生き物の死にざま はかない命の物語

著者 :
  • 草思社
3.82
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本棚登録 : 492
感想 : 54
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  • Amazon.co.jp ・本 (224ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784794224606

作品紹介・あらすじ

テレビ、新聞、雑誌、SNS等で多数紹介された
ベスト&ロングセラー『生き物の死にざま』、待望の姉妹編が登場!
涙なくして読めない科学エッセイ。

生き物たちは、晩年をどう生き、どのようにこの世を去るのだろう──
土の中から地上に出たものの羽化できなかったセミ、南極のブリザードの中、
決死の覚悟で子に与える餌を求め歩くコウテイペンギン…
生き物たちの奮闘と哀切を描く珠玉の27話。生き物イラスト30点以上収載。

【項目より】
●羽化をはばまれた夏─セミ 
●ある夏の「こぼれ蛍」の孤独─ホタル 
●氷の世界で数カ月絶食して卵を守り続ける父─コウテイペンギン 
●一年半の子育てを繰り返す母グマと銃声─ツキノワグマ 
●“幼稚園”での集団保育と、家族に囲まれた最期─ゴリラ 
●化石から見えてきた恐竜たちの愛─オビラプトル 
●大回遊の末にたどりついたどんぶり─シラス
ほかに、クジラ、ウナギ、チーター、ヒョウ、ウシ、コチドリ、渡り鳥、日本ミツバチ、
ブロブフィッシュ、カエル、ウスバキトンボ、クマケムシ、雑草、樹木、人間……などなど

感想・レビュー・書評

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  • 想像もふんだんに入った

    抒情的な語り口なので

    思わず涙してしまう場面がいっぱい



    そこが 理論的ではなく

    お涙頂戴に感じるひともいるかもしれませんが

    人間だけではなく

    生きとし生けるもの

    すべてが一生懸命生きているんだなぁと

    愛おしさにぐっときてしまいます

  • 前著『生き物の死にざま』の姉妹本となる一冊。
    色々な生き物の様々な生き方と死に方が、飄々とした筆致で綴られています。
    生きることと死ぬことを意味を持たない段階まで考えてしまうのが人間であり、その他の生物は今という瞬間を大事に生きていることがわかりました。
    どちらが幸せなのか、考えるほど難しいですね。
    特に印象に残った個所を引用させていただきます。

    “二~三億の精子が参加したレースである。さまざまな障害が襲いかかるサバイバルレースである。
    もし、あなたなら、こんな厳しいレースに、勝ち抜く自信があるだろうか。
    しかし、間違いなく、あなたはこのレースに勝ち抜いた強運な勝者である。
    そして、あなたはこの世に生を受けた。
    これ以上に、何か望むものがあるだろうか。”

  • ゔーん…
    前の方が好きだったかなぁ

    ゴリラの子育ての話はおもしろかった。
    幼稚園が存在するとは興味深かった。

    チーターの子育ての大変さには驚いた。

    ウシ、悲しい物語。食べられるために産まれたのに食べられないで終わってしまう…
    なと。すごく切なくことがたくさん
    そんな悲しいことを減らそうとしてる牛飼いさんが近くにいるので尊敬します。

    ヒョウ、戦時中の話しを始めて聞きました。人間に育てられ人間に殺され…悲しかっただろーな。

  • 前作「生き物の死にざま」の姉妹編です。前作は未読です(^^;)

    本書には、ヒトによって命を奪われる不幸な動物のエピソードがいくつも書かれていました。
    殺される様子は読むのが辛いのでサラッと読み流しました。

    お腹を空かせた子供のために、食べ物を探して人里に迷い込んだツキノワグマのお母さん。
    銃弾を何発も浴びて死ぬ。なんと無残なことか。残された子グマはその後どうなったのだろう。
    人災で死んでいく(殺される)クマが日本だけで年に数千頭もいるとは驚きでした。

    生きるという事は、他の生物の命をいただくことです。
    食肉用のウシは計画的にヒトに殺されるために生まれてきた動物です。
    食べ残しが大量に捨てられるという事は、たくさんの命が捨てられているという事なのです。
    食べられることもなく無意味に殺されたということです。

    野生の猛獣は生き物を殺して食べますが戦争はしません。
    ヒト(日本人)が外国と戦争を始めた時代、(日本の)動物園の動物に悲劇が起こります。
    敵の攻撃により街に逃げ出し、ヒトを襲ったら大変だという理由で殺されます。
    その時殺された動物たちの多くが、はく製にされて残っているらしいです。

