おすもうさん

  • 草思社
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  • Amazon.co.jp ・本 (272ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784794217745

作品紹介・あらすじ

そもそも「相撲」って何なんだ?スポーツではなく、いわゆる格闘技ともちがう。力士や親方たちに話を聞き、文献を調べ、歴史をひもとくと、じつはのん気でゆるやかな摩訶不思議な世界だった。

感想・レビュー・書評

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  • おすもうさんのイメージがいい意味で変わった!
    どうしてもサンクチュアリの影響かやべえ思想しかないのかと思ってた。

  • ふむ

  • 『弱くても勝てます」の高橋さんが描く、不思議なお相撲さんの世界。相撲は結構好きだがテレビで見るくらいで、中の世界がどんな風なのか興味があって購入。本書は最初から最後までゆるい感じで、実はお相撲さんの世界は結構ゆるいらしい。厳しい稽古に耐え、神話の時代からの伝統を守り、品位と力と格式と、、、などと思っていたら大間違い。国技館で実施するから国技であり、真剣にぶつかると怪我をするから待ったがあり、勝負の判断は行司ではなく審判団であり、かつ、彼らは親方として土俵に上がっている弟子たちの指導者でもある。なかなか不思議な世界であるが、「こういうものだ」とみんなが思っているから神事であり国技なのだと、なんとなく理解。

  • ラジオ番組『BOOK BAR』で紹介されていたので、気になって読んでみた。

    伝統を重んじて、厳格な規則の中で、毎日厳しい稽古に耐えている相撲界…のイメージが、完全にひっくり返った。
    「なぜお相撲さんになったの?」という問いには、殆どの力士が「周りに勧められて、気づいたらここにいた」という、何とも主体性に欠ける呑気な答え。

    相撲に関する儀式の由来、意味について問うと、「よく分からない」「ずっとやってきたから、やっている」「意味はない」という曖昧な答え。

    力士や行司、相撲関係者に直接取材している髙橋さんが戸惑っていて、取材される側も困っている様子が、何とも呑気で面白い。

    相撲に興味のない私が読んでも面白かった!

  • 相撲はゆるくてテキトー。親方も力士も行司さんも、いわれも何もかもが曖昧模糊としており、筆者の高橋さんと相撲界を旅すると、不思議の国に来たようであるが、日本ってのもそもそも曖昧なのでそのまま縮図のようでもある。ただそれは心地良いもの。鶴竜が不甲斐なくても怒ることはないんだな。。。高砂親方のモンゴルでの名言からのまれびと発想、「圧があれば食べられる」などが心に残った。

  • 高橋秀実にかかると伝統の国技ですら、全ての意味が崩壊し曖昧の海に沈んでいく。
    国技館と命名したから国技になり、神様の数も増えたり減ったり、曖昧の日本の私に相応しい国技の姿を見事にあぶり出しております。

  • 例によって、すごく困った気持ちにさせる高橋秀実さんの一冊。これを読むと「古いしきたりの中で連日の猛稽古に堪えて刻苦勉励してる」っていうおすもうさんのイメージが、どんどん揺らいでくる。とことん現場の感覚にこだわる著者ならでは。

    相撲に限らず、「伝統」が麗々しく持ち出されるときには、眉にたっぷりつばをつけなくちゃいけないんだよね。

  • 相撲ってこんなに高級なんだな…
    こりゃあ現代人は理解出来ないよね。

  • そっかー、そもそもおすもうさんに武士道とか品格とか、全然関係なかったんやーん。

  •  最近、超進学校・開成高校野球部の常識外れのセオリーを取材した『弱くても勝てます』がベストセラーになっている。同書を面白いと思った人に特にオススメしたいのが本書です。相撲の世界を取材し、身もフタもない…もとい、透徹した視点で描き出される、相撲界のルポルタージュ。それが本書です。

     体育で武道が必修となり、保守政党である自民党が衆議院で多数の議席を獲得した昨今、日本文化や伝統を大切にせよという声は強くなっているのかもしれません。
     日本の文化・伝統を見直し、それを大事にしていくことは誠に結構だとは思うのですが、「相撲は日本の国技だ!」「相撲道は日本の文化・伝統である!」と息巻かれると、それには違和感を覚えてしまいます。
     確かに、相撲は日本の文化・伝統であり、相撲に裏打ちされる日本人の気質というのはあると私も思います。が、それは多分に「ゆるふん」気質だと思うのです…

     本書を読んで唖然→爆笑したのが、相撲業界全体の流され気質。非常に言葉は悪いですが、主体性のないデブが周囲に流されていく内にいつの間にか相撲取りになっていた…そんな感じです。
     神棚や御幣など、著者が相撲にまつわるアイテムの故事来歴を一々聞くのですが、当の力士達は「そういうことになっているからそうしている」というだけ。別にそのことで相撲関係者を責めようとは思いません(「型の継承」も立派に意味がありますから)。むしろ、『徒然草』の狛犬の話のように、上っ面だけ見て相撲に日本文化・伝統を見出しているインテリの底の浅さを露呈させるエピソード…というのは意地悪い見方でしょうか?

     「相撲は日本の国技」というのも、両国の相撲施設を「国技館」と名付けたから。当時は「相撲如きが国技を名乗るとは何事だ!」という批判もあったとか。確かに、江戸時代の力士の身分というのは役者や芸者に近く、そう高いものではなかったことからしても、この批判の方が日本の文化・伝統にてらせば妥当なのかも知れません。

     戦前は合計十二柱の神が祀ってあったのに、戦後GHQによって三柱まで減らされた! というエピソードも、実際は「アメリカ人にアレが何の神様か一々説明するのがめんどくさい。なら思い切って説明できる三柱まで減らしてしまえ!」という、何だかなぁ…な事情によるものだった、など、相撲界の本来持つ「ゆるふん」で「呑気」な気質をあらわすエピソードには事欠きません。

     個人的に一番好きなのは、呼び出しと床山さんのエピソード。二人の少年が、なぜ二人が呼び出しと床山に分かれたのか…その真相は本書でお確かめ下さい。


     本書を上梓した後、相撲界で八百長問題が浮上し、その際著者は本書のような体質を語ったところ、ボロカスに批判されたそうですが(『結論はまた来週』参照)、著者が気の毒でなりませんでした。自戒も込めて言うと、我々が昔からの文化・伝統だと思っていることが、いかに歴史の浅い観念に過ぎないか、疑ってかかる必要があります。
     ちなみに、八百長を減らしたかったら、『ヤバい経済学』にあるように、7勝7敗同士に取り組みをさせれば良いのです。全部とは言いませんが、それだけで相当程度の八百長は減らせるでしょう。ガチ相撲を望むなら、そういう仕組みを作る方が合理的です。

     散々書いてきて何ですが、私は相撲界のこういう気質、嫌いじゃないです。底抜けの呑気さや人の良さって、それこそ日本人の憎めない気質の一つだと思いますから。

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