よい戦争

  • 晶文社
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感想 : 4
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  • Amazon.co.jp ・本 (625ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784794959768

感想・レビュー・書評

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  • 戦争で、私たちが一番おぼえているのが、非常にたくさんの人たちが自分にできることはなにかということを一気に悟ったってことだよ。ほんとうの英雄はそういう人たちさ。インチキくさい賞状なんかもらったやつばかりじゃあないよ。ときには、予想外の人がやったんだ。名誉勲章をもらったのは、私の知るかぎり、医務隊にいた良心的兵役拒否者のひとりだけだ。そいつは、放火をくぐって丘をかけのぼり、どれだけ多くの人を救出したか知れない。

    人間は考えることさえ機械的にやるようになってるんだ。だからすぐ忘れる。

    聖書には人を殺してはならないとあります。戦時中は別なんて書いてありません。腹立ちまぎれに人を殺したりしたら、当然電気イス送りですよね。ところが軍人には勲章を授ける。殺せば殺すほど勲章をもらえるなんて。

    どの戦争もおなじだ。戦争になったら、どちらの方もある「主義」にもとづいて互いを殺し合う。“汝殺すなかれ”という主義はつい無視されてしまうんだ。

    おれにいわせりゃ、第一次世界大戦も第二次世界大戦も、どんな戦争も意味なんてない。

    人々は生き続けるために、戦争はムダではなかったと自分におもいこませるほかなかったのです。

    人生はジョークだった。ほんのちょっとの間に死ぬかもしれないのに、どうして悩んだりするかね。どうしてまじでないといけないんだい。それがどうだっていうんだい?さっぱりわからない。

    たぶんまちがってるかもしれないけど、世界中の水兵は、だれであろうと、水兵が海の中にいるのを見たときは、国籍や肌の色を気にせずに、助けるものだと思うよ。

    私たちは善人です。でもちょっといきすぎると、教えられた通りに信じてしまいかねません。私たちは平凡な人間です。だから、悪の権化ヒットラーの武器にもなりうるんです。

    戦争って、いろんな意味で苦しいことよね。けがは治ることだってある。でも、傷ついた心はなかなか治らないものよ。人生って、さよならをいうことなのね。

    パーネル提督がグローブズ将軍に、四年も戦争やってるのに、ひとつしか落とさなかったら、まだ一発しかつくれなかったんだと日本人が思うだろうと指摘したんだ。だから、つづけざまに二発落としたらいいんじゃないかとね。そうしたら、日本人はアメリカが何発もってるか予想できないだろ。

    おれは学校でて、すぐに軍隊にはいった。あんまり考えないんだよ。学校にいるときは、これをしろ、あれを読めといわれる。軍隊にはいれば、きょうはここ、あしたはあそこだ。いわれるように任務をはたすだけ。軍隊をでて、自分で暮らすようになると、ちがう性格になる。人生についてちがう見方をするようになる。自分で考えなけりゃならなくなってから大人になるんだ。

  • 社会
    思索

  • 各関係者に聴きまわったインタビュー集。「戦争」をそれぞれの立場や経験から語る。何かが見えてくる。

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著者プロフィール

1912-2008。ニューヨーク生まれ。シカゴ大学卒業。多様な階層の人々へのインタビューによって描かれる「口述の歴史(オーラルヒストリー)」は多くの名著を生んだ。著書『仕事!』『よい戦争』(ピューリッツァー賞)他。

「2022年 『死について! 下』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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