- Amazon.co.jp ・本 (400ページ)
- / ISBN・EAN: 9784794218544
作品紹介・あらすじ
鞄一つで世界中を放浪しながら1日19時間、数学の問題に没頭した天才数学者エルデシュ。83歳で死ぬまでに発表した論文は1500、有史以来どんな数学者よりもたくさんの問題を解き、しかもどれもが重要なものであったという。アインシュタインを感服させ、奇才ゲーデルを励ました数学界の伝説的人物エルデシュは、子供とコーヒーと、何よりも数学を愛した。やさしさと機知に富んだ天才のたぐいまれな生涯をたどる。
感想・レビュー・書評
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天才は風変わりだ。常識に縛られた我々の瞳にはそう映る。日本人の多くはエルデシュの生き方に惹かれることだろう。放浪よりも漂泊が相応しい。多くの数学者と共同論文を発表した姿が、どこか松尾芭蕉や小林一茶と重なる。
https://sessendo.blogspot.jp/2018/04/blog-post_19.html詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
近くにいると少し困るような人。
だけど、すごく魅力的。そんな本。 -
2021-02-21
名前だけぼんやり知っていた数学者の、数奇としか言いようがない人生。まあ、数奇な数学者は山のようにいるわけだが、エルデシュの場合は自らそれを選んでるところが感慨深い。
いや、そうとしか生きられなかったのかも知れない。 -
── ポール・ホフマン/平石 律子・訳《放浪の天才数学者 エルデシュ 2011104 草思社文庫》
http://booklog.jp/users/awalibrary/archives/1/4794218540
Erdo"s Pa'l 数学 19130326 Hungary 19960920 83 /Paul Erdo"s/籍=Engla"nder
https://oshiete.goo.ne.jp/qa/4016972.html(No.2 20080513 06:06)
パクリズム ~ わたしの愛した数学用語 ~
(20190727)
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ポール・エルデシュというハンガリー生まれのユダヤ人数学者の物語だ。数学マニアには有名な人らしいが、私はこの人のことは知らなかった。
エルデシュは、同時期にいたアインシュタインやノイマン、ゲーデルらと同じような天才である。彼はハンガリーで生まれ、20歳そこそこで数学の博士課程を卒業した。その後1つところに定住せず、定職にもつかず、様々な場所を放浪しながら数学の諸問題を考え続け、論文を多数書き残した。
晩年は1日19時間、数学の問題に取り組んできたそうだ。数学以外のことには一切興味を示さず、また数学が実生活に応用されることにも興味を持っていなかった。ピタゴラスやユークリッドのような、純粋数学の魅力に取り付かれた、数学狂だったと言えるだろう。
自分も数学が好きだが、エルデシュの気持ちは全く分からない。エルデシュには何が見えていたのだろう。数学の世界はきっと我々が思っているよりはるかに広く雄大で、無限のフロンティアに満ちているのだろう。エルデシュは、現実世界に生きていながら、また数学という別の世界に生きていたと言える。
ニュートンやガリレオなど偉大な科学者にも言えることだが、彼らを虜にさせ異常なまでに惹き付けるものとは一体何なのだろうか。思考、想像、発見、証明はそれほど楽しいのか。それとも、一部の天才にしかたどり着けない世界があるのか。
決して常人には理解できないのかもしれないが、それでもエルデシュのように、自らの頭脳のみを持ち合わせ、数学という偉大な真理の世界で人生を全うした人物を、この上なく羨ましく思ってしまう。 -
勿論、「素数の音楽」と重複する部分あるのだけど楽しく読んでいます。
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伝記の文章としてはあまりおもしろくないが、それは著者の責任であって、書かれているエルデシュ自身は実におもしろい。「気違い」と呼ぶべきなのだろうが、わたしはこう云う「気違い」が好きで、あこがれのような感じがある。
http://c4se.hatenablog.com/entry/2013/04/20/030104 -
数学者エルデシュの人生を追った本ですが、他のレビュアーさんの指摘のように、やや散漫な印象を受けました。
エルデシュの人生を書くのか、業績を書くのか、はたまた他の数学者の生き方を書くのか、ちょこちょこいろんなエピソードを詰め込んでしまったので、せっかくの面白いエルデシュという人物を書ききれてない気もします…
ですが、読みやすいですし難しい数学のところは飛ばしちゃっても問題なく楽しめました。400pほどありますが、文字も大きめなんでボリュームはそれなりです。 -
定住地を持たず、知人の数学者を転々としたエルデシュ。稼いだ金は人にやってしまったという。
今で言うノドマ・ワーカーな生き方。だからこそあれだけの数の論文や共著を作り出せたのかもしれない。
寅さんが数学者になったような感じ。
ソフト・ドラッグのごとくコーヒーを消費して脳を覚醒させるのは正直言って真似したくないが、それでもユーモアあふれる天才で合ったことは言うまでもない。 -
紙幅はかさばるものの非常に軽やかな本だ。
それはエルデシュ自身の軽やかさなのだろう。
研究を専門にする人間にとっての軽やかさとは
それに奉仕する純度によって彼の人生がシンプルになっているからだ。
そして、そのシンプルな態度から導かれている
同じように問いを持つことができる存在への
結果としての倫理的振る舞いは
我々が歯を浮かせて口走るヒューマニズムとは
決定的に違う確信がある。
我々が同じであるのは同じ性質を持つゆえでなく
同じ世界と直面していくからなのだ。