蜜蜂の館: 群れの物語

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  • Amazon.co.jp ・本 (258ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784794807533

作品紹介・あらすじ

1900年代初めに建てられたこの建物は、かつて「心の病の診療所」として機能していた。「存在すること」の意味を、美しい言葉でつむぐ。

感想・レビュー・書評

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  • 蜜蜂の館と主人公が呼んでる公民館で様々な集会が開かれ、そこに集まる人の話。わざわざめんどくさいことに足を運んでるのは、やっぱり一癖ある人達で、へんてこな現象を体験してる。時々投入される奇物に対し作者はやさしく温かい。
    荒くれて悪さをしてた鬼(自分)が笛吹童子の笛の音色で大人しくなった気分なんですけど。最後の方に書かれてる「新幹線で食べる駅弁が最高」と聞かされ、実際やってみてほんとにその通り、と感じる駅弁の不動たる存在はなんなんだろう。あらかじめ全て冷めてるというのが、全てを受け入れる。そんな訳あるかい!

  • 「ペリカンの冒険」で、レーナ・クルーンの別の本も読みたくなったので借りた。

    世紀末感というか、終末感というか…。なんだか閉塞感を感じて、読むのが辛かった。
    この本の中は世間が狭すぎる。みんな知り合いか、知り合いの知り合い。つらすぎる。

  • タイトルどおり、なんだかブンブン/かさこそいう音がどこからか聞こえてくるような本。10ページもない短い断章がいくつも積み重なって、「ある感じ」を伝えてくる。その伝わりの経路が「眼から脳」というより「皮膚から血液」という感じがするのが面白かった。

    家族でも友人でもなくて、泥棒や電車の中で居あわせる人でさえ、わたしたちという群れの構成員であること。そこにはいつもなんらかの関係が発生して、それがお互いを結びつけていること。現実から少しずれたような世界をふわふわ巡っているうちに、生きているヒトの集団のイメージがじんわり立ち上がってきた。「絆」や「縁」を持ち出さなくても、否応もなく、わたしたちは独りではないようだ。

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著者プロフィール

著● レーナ・クルーン(Leena Krohn)
1947年生まれ。フィンランドの作家。小説、児童書、絵本などを手がけ、環境問題や世界情勢といった社会問題に関する意見も精力的に発信している。フィンランド最大の文学賞であるフィンランディア賞や芸術家に贈られる最高位勲章など数多くの賞を受賞。代表作『タイナロン』はアメリカで世界幻想文学大賞候補作に、『蜜蜂の館』は北欧閣僚評議会文学賞候補作に選ばれている。2015年にアメリカのCheeky Frawg社より『Collected fiction(レーナ・クルーン小説選集)』(未邦訳)が刊行された。

「2018年 『人間たちの庭 ホテル・サピエンス』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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