重要証人: ウイグルの強制収容所を逃れて

  • 草思社
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  • Amazon.co.jp ・本 (352ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784794225269

感想・レビュー・書評

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  • 少し前に読了した中国共産党の恐るべき歴史とこれからの展望(石平著〉と重ねて、戦慄を更に深く刻んだ。
    少数民族同化計画2035年という「勝手傲慢」な目標。

    筆者が辿って来た足跡、特に収容所の章の描写は読み続けるのが苦しく、細切れで頁を捲る。裁判を経、夫と子供等と再会、スェーデンへの移住・・決してそこで幸せと安住を手にしたわけではない。故郷カザフへ残して来た身内や友への想いは溢れんばかり、まだまだ苦難の道が続いて行く事への覚悟が見え、感じられている。

    筆者は 中国が”心のウィルス”攻撃を地球上のあらゆる国々へ行っていく今後への脅威を強く危惧し 今後への警告を発するために、この著作の勇気ある発刊をなした。

    女性である・・いや性別は関係ないだろう・・人として気高い、勇気ある行動への称賛を送りたい。スェーデンの支援者たちにも。

    一人でも多くの人々に読んで貰いたい最高の書であった。

  • 話題の本

    中国共産党 やばいとは思ってたけど
    ここまで詳細に知るとやばいどころの騒ぎじゃないな。
    人間じゃなくなってる。
    でも人間を支配しようとしたらこうなるんだろうな。
    多分根本的に支配なんて無理ってわかってるのに、
    どうしもしたいとなるともう無茶苦茶な事をするしかない。
    それは時代がかわろうが、国が変わろうが一緒。

    中国共産党の事がよくわかる一冊

  • 「証人」であるサイラグルが酷い目にあい、今も身の危険を感じながら告発しているのは確かだろう。その勢いで、自らが経験したことも人から聞いたことも内混ぜに、激しい調子で語らずにはいられないのも、無理からぬ事である。ただそれを再構成し本書に仕立てたドイツ人のジャーナリストは、もう少し第三者的な立ち位置をとった方がよかったのではないだろうか。せめてサイラグル一人称の文体でなく、三人称の文体にするだけでも、印象がずいぶん変わるように思う。本書を読んでの率直な印象は、ハリウッド的に脚色された実録モノ、あるいは社会派メロドラマ。せっかくの証言の信憑性を減じているように感じる。

  • この事実を知って欲しい。文中にはたくさんのおぞましい場面がありますが、目をそらさずに読んで欲しい。

  • 日本人にとって憧れの眼差しを向けられるシルクロードの現実を知る上で、重要な1冊。共著者のドイツ人ライターは著名なウイグル人活動家の自伝も扱っている。前回も今回も通訳者に対する中国当局による働きかけがあり、苦労したとあとがきで触れている。厳しい見方かもしれないけれど、同じ題材を扱うなら取材対象者の言語を学ぶ時間は十分にあるのではないかと思った。やはり欧米からのアジアに対する目線が見え隠れするような気がする。

  • 新疆ウイグル自治区出身の著者の、収容所生活と中国からの脱出劇である。
    収容所の惨状は想像を絶するものであり、こんな事が許される世界に未来はありえない。
    中国、ロシアなどの独裁国では何をしても良いのか、非常にもどかしい。

  • 全ての人に読んでほしい。

  • 新疆ウイグル自治区に住んでいたカザフ人の著者が壮絶な経験を語っている一冊。
    著者は、収容前、医師として働いたあと、幼稚園の園長先生をやっていた。
    経歴が良かったこと、中国語ができたことから、強制収容所の教師として収容された。
    教師のため、一般の収容者より待遇は良かったらしいが、それでも授業に不備があったり、収容者と目が合ったというだけで、拷問を受けたというから尋常でない。

    一時帰宅を許されたすきに逃亡を図り、隣国に住んでいる夫と子供のもとへ逃れた。
    本当に運が良かったのだと思う。
    ただし、逃亡の経緯には少し嘘があるのかもしれないと思った。
    手助けをしてくれた人がいたのかもしれない。
    でも、そのことを明かしてしまうと、その人と親族に被害が及ぶから恐らく黙っているのだろうと推察される。

    現在はスエーデンに家族と住んでいるが、常に中国の恐怖とともにあり、拷問の後遺症にも悩まされており、身体的にも精神的にも辛い日々を未だに過ごしている。

    著者が目にしたという、全世界を中国直轄の領土にするという計画は、とても信憑性があると思う。
    チベット、ウイグルの次は、香港、台湾と支配を広げていき、やがて日本は沖縄から徐々に中国化されるのかもしれない。
    その時、日本はどう対応するのだろう。

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著者プロフィール

サイラグル・サウトバイ
新疆ウイグル自治区出身のカザフ人。1976年、イリ・カザフ自治州に生まれる。元医師・幼稚園園長。2017年11月から翌年3月まで新疆の少数民族を対象とした強制収容所に連行され中国語教師として働かされる。収容所から解放された直後、今度は自身が収容者として収監されることを知って故国の隣国カザフスタンに逃れるが、不法入国の罪に問われ同国で裁判を受ける。この裁判で中国政府が「職業技能教育訓練センター」と称する再教育施設の実態と機密情報について証言、裁判は一躍世界的な関心を呼び、ニューヨーク・タイムズ、ワシントン・ポスト、フランクフルター・アルゲマイネ・ツァイトゥングなどの主要メディアで報じられる。カザフスタン政府は亡命申請を却下、滞在許可が切れる直前の2019年6月に国連のとりなしでスウェーデンに政治亡命。現在、安住の地となったスウェーデンで夫、娘、息子の四人で暮らしている。中国の強制収容所の実態については現在も積極的に発言を行い、その活動に対して2020年にアメリカ国務省から国際勇気ある女性賞(IWOC)、2021年にはニュルンベルク国際人権賞が授けられた。

「2021年 『重要証人 ウイグルの強制収容所を逃れて』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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