迷家奇譚

著者 :
  • 晶文社
3.05
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本棚登録 : 76
感想 : 9
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  • Amazon.co.jp ・本 (307ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784794969637

作品紹介・あらすじ

「いや、実はこんな話があってね……」
ある時はネイルサロンで、また暑い夏の坂の途中で、
そして深夜の電話口で、人々は不意に怪異を語りだす。
奇譚に埋め込まれ、漂っている記憶とは。
〈時間〉・〈場所〉・〈ひと〉を重ね合わせる「透視図法」により、
そこに眠る深層/心象/真相を掘り起こす。

東雅夫氏(文芸評論家・アンソロジスト)推薦!!!
「巻頭の遠野紀行で早くも快哉を叫んだ。
そこには本書のルーツと著者の意気込みが、時に切々と時に力強く
黙示されていたからだ。古代中国の志怪書から『遠野物語』を経て
現代へ至る奇譚探究【キュリオシティ・ハンティング】の幽暗な伝
統を、骨がらみで我が身に引き受ける覚悟─―群雄割拠の怪談実話
界にまたひとり、凄い書き手が加わった」

感想・レビュー・書評

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  • 微妙…
    なんか読みすすめにくい

  •  申し訳ないが、結局斜め読みになってしまった。
     なんだろう。うまく言えないのだが、ルポとか考察文の顔を持ちつつ、作者さんの自伝的な匂いが濃すぎると感じました。そのせいで、公私がごっちゃになっているような感覚になり、とても読みにくかった。
     ルポに徹するならそれにふさわしい対象との距離感を維持した方がよかったし、自分の生い立ちや経験とからめて、己の心情も時には書き込みつつ進めていくなら、そのカラーで統一した方がよかった。
     もしくはそれらを別々に章立てにするなどして読者に提示した方が、読みやすかったのでは。

  • 期待したような迷家の話ではなかった。
    さらにルポ系作品とは知らず手に取り、読み進めてから面食らった。
    が、在野研究者と見紛う緻密な文献実地調査やインタビュー、実体験を交えた民俗・伝説・事件・オカルトエピソードの一つ一つを、豊富な語彙と高い文章力で取り纏めていて非常に読みごたえがあった。
    見返しにあるように「〈時間〉〈場所〉〈ひと〉を重ね合わせ」ているのかどうかはピンと来なかったが、真偽の定かでないまま囁かれるネットミームのような現代の怪談も、何十何百年と経つ中で遠野物語のように幻想的な怪異譚に姿を変えていくように感じられた。
    それにしても性と死は親和性が高い。
    両方とも剥き出しの生命を感じるからだろうか。

  • 2020.08.24

    幽霊だけの話にとどまらず序盤や話の途中で歴史や事件の背景などの説明が長いこともあり読み進めるのが苦痛な話もあった。(そのあたりは飛ばし飛ばし読み進めた)

    『鍵付きの時代箪笥』
    タンスの引き出しの隙間から髪の毛が隙間からズルッと出てきて、不在の間に着物女の人が髪の毛を押し込めようとしてて耳元で『…ったら許さない』と言って消えたのが気持ち悪い

    『人形心中』
    もう10年以上前に探偵ナイトスクープで本気でマネキンと結婚したいって女の人が出てたなぁ…と思い出した話。
    不気味な肌の色のリアルドールの胸元の黒ずんだシミって、従兄弟の血液…?気持ち悪い…ただただ不気味な話だった。でも従兄弟はリアルドールと暮らせて一緒に焼いてもらって幸せだったんだろうな。幸せって人それぞれだな…

    『蛭夫』
    ドキドキしながら読んだ。本当の人が日中に勝手に出入りしてると思って途中までドキドキしながら読んだけど幽霊オチでちょっとがっかり。

  • 2020/6/6 読了
    じめじめとした嫌な感じの日本らしい怖い話だった。最近、テレビで怖い話を全然しないので、怖いながらも少し懐かしい気持ちになった。
    ただ作者のプロフィールには驚くばかり。会ってみたいなぁ

  • ただの実録恐怖物語だけにとどまらず、民俗学的な考察が語られているのは面白かった。「いちまさん」と「人形心中」のような、人形がモチーフの怪談って怖い。

  • しらベェの連載より民俗学的考察が強化されてて面白い。大学教授の娘として民俗学的旅をした記憶から現代社会に潜む妖怪や熊取連続自殺事件、寿産院事件と不気味な事件のルポ要素もある。狂気と紙一重の幽冥界が見えてくる。

  • なにかとお世話になっておいてこんなことを言うのは心苦しいのだがインパクトの強い手段で手に入れた知名度があるからこその所謂タレント本であり過去の映像作品と比べてしまうと刺激度は高くない。
    民俗学の大学教育を父に持つ確かな血筋に加えて小説についてもしっかりと学ばれたようでその文章は容姿さながら端正で読み易いのだが怪異をなにか高いところまで持って行こうという気持ちが空回りし構成に迷いが見られるのが残念。
    柳田先生の遠野物語でさえ「あったそうだ」の事実の口伝のみであり逆にそれが素晴らしい、このジャンルに論理はいらない

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著者プロフィール

東京都八王子市出身。ルポルタージュ的手法で怪異の体験者と場所を取材し、
これまでに5000件以上の怪異体験談を蒐集。近年は怪談の語り手としても活動。
怪談の著書多数。小説も少々。日本推理作家協会会員。怪異怪談研究会会員。

主な著作に『八王子怪談 逢魔ヶ刻編』『八王子怪談』「一〇八怪談シリーズ」
「実話奇譚シリーズ」(竹書房)、『迷家奇譚』『少年奇譚』『少女奇譚』
(晶文社)、『東京をんな語り』(KADOKAWA)、『宵坂つくもの怪談帖』
(二見書房)、『実話怪談 でる場所』『出没地帯』(河出書房新社)他多数。

「2023年 『家怪』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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