ミーム・マシーンとしての私 上

  • 草思社
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感想 : 12
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  • Amazon.co.jp ・本 (237ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784794209856

作品紹介・あらすじ

なぜ、人間だけが文化をもつのか。高度な技術や言語、宗教は、なぜ存在するのか。それは人間にだけ、模倣の能力があるからだ。人間だけが何かを模倣することができる。ファッション、技術、イデオロギーなど、すべての文化は限りない模倣の連鎖の中で生まれ、死んでゆく。この単純な事実から、文化の本当の姿、自己意識の正体が解き明かされる。リチャード・ドーキンスによって提唱された、文化の遺伝子"ミーム"の概念を深化させ、ダーウィニズムの手法を文化・文明の解明に適用した革命的文明論。

感想・レビュー・書評

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  • 恐らく脳も遺伝子も含めて「自分」だと思っていたが、遺伝子も思考も自分とは別個の「何か」のように思えて来る。いったい「意識」とはなんなのか、人工知能の行末は…。この先物の見方が変わりそう。専門用語が多い割に読みやすいのもよい。

  • 身体に良くないモノは食べたり飲んだり吸ったりしないようにしよう、としてきた。一方で流行り物は知っておきたいとも考えてきた。

    読後、衣食住だけでなく知覚されうるすべてのことに関して「このミームを取り入れるべきか?」「このミームを発するべきか?」と考えるようになった。

    今心に浮かんだこの想いを言葉にして発するべきか?
    今聞いたこの話を誰かに伝えるべきか?
    そもそもこの情報に接するべきか?

    結果、以前より少し落ち着いたミームマシンになりました。

  • リチャード・ドーキンスが「利己的な遺伝子」の中で言及したミーム。
    近年のネットワーク関係の進化によって、一部では語られるようになったこの考え方であるが、なかなかその書籍に巡り合うことは少ない。

    たまたま、図書館で本書に遭遇したため、速攻で借りた。
    これは上巻であり、まだ道半ばだが、メモ程度に書き記したい。

    ミームとは非遺伝的な手段で、とくに模倣によって伝えわたされると考えられる文化の一要素であるとされる。
    しかし、本書内では、各個体の中において遺伝的な要素がからんでくる。模倣における発現性(浸透圧)のようなものだ。模倣に至る過程の中でその要素のどこが淘汰され、どこが遺伝されるのかという点が興味深い。

    ただ一つ残念なのは、翻訳が直訳っぽくて読み進めるのに非常に骨が折れるというところだ。下巻もそのままな気もするが根気よく読破したい。
    内容自体は素晴らしいので、興味がある人は一読を進めたい。

    ■目次
    1 奇妙な生き物
    2 ミームとダーウィン主義
    3 文化の進化
    4 ミームの視点から見る
    5 ミームをめぐる三つの問題
    6 巨大な脳
    7 言語の起源
    8 ミーム‐遺伝子の共進化
    9 社会生物学の限界

  • ミーム(文化遺伝子)というメタファー――もしかしたらそれ以上かもしれないが――を基点に物事を考えるのはすごく楽しいし、故にミーム学は結構これから流行るのかもしれないと思わせてくれる本。

    まだまだ発展途上だし、学問としては面白さだけじゃいけない。しかもミーム学は抽象度の高いものであるため、関心を引くためには、そう考えることで何がなしうるのかということも明確にしていく必要がある。筆者も認めているように、ミーム学はこの1世紀では大した活躍もしないかもしれない。

    しかし、文化相対主義のその後を見据えていく僕らは、必然的に今まで棄却した文化進化論的なものにもう一度良かれ悪かれ立ち向かわなくてはいけなくなる。その際のヒントを与えてくれる学問として、ミーム学は何らかの重要な貢献をするのかもしれない。本書はそう思わせてくれる。

  • ミーム関連の本は初めて。
    とても面白かったのだけれど、先に「利己的な遺伝子」は読んでおくべきだったのかもしれない。
    様々な仮説を紹介しつつ自説を述べるスタイルが読みやすくい。こういう書き方の本は信頼したくなる。

  •  
    http://booklog.jp/users/awalibrary/archives/4794209851
    ── ブラックモア《ミーム・マシーンとしての私〈上〉200007‥ 草思社》
     Susan Blackmore/垂水 雄二・訳
     
     意伝子 ~ The Selfish Gene ~
     
    http://booklog.jp/users/awalibrary/archives/4314010037
    ── ドーキンス《利己的な遺伝子 20060501 紀伊國屋書店》増補新装版
     
    (20111023)
     

  • 模倣子。物理的遺伝要素である遺伝子に対して非物理的遺伝要素について。私の身体は自己組織する情報総体の媒質でもある。

    この概念は既に使い古されていおり、(有効であるために)逆説的に指摘する程の価値を持たなくなった。
    しかし我らの避け難い性質として、共有化されていると思い込んでいる概念(国、赤、円…)は、実際は各個人の中で((再))創造されるものである(読書とはまさにその連続である)。理想的な統一概念があるわけではなく、膨大な表現型の集積がそこにある。それ(揺らぎ)がミームの進化アルゴリズムか…?

    とりあえずこの本には、ミーム論としては特段、目新しい事はない。上巻には。人間の模倣という行動が特殊であるという指摘に関しては幾分面白い。発育学を読もう。アフォーダンス的な行動の獲得とどう折り合いがつくのか、検討したい。

    数年の積ん読の末、読了。

  • ミームという自己複製子。
    DNAという遺伝子、自己複製子はよく知られているが、ミームというものは本書で初めて知った。
    それは模倣により複製される。脳から脳へ。DNAが生物学的に複製され伝播されていくが、ミームは脳から脳へ。例えば、口伝だったり書物だったり時には音楽だったりする。
    人の脳が大きいのも人がおしゃべりするのもみんなミームの複製のためとか。非常に興味深い理論である。

  • なぜ人間だけが高度な文化を持っているのか。スーザン・ブラックモアは人間だけが模倣する能力を持っているからだと主張しています。模倣によってミームが淘汰されていく過程で高度な文化が生まれてきたのだと。
    そして遺伝子だけでは説明できない自称もミームの自然淘汰であれば説明することができると。

    文系理系の境をやすやすと乗り越えて縦横無尽に論じているのは刺激的です。科学的な妥当性については私には判断できませんが、非常に面白い論考なのは間違いありません。ただ、上巻の2/3はミームの説明に費やされていて、面白くなってくるのは後半に入ってからです。それまでは多少我慢を強いられるかもしれません。

  • NDC分類: 361.5.

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