- Amazon.co.jp ・本 (252ページ)
- / ISBN・EAN: 9784794223791
作品紹介・あらすじ
せっかく買った本をなぜ読まないのか。
いくたび自問してもなかなか確かな答えは出てこない。
なぜ本を手に入れて読もうとするのか? そもそもなぜ本なのか?
それでもひとたび読み始めれば、憑かれたように読みふけってしまう本の引力とは。
劇作家エルマー・ライスの書いた処女小説との邂逅、数十年を経て明らかになったピーター・イベットスンの正体——。
本から本へ、奇書から名著へ、思いのままに渡り歩く日々。
詩人・作家である著者が本と巡り会い、本を味わうことの楽しみを綴る。
感想・レビュー・書評
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著書が読んできた本を巡るエッセイ集なのだが、それぞれの一冊、一冊と著者との深い関わりを感じさせながら、著者にとっての大切な一冊になっていくポイントに焦点を当てて、内容が丁寧に紹介されていく。
そのため、それらの本をほとんど読んだことがないのに、あたかも自分自身が読んでいるかのような気持ちにさせられる。
こうした文章を、どうしたら書くことができるのだろうか。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
90年代に書かれたエッセイ集。20代のころ手に入れ、その後40年間積んだままだったスペイン内戦に関する古本や、戦後間もなく学生演劇で見たアメリカ人劇作家の芝居、『かもめ』の解釈の変遷、ダフネ・デュ・モーリアの祖父ジョージの幻想的な小説などなど話題の幅が広い。マヤコフスキーの話から、1930年代に粛清されたソ連の作家イサーク・バーベリについてのルポに触れる。その中で叛逆罪を捏造する〝秘密警察の取締官の脚色能力たるや、ちょっとしたものではないか!”と皮肉っているけれど、実際の供述と脚色された調書のの比較にぞっとした。H・トロワイヤの『オリガの挑戦』(?)が面白そうだ。