    樹木とヒトの生死の話も印象に残りました。

    ヒトの髪の毛や爪は死んだ細胞だそうです。
    皮膚も毎日死んで垢となり剥がれ落ちていきます。
    生きた細胞と死んだ細胞が合わさってヒトはできています。
    樹木も多くの細胞が死んでいます。
    年輪は死んだ細胞によって作られています。
    千年生きた大木と言っても、生きているのは外側の一部だけなのだそうです。

    精子は生き物か?
    難しい問いです。
    ある日卵子に最初にたどりついた精子が自分を作ったのです。
    ほかの精子だったらほかの誰かがいて今の自分はいません。
    たどりついたものだけが生を得たように扱われ、他の何億もの精子たちは死んだとさえ扱われないのです。

    稲垣先生の本らしく「生き物」として「雑草」のエピソードも入っていましたよ。

  • 2020年初版。いろんな動物たちの生きること・子孫繁栄のための涙苦しい生きざまに涙します。しかし、やっぱり一番に心に残ったのは最後の「人間」の章ですかね。今日が自分のゴールだと思い後悔のないように生きる。難しいことではありますが、もうそろそろ人生の最終章を意識する私には重い、切実な気持ちにさせてくれました。良書です。

  • 動物が好きなので、動物の話はホロリと来るものが多かった。
    恐竜が卵を抱えていた話…
    何か無性にロマンを感じてジーンときた。

    お涙系の書き方に飽きてくる頃、大嫌いな虫達の過酷な運命にゾッとしたり。

    知らなかった事も多く、スマホで検索しながら読み進めるのが楽しかった。

    余談で出てきた即身仏に興味が湧きすぎたわー





  • 植物学者 稲垣栄洋先生が書かれた本は、「知識があるという事はどれだけ人生の味わいを深くしてくれるのだろう」と読んでいていつも思います。そして必ず新しいものの見方を与えてくれるので、とても好きです。
    コウテイペンギンの子育てから始まり、多くの動物の命について書かれています。どれも「自然の営みとは、なんと壮絶で、なんと感動的なんだろう」と思わされます。

    蛍のオスは発光を同調させ、それが消えている時に光るのがメスで、オスはメスを見つけると急降下して近寄る、それで火垂るというなんて初めて知りました。

    「雑草はなぜそこに生えているのか」は流石にご専門分野で内容が深く圧倒されましたが、動物についても本当にお詳しい。

    そして最後に、「ヒト以外はみな 今 を生きている」という項目で締め括られていた。

    読みやすくて内容の濃い、知的で最高に面白い本です。

  • 生きざま、でなくて、死にざま??
    と、手に取りました。

    生きていることが当たり前ならば、同じくらい、死も当たり前なんだな、と改めて認識しました。

  • 前作に続く二冊目
    私はこれが初読です

    「はかない命の物語」
    と副題にあります
    27編
    どれも新鮮な驚きと感動があります

    生きるもの
    すべてが愛おしくなります

    そして
    人間
    やっかいだなあ

    ≪ 今生きる その死にざまを 想像し ≫

  • 体液を子供に吸わせて命果てる母グモ。飼育員になつきながら、戦争の犠牲となった動物園のヒョウ。子孫も残せず死に絶えるためだけに日本に渡ってくるトンボ。カタツムリを狂わせ鳥に食べさせることで増殖する寄生虫。3億が参加するレースに勝ち抜き生まれた自分達。…生きていることの不思議。死ぬことの不条理。個体の生存よりも、遺伝子の継承を優先する。命のはかなさ。生き物の生涯は詩のようだ。短く終わって、リフレインが止まらない。誰かの心に、地球のどこかで、蘇るありし日の姿。永遠に続くのは、細胞が引き継いだ情報だけではない。

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著者プロフィール

稲垣 栄洋(いながき・ひでひろ):1968年静岡市生まれ。岡山大学大学院農学研究科修了。農学博士。専攻は雑草生態学。農林水産省、静岡県農林技術研究所等を経て、静岡大学大学院教授。農業研究に携わる傍ら、雑草や昆虫など身近な生き物に関する記述や講演を行っている。著書に、『身近な雑草の愉快な生きかた』『身近な野菜のなるほど観察録』『身近な虫たちの華麗な生きかた』『身近な野の草 日本のこころ』(ちくま文庫)、『植物はなぜ動かないのか』『雑草はなぜそこに生えているのか』『イネという不思議な植物』『はずれ者が進化をつくる』『ナマケモノは、なぜ怠けるのか』(ちくまプリマー新書)、『たたかう植物』(ちくま新書)など多数。

「2023年 『身近な植物の賢い生きかた』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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