「日本の朝鮮統治」を検証する1910-1945

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  • Amazon.co.jp ・本 (310ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784794219978

作品紹介・あらすじ

近年アメリカでは日本の朝鮮統治に関する実証研究が進み、〝史上最も苛酷な植
民地支配〟といった民族主義の視点に立つ〝暗黒史観〟は修正されつつある。米国
の歴史学者が10 余年に及ぶ研究にもとづきこれを検証。日本統治下の朝鮮で
は現実主義、相互主義的でバランスのとれた政策が実施され、それが戦後韓国
の発展の礎となったと結論づけた瞠目の書!

感想・レビュー・書評

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  • h10-図書館2018.4.11 期限延長5/9 読了5/9 返却5/9



  • 草思社
    ジョージアキタ 
    「日本の朝鮮統治を検証する」

    植民地統治下で 政治経済が安定した朝鮮を評価検証した本


    日本が植民地経営に成功したのでなく、植民地統治により、機能不全だった政治が安定して、朝鮮の国力が戻ったということだと思う。

    歴史修正主義的に、韓国併合と同化政策を見ると


    韓国併合を通して、日本で実績のある政治家たちが、朝鮮国内に包括的に入り、国外の脅威を抑制し、国内政治を安定させたことになる


    日本の国益を考えると 保護国により利益線は確定しているため、韓国併合まで必要なかったと思うが、朝鮮王朝の政治機能不全状態を立て直すには、日本の政治機能がまるごと入る必要があり、韓国併合という包括的再編が必要だったように読める


    同化政策に関しては、日本人向けの政治的メッセージであり、日本人の不満を抑える目的があるように読みとれる。日本人のもつ朝鮮の人への侮蔑意識をなくすことが目的では? 朝鮮と日本を一つの国にして、同等に扱うことは 朝鮮だけでなく、日本でも反発があったのではないだろうか?














  • 2013.09.27 アゴラで見つける。
    2014.01.19 予約(杉並図書館)
    2014.05.16 読了

  • 2013年刊。著者はハワイ大学マノア校名誉教授とコースタル・カロライナ大学歴史学部准教授。統治検証は①韓国統治の具体的内容・成果・失策、②その根拠法令、③法令形成過程につき、全統治時期に亘り多くの具体的事実を積み上げる要あり。が、本書は関連性の薄い間接事実の列挙、具体的事実の欠如と、十分とは言い難い。むしろ、各種先行学説の評価・批判・擁護が主だが、根拠としての具体的事実の列挙には程遠い。ただ、本書の有益さは、韓国人研究者の実情、本書の言う日本統治の是の部分を正当評価しようとする学者が出つつある事実の紹介。
    全てが邦訳されているのではなさそうだが、ソウル大学の経済史研究者などがそれに該当する。むしろそちらの方が興味を引き、とりあえず、邦訳されているのを読んでみたいところではある。また、内容は十分とは言えないが、他の帝国主義諸国の植民地支配と日本の朝鮮支配のそれとを比較している項目があり、ここは意味ある記述かも。

     ただ、本書自体は根拠をきちんと提示した歴史の研究書とは言い難い。米国人著作で期待したが、全くもって残念。

  • 同じうような統治の仕方でありながら、台湾では一定の評価を受け、朝鮮では「人類史上類を見ない悲惨な統治」扱いをされる日本の植民地統治。その朝鮮統治について、丹念かつ詳細に一時資料にあたり、当時の他国の植民地統治と比較しながら、「九分通り公平」と結論付ける。また李氏朝鮮には無かった、現在に至るまでの近代国家の骨格を実は日本統治時代に作られていることを当時の詳細な例証と共に明らかにしている。
    著者ジョージ・アキタ氏は名の通り日系アメリカ人(と共著者としてアメリカの朝鮮研究家)。他の歴史家たちの学問として歴史を扱う態度についても多くを割き、デリケートなテーマを公平さを失わないよう慎重に論を進めるのは学者としての誠実さの表れだろう。左右両派の煽り節が多い日韓関係本では珍しい。
    さまざまな立場の韓国近代史の歴史家の言説を尊重しているが、唯一穏やかながら全否定されているのが、アレックス・ダッデンというアメリカの女性の研究者。この人はよく朝鮮日報などの韓国の新聞に登場し、その言説を読んでほとんど研究家というより左派活動家では? と感じていた人であった。そしてこの本では彼女の「研究」がいかに出典をや証拠を鑑みておらず(また主要な人名の間違いもある)、自分の主張に合わせて曲げられたものであるかを示し、歴史家としての「杜撰さ」を批判されている。

    私が朝鮮統治のまとまった歴史書を読んでみたいと思ったのは朝鮮日報を始めとする韓国の新聞があれほど日本に罵声を浴びせる論説が並びながら(またアメリカの論客としてよくこのダッデン女史が登場)資料に基づいた客観的分析が無く、実態はどうなのか知りたいと思ったのがきっかけだった。
    自分はある国家が他の民族・国家に同化政策を進める帝国主義は全く肯定できない立場だが、本書で示した日本の植民地統治が琉球→台湾→朝鮮と一貫しており、ある意味、明治維新の外部の拡張とも言えるのではないか。また教育とインフラに投資し、住民感情をも意識した当時の植民地統治として穏健なものであることは、時代の基準から見て客観的な評価だろう。

