空を飛ぶ動物である。重力に逆らって空を飛ぶのは
    大変なことだ。そこで鳥たちには、体の隅々に至るまで驚くほどの
    工夫がなされている。食べものを噛み砕く歯は、頭が重くなるので
    やめてしまった。だから鳥は食べものを丸吞みにする。それを砕いて
    擂りつぶすのは頑丈な胃だ。厚い筋肉でできた重い胃は、ちょうど
    体の重心に位置していて、飛んだり歩いたりするのに困らないように
    なっている。筋肉だけではだめなので、鳥たちは小石を飲み込んで、
    それで食べものを擂りつぶす。焼き鳥でいう砂肝だ。(略)

    熱帯にはチョウの他にも、キラキラ輝く美しい昆虫が特に多いですが、
    これは熱帯が情熱的で派手だということでは全くない。実は熱帯では
    日光が真上から照って非常に光線が強い。従って太陽の輻射熱も強い。
    昆虫はどうしても体が熱くなります。もともと気温は高いので、日なたに
    いたら昆虫は熱麻痺に陥って動けなくなります。太陽光の熱を遮断する
    ためには、できるだけピカピカ光っていたほうがよいことになります。
    そこであのようなピカピカ光ったきれいな虫たちが出てくるのです。
    あの美しさは体温を上げないため、熱を遮断するためのもの。しかし
    僕らが見るとあれは美しいなあと思えるのですね、不思議なことに。
    このようなことを見てきますと、美しさにはいろいろな意味があることが
    わかります。

    <感想>
    環世界、この単語の意味を知っただけでも、世界のとらえ方が
    違ってくる。純粋に「知る」っていうことは、「喜び」ということを、
    この本を通しても実感させられた。

  • 20130528たまにはこういう本もいいかもー。トリビアいっぱい。

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著者プロフィール

総合地球環境学研究所 所長

「2007年 『アフリカ昆虫学への招待』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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