文庫 ドイツ流、日本流: 30年暮らして見えてきたもの (草思社文庫 か 3-1)
- 草思社 (2014年4月2日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (264ページ)
- / ISBN・EAN: 9784794220455
作品紹介・あらすじ
日独の挾間にハマって28年。買い物・教育・食生活・政治のあらゆる違いを体験し、ぼやき、提言する、比較文化エッセイ。ドイツから素晴らしい日本が見えてくる! 単行本『サービスできないドイツ人、主張できない日本人』改題。
感想・レビュー・書評
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ケチで頑固、個人主義で自己主張が強く、サービス精神ゼロ(赤の他人を思いやる心ゼロ)のドイツ人。
長年ドイツ南部、シュトゥットガルトに住む著者が、ドイツ人気質や日独の文化を分かり易く比較した書。2011年発行。
著者は、日本人の美徳を讃えつつも、それが日本人の弱点であることに強い危機感を抱いている。
ドイツの教育制度、かなりひどいなぁ。小学校四年の後半の国語と算数の成績で将来のキャリアパスが決められてしまうなんて、知らなかった。これによって教育格差や貧富の差が生じているようだし、ドイツの繁栄も長く続かないんじゃないかと思ってしまう。そう言えば、イギリスも11歳の時のテスト(イレブンプラス)で将来が決まってしまうんだったっけ。今も続いてるのかなあ、この仕組み(別の本に、60年代に廃止されたってあったけど…)。
かつて数ヶ月、ドイツミュンヘンに滞在したことがあるけれども、本書でに書かれていること、確かに頷けることばかり。こんな国には決して長期間暮らしたくないなぁ。でも、どうやら日本よりドイツの方がグローバル・スタンダードに近いみたいだ。変わらないといけないのは我々日本人なのかもしれない。 -
ドイツに30年以上生活している著者の日独文化比較論。女性でありながら際どい題材も取り上げ、縦横無尽に分析していく切口は痛快である。オリジナルのタイトルは、サービスできないドイツ人、主張できない日本人。徹底した合理性の自己主張のドイツ人と他社共存で培われた日本人気質の対比を通して、ドイツ人には理解できない日本人の特質を浮き彫りにしている。ドイツでは10歳の段階で人生の進路が3分岐される教育システムになっていることには不条理さを感じるが、外国語の学習の力点が話すことに重点が置かれていることは学ぶべきと感じる。
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長年にわたりドイツに住む著者による日独比較文化論。旅のカバンに入れて軽く読めた。
ドイツ人気質と日本人気質の比較は他でも聞いたことがある話。
興味深かったのは、ドイツの教育システムを詳述している章。10才の時点でコース分けをしてしまうことにより大量の落ちこぼれや潜在的な貧困層・犯罪者予備軍を作ってしまっていることを問題視する一方で、論文重視のカリキュラムにより論理展開力や他者との交渉力が備わる点を評価している。
驚いたのは、南京大虐殺に関する誤った情報に基づくTVドキュメンタリーが複数回にわたって放映された結果として「日本人=残虐」、秋葉原のメイド喫茶のルポ報道によって「日本人男性=変態性癖」といったステレオタイプイメージが広がっているという点。 -
20150503
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何人だからと単純に評価することはできない。
何人に対しても。
何人であっても、自分のことや他人のことを完全には理解できないことを認識して、なお主張する技を身につけなくてはならない。 -
20147月
5日 -
ドイツだけではなく、海外に住んでいる人なら「あるあるある!!」となること間違いなしです。そして、価値観のギャップに傷つけられることもたくさんあるのだけど、この著者が言葉で説明してくれたおかげで「なるほどそういうことか」と腑に落ちた部分もたくさんありました。
なんというか、現象に名前が付くと認識しやすいというか、筆者が「こうこうこういうことがあって、こう感じたのだけどそれはたぶんこういう価値観があるから」と書いてくれることでもやもやした気持ちが、なんでもやもやしたのか分かった気がします。
友達にも読んでもらいたい! -
この手の本の面白さは書かれていることがいかに自分にとって新鮮か、というところにあると思う
その点では無知な人間としては面白く読めた