まだ名前のない小さな本 (シリーズ 愛書・探書・蔵書)

  • 晶文社
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本棚登録 : 50
感想 : 8
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  • Amazon.co.jp ・本 (109ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784794926647

作品紹介・あらすじ

「ぼく、大きくなったらなんになるの?」本棚から飛び出した、ちっちゃなお話の冒険。本が好きになる本。たちが大さわぎ!本の世界はひろーくて、興味しんしん。

感想・レビュー・書評

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  • 「むかしむかし」と「おしまい」のたった2行しか書かれていない「ちっちゃなお話」の冒険。
    あまりの可愛さに、何度もクスクス笑いながら読んだ。
    子ども向けの「本の本」という体裁だが、科学者の小粋なエッセイのようだ。

    お話は「ちっちゃなお話」と呼ばれる本を中心に進む。
    お父さんはぶ厚い民法の本で、お母さんはとても重要な「科学雑誌」。
    なかなか大きくならない「ちっちゃなお話」をいつも心配している。
    どうすれば他の子(本)たちのように大きくなれるのか。
    悩んだ末に「ちっちゃなお話」が書棚の百科事典に相談に行くと。。

    擬人化された本たちの個性が面白い。
    「戦術・戦略と作戦」のおじいちゃん。「礼儀作法」のおばあちゃん。
    おじいちゃんは思慮深くおばあちゃんは口やかましい。
    おバカさんでちょっぴり騒がしい漫画雑誌。
    登場人物の数だけ声を持つ戯曲の本。
    ぼそぼそと繰り返ししゃべり続ける対数表の本。
    何も行動しないのに偉そうに語る法規の本。
    声だけは大きなソルフェージュの本(ここはつい吹き出した)。
    他にもどんどん本が登場して、まるで本の博覧会のよう。
    辞典だから賢いとも限らない。それぞれ専門があるのだ。
    著者にそっくりの作家さんまで登場して、もう楽しいったらない。

    「ちっちゃなお話」は週2で学校にも行っている。
    綴りとデザインと背表紙の閉じ方や著作権。一冊の本になるのは大変だ。
    早く大きくなりたいから、学校では優等生。
    いつ大きくなるのか、最後には本当にお話になるのか。
    そうでなかったら一体なんになるのか。
    さて、この疑問に答えはあるのかだろうか。
    ようやく元の棚に帰れた「ちっちゃなお話」に語るおじいちゃんの言葉がとても良い。
    納得の落としどころで、ほっとひと安心。

    成長への不安と憧れを漠然と抱いていた頃を、読み手に思い出させるだろう。
    すぐ何かになれなくとも、多種多様で奥深い世の中を痛感できただけでも「ちっちゃなお話」の冒険は意味がある。

    著者は母国・スペインの新聞で「ネット25人のリーダー」にも選ばれるほどのコンピューターの達人であるらしい。
    そういう方が書いた紙の本だということが、とても大きな贈り物だ。
    奇想天外なようでいて考えさせる場面もいくつもあり、むしろ大人に読んでもらいたいかな。

  • まだ名前のないちっちゃな本の物語。別の意味で本の本です。イラストも可愛い!

  • 本の擬人化。民法と科学雑誌を両親に持つ小さな本の「ちっちゃなお話」が、成長を求めて百科事典に相談へ。答えを探し歩く様子が、将来の進路選択で迷い悩む若者の姿と重なる。私は詩集を目指してもいいように感じたが、本人は漠然と小説になりたいのかもしれない。なんにせよ、小さな本はまだまだこれから。可能性にあふれている。一方で、時代遅れとなって埃をかぶる本たちの悲哀はやるせない。そちらにも一筋の希望が欲しい。

  • 本を擬人化したお話。
    主人公はまだ「むかしむかし」と「おしまい」しか書かれていない小さな本。

    話自体は普通だけど、本というものに対する見方が面白い。
    「登場人物はなんでもいいけど適当に本に設定した」みたいな物語じゃない、本だからこそのストーリー。
    「16ページずつ成長していく」とか、本の作りに準じている。
    クッキングブックは太ったお手伝いさん、マンガ本はバカな子、マニュアルは自分の関心があることしかしゃべらない、とか、それぞれの本のイメージが自分と同じだったり違ったりしてるのを確認するのも面白い。

    言葉遊びがけっこうありそうなんだけど私にはわからない。
    スペイン語で読んだらきっともっと面白いんだろうな。
    英語の「伝承童謡集」はマザー・グースだろうか。

    訳者あとがきが優しげで好きだ。

  • 擬人化された本がおもしろい。

  • 今まで読んだことのないような物語で新鮮だった。

  • ちっちゃなお話のお話。

  • 小さな本がどれくらい小さいかというと、
    立派な父親のしおりひもをくるくる丸めるのが
    大好きなくらいでした。それでも、学校に行って
    習字や綴り方を勉強するくらいの年でもありました。

    ある日、小さな本はひとりで百科事典のところへ行ってみることにしました。大人たちが交わす複雑な「なんだかんだ」を調整するために質問してみたかったのです。

    小さな本の冒険に付き合ったら、「なんにでもなれる」自分の力を
    私達も発見できるかもしれません。

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