  • 朝鮮人は、日本人のによる差別の証として、賃金上の格差を繰り返し指摘する。日本人労働者が言及を承知の上で朝鮮に出向くことを即座に同意しただろうか?彼らを朝鮮で働く気にさせるためには、奨励金のような発奮材料が必要だった。開発途上国で多国籍企業に勤務するアメリカ人従業員は、同じ仕事をしている現地雇の従業員より高額の報酬を得るのが常である。

    日本が台湾において達成した偉業 アヘン中毒の根絶

    ベルギーの植民地コンゴ 1885 2000万 1911 850万人に減少
    オランダ領東インド諸島 強制労働
    フランス、ドイツ、ポルトガル、イギリス アフリカの植民地で強制労働

    日本は、強制労働に頼らず、抗日武装運動の鎮圧に強制収容所に収監していない、経済、産業、教育というのインフラストラクチャーを構築した

    1904 ソウルに小学校7,8校 500人
    1937 901万人

    フランス領カンボジア 総合大学なし、1953 大卒は144人

    フランス領西アフリカに総合大学は一校

    1937- 総督府 朝鮮人民の生活レベルを向上させることが自分たちの責務であると信じて行動した

    1930年代 百貨店あり 朝鮮に消費主義が拡大

    通常、植民地保有国は、被植民地の工業化を妨害したり、あるいは阻止した。

    日本の植民地体制を批判するものは、東学党の乱1894におきた農民の内乱。日清戦争勃発の直前に李朝を危うく倒しかけたことを都合よくわすれてしまう。

  • 三橋貴明愚韓新論より。日本の統治は欧州とは比べ物にならない程穏やかな統治であった。

  • 今日の韓国における植民地時代の歴史教育が、当時の韓国人を日本人に抵抗した良い朝鮮人と、協調した悪い朝鮮人という風に二分法的に区別していたのでは、当時の証言にあるような「ほとんどの人は日本の統治に順応していた」との声に入り込む隙間を与えない。限りなく抑圧され搾取されたのでもなければ、常に反発と暴動で応えていたのでもなく、終戦直前を除けば、お互いが現実になんとか折り合いをつけるよう配慮を示しあっていた。著者も強調するように、双方にある一次資料の日英韓国語への翻訳が、どれほど誤解を払拭し総合理解に寄与するか。

    日本には大津事件に見られたような、強力で独立した司法システムが存在し朝鮮統治でもそれは適用されていた。参政権の付与や識字率の向上など「日本が植民統治のために払った努力は、当時の世界の植民地の実態に照らして見た場合、穏健かつバランスが取れていた」とする。

    面白いのは、韓国における日本の朝鮮統治に関する民族主義史観で、一方では、日本は公衆衛生や教育施設、産業融資などの面で朝鮮の近代化になんら寄与しなかったとする一方で、朝鮮文化には悪影響を与えたとする主張で、こうした深刻な自己矛盾は歴史自体の歪んだ理解しかもたらさない。

  • 日本の朝鮮半島統治は非常に穏やかなものだったとの米国の歴史学者の主張。1891年の大津事件(ロシア皇太子傷害事件)の判決が日本の法治国家であったことを示し、朝鮮半島においても日本人として同化させようとする政策が、アフリカにおける欧米の厳しい差別政策と大きく異なるものであったと主張する。従軍慰安婦問題も日本人女性も同じ面があったという!確かにそうかもしれないが、同化させる政策が誇り高い文化と歴史を持つ民族には屈辱だったのではないか。例えば創氏改名、神社崇拝・・・。この著者が日系二世ということが影響しているのではないか?厳しい批判を先輩歴史・国際政治学者たちに浴びせながら、そのような心理面を理解できていないという疑いを持たざるを得なかった。李朝末期の腐敗と韓国の戦後の成長は日本統治時代の基礎にあるということは分からないでもない。しかしそれで絶対に免責されるものではないはずだ!

  • 正確に引用することによって客観性を維持することが著者の学者としての姿勢なのでしょうが、私の読解力で読み解くにはちょっと辛かったです。でも、客観的な内容に好感を持てました。山縣有朋を含め、一面的に語られることが多かった歴史的人物に、別の側面があることを知ったのは収穫でした。1938年頃までの朝鮮総督府の姿が分かったのは良かったです。それ以降の軍の関わりも知りたかったのですが、タイトル通り、内容は統治に限定しているのでしょう。

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著者プロフィール

1926年生まれ。ハワイ大学マノア校名誉教授。専門は近代日本政治史。

「2017年 『文庫 「日本の朝鮮統治」を検証する1910-1945』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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