三美スーパースターズ 最後のファンクラブ (韓国文学のオクリモノ)
- 晶文社 (2017年11月13日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (361ページ)
- / ISBN・EAN: 9784794969804
作品紹介・あらすじ
5勝65敗。僕らのチームはとてつもなく弱く、
そして、美しかった――
韓国プロ野球の創成期、
圧倒的な最下位チームとして人々の記憶に残った三美スーパースターズ。
このダメチームのファンクラブ会員だった二人の少年は大人になり、
I M F 危機と人生の危機を乗り切って、
生きていくうえで最も大切なものは何なのかを知る――。
★韓国で2 0 万部超のロングセラーとなっているパク・ミンギュの永遠のデビュー作、待望の邦訳!
★「一割二分五厘の勝率で僕は生きてきた。まさしく三美スーパースターズの野球だといえる」――パク・ミンギュ
感想・レビュー・書評
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野球、青春、社会問題、ぜーんぶひっくるめて面白くしました、という感じで最高でした。
時は韓国プロ野球元年の1982年。仁川に創設された三美スーパースターズの少年ファンクラブに入った少年たち。あまりにも弱すぎる三美、チームの解体、そして少年たちは青年、中年になっていく。酒と女に溺れる大学時代、激務とIMF危機、ファンクラブ再結成など、読みどころたくさん。ドラマチックな彼女との出会い(黄河)や友人ソンフンの畳み掛けるおとぎ話(笑)が好き。怪しすぎる店長もたまらん。
そして『プロ』という呪縛…。自分も囚われているし、人に強いているなあ、と反省。『打ちにくいボールは打たない、捕りにくいボールは捕らない』、目からウロコでした。そして『進塁』していくのだなあ。応援していた弱小チームが強くなったときの寂しさはここにあるのか、と思ったり。いい本でした。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
著者のデビュー作。『ピンポン』が奇想天外なストーリーで面白かったのでデビュー作を読んでみたくて手に取りました。面白かったですが、冗長な面も。晶文社の「韓国文学のオクリモノ」シリーズ(6冊)では、チョン・ミョングァンの『鯨』に次いで2冊目です。
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同作家の短編小説集「カステラ」があまりに面白く、またポップな装丁とタイトルに惹かれたこともあり読書。
とにかく着想と比喩表現の巧みさ。
史上最弱の球団とそれを応援するファンの少年二人。贔屓球団の勝敗に一喜一憂する少年時代を経て、主人公は次第にプロとは何なのか?所属するとは?社会の仕組みとは?と自分の人生を重ね考えていく。そして、最終的に人生をどう捉えて生きていくかまで発想を発展させて物語を展開していく手腕は見事。
作家は常にめっちゃ考えてる。
で、その考えをわかりやすく人に伝える手段として、別の事柄と別の事柄の共通点を見つけてビビビッとコネクトさせちゃうセンスが秀でている。
何も難しいこと書いてないのに、深く考えさせられていたく感動した。 -
ハンギョレ文学賞(第8回/2003年)
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韓国野球にはうといので(ロッテジャイアンツと三星ライオンズと起亜タイガースは知ってるくらい)、このようなチームが実在したとは知らなかった。フィクションかと思ってたけど、記録などはどうやら事実らしい。前半と後半で随分毛色が違う。
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摂南大学図書館OPACへ⇒
https://opac2.lib.setsunan.ac.jp/webopac/BB50134422 -
青春
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これが社会に合わせた生き方だろ!っと明るく自分に言い聞かせながら歩んでいく主人公が、徐々に自分の人生を歩き出す過程が痛くもあるけど爽やか。韓国社会の中での話だけど、普通に生きることの困難さ、厳しさの親和性は世界的。
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たぶん野球じゃなくとも応援するチームがクソ弱いとこんな気分になるよなあ・・・
という子供時代から青春、そしておじさんへ。
いやあ沁みるけどすげえ笑った。
とにもかくにも。