- Amazon.co.jp ・本 (224ページ)
- / ISBN・EAN: 9784794221254
作品紹介・あらすじ
そもそもドイツはどのように脱原発へと舵を切ったか? その結果、どんな困難に直面しているか? 「日本の脱原発」がそこから学ぶべき教訓は?
ドイツ在住30 年の著者が、ドイツの原発と再生可能エネルギー事情を解説、ドイツの脱原発の苦闘ぶりをレポートし、ドイツよりエネルギー環境の厳しい日本が真似ることの危険性に警鐘を鳴らす。
感想・レビュー・書評
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ドイツは脱原発の壮大な実験場であり、公表されていないうまくいっていない部分もある。ドイツの場合は企業活動に影響がないように配慮されていて、しかも裕福な国で地続きの隣国があるからこそ挑戦できている。
日本は、こういった「実験」には向かない。
拙速な脱原発は、国力を弱めるのは明らかなこと。
無理がない範囲で、試みるべき。そうでないと、いずれは貧乏国となり、昔のように海外に出稼ぎに行かないといけなくなる。
原発について、エネルギー政策について、誤った情報を意図的に流す人がいる。正確な知識を手に入れて、視野が広い俯瞰した状態で、国力に直接かかわってくるエネルギー政策の判断をするべき。
「原発絶対反対、いますぐ止めろ」と唱える人たちは、正しい知識を持って意見を言っているのか、疑わしい。
エネルギー政策ひとつで、日本の未来は明るくも暗くもなる。いきなり原発をすべて止めてしまったのは、大失策であった。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
ある分野で先行している国の事例を他の国は参考にする。たとえば、日本は、少子高齢化社会に関して、まさに逆の立場に立たされている。その際、表層だけとらえると現実を見誤る。エネルギー問題はとても複雑な難しい問題なので、今後も多様な意見に触れる必要があると思っている。いろいろな意味で、この本はさまざまな立場の人に読んでもらいたい。
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ドイツでの再生可能エネルギー政策の失敗? と日本がまねてはいけない理由を書く。
以下の点はそのとおりだと思う
①日本には電力を融通しあえる隣国がない。
②日本には自前の資源がない。
再生可能エネルギーが電力の主体・主役になり得ないのは、そのとおりでドイツの政策も修正されつつある。
だからと言って浜岡原発の再稼動を許してよいか?という問題については浜岡原発差止訴訟弁護団長の河合弘之弁護士と言っていることが違いすぎてどちらが正しいのか良くわからん。(河合弁護士の方が正しい気がする。) -
片寄った情報や感情に流されず、日本と日本国民の真の利益のために、エネルギーについてこれからも考えていきたいと強く感じました。多くの人に是非読んでほしいと思う一冊です。
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揚水発電で揚水に電力が必要なことに驚くところから始まった著者が、電力と電力量の区別ができるようになり、ドイツで起きていることの問題点を的確に伝えられるようになるところが偉大。
ドイツで起きていることの背景がわかって、有益だった。電力と電力量を区別できない民衆を巧みに騙し、脱原発だけを達成して後の全景を何も描こうとしない扇動勢力。日本よりは安い買取価格でも、ピークでは過剰な再生可能エネルギー発電設備を作ってしまい、隣接国にまで危害を及ぼす電力変動。必要な送電設備は、強い反対運動で一向に建設が進まない。
著者は、ドイツは目標を達成するだろうが日本は条件が違うから真似してはならない、という立場で書いている。しかし、この本を読む限り、ドイツに未来があるようには読み取れない。
浜岡の防波壁を見学して津波後に原発だけが生き残っている光景を想像し、福島第二では格納容器の中にまで入ってみる著者。
これだけのことができる著者に、電力と電力量の関係を教えられない教育 (おそらく日本。大学は芸術科なので高校まで) の問題も大きい。 -
本書は表題の通り、おもに二つのテーマについて書かれている。一つはドイツが脱原発に踏み切るまでの道のりと、その後どんな経緯をたどったのか。そしてその結果、どんな問題が生じ、それにどう対応しているのかという事。もう一つは、脱原発が叫ばれている日本ではあるが、決してドイツを見習ってはいけないという主張。自国に資源があり、なおかつエネルギーの融通性という点からも、9か国も地続きの隣国のあるドイツとは違うのだ。脱原発をすることによって、国が貧乏になる。それは日本にとって大いなる負の遺産となる……といった内容。脱原発にいち早く舵を切ったドイツに比べ、日本は3.11を経験しながらも、一向に脱原発が進まないばかりか、むしろ再稼働への動きが目立つといったといった状況から、ここ数年、反原発系の本が数多く出版されている。しかし一方で、こうした別の視点を持った意見があることを知るのも、原発問題や再生エネルギーを考えるうえで必要と言えるのではないだろうか。
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ドイツの反原発=再生エネルギー推進は、イデオロギーや周辺国との電気の融通といった同国独特の事情によるところが大きく、本邦とは大きく異なる。
その同国ですら潮流に変化が見えている中、本邦で脱原発を進めるのは全く合理的でない。
という著者の主張には全く同感である。