あまりにも真昼の恋愛 (韓国文学のオクリモノ)

  • 晶文社
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本棚登録 : 173
感想 : 12
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  • Amazon.co.jp ・本 (325ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784794969934

作品紹介・あらすじ

恋をしたとまでは言えなくても、
恋愛っぽいなにかをした女と再会して、
お互いが気づいてしまったらどうなるだろう。
視線は一方的でなければならず、
交換されてはならなかった――。

会社での地位を失った男が思い出したのは、
16年前のある関係だった。
第7回若い作家大賞を受賞した表題作や、
若い作家賞受賞作「趙衆均氏の世界」など、
今の世代の心の質感を描く9つの物語。

★2016年に韓国で刊行後すぐ若い読者層からの熱烈な支持を受けてベストセラーとなった小説集。
★「今日でなくても、私たちはいつかきっと会えるはず」――キム・グミ

感想・レビュー・書評

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  • 摂南大学図書館OPACへ⇒
    https://opac2.lib.setsunan.ac.jp/webopac/BB50134425

  • 表題作1編を読んだだけで図書館に返却してしまった。ユニークな人物像を描くなとは思ったが、他の用事を置いて優先的に読もうと思うほどでもなかった鐘路という地名を1つ覚えた。自分の中でまだまだ乏しい韓国地理情報、とも言えないくらい文学的印象でしかないが。マクドナルドのメニューから無くなったフィッシュバーガーというのは日本のフィレオフィッシュとは違うのだろうか。

  • この本も訳者あとがきで2014年のセウォル号事件が引き合いに出されていました。304名を助けられなかった加害者の意識と、国家はこの先も我々の命を守れずいつか被害者になる不安の狭間にいる。この短編もある程度長い期間で登場人物たちの価値観が変わっていく様が書かれていました。今を肯定し前進していく過程では避けられない苦しみがあるんだなと感じました。

  • つくづく思うのは、韓国文学には、「切実さ」を感じる。
    心の奥底がわかるから、重いというか、暗くなってしまう…。
    すごく元気な時に読むのが良い。
    元気な時でなければ、引き込まれてしまう感がある。
    哀しくなったり、虚しくなったりする物語だったように思う。

  • あまりにも真昼の恋愛、趙衆均氏の世界、セシリア、半月、肉、犬を待つこと、私たちがどこかの星で、普通の時代、猫はどのようにして鍛えられるのか。短編集。韓国の若者を虜にしたベストセラーだそうだ。若者ではない私には文体について行くのが難しかったようだ(汗)。

  • 色々な人が前を向いて歩き出す。会社で責任を取らされたり、家族が病気になったりと契機になる出来事があり、そこから変わる姿が見えた。過去を振り返り、新しいことに気づき、また前を向く。中々前を向けない事もあるけれど、前を向けきれないこともあるけれど、それでも少しでも進もうとするその姿が美しいと思う。人生生きていると本当に多くの事に出会い、疲れ、立ち直ることもままならないこともあるけれど、彼らみたいに、「ちょっと頑張ってみる」くらいの心持ちでいいのかもしれない。頑張らなきゃいけないって思うのは自分だけなのかも。

  • 韓国 2014年セウォル号事件以降の文学として括られる女性作家による短編小説集。短編それぞれの登場人物には一貫して少数派で社会的に不適合なものが多い。同時に少数弱者的な視点から現代韓国の社会問題が露わとなっている。‬

  • 表題作「あまりにも真昼の恋愛」がよかった。左遷されたピリョンは昼休みを職場で過ごしたくなくて、学生時代に通ったマクドナルドのある街に出かける。そこで、かつて恋愛のような感情を抱いたことのある女性がいる、かもしれない劇団の公演、のようなものを見つける。
    「いまは好きな気がするからそう言っただけ。明日はどうなるかわかりません」
    だけどこれは恋愛の物語ではなかった(わたしにとっては)。遠くへ置いてきてしまった過去に手を伸ばして触れて、肌ざわりだけを強く思い出して、だけど掴んで引き寄せることはできないような。そういう感情だった。

    ほかの短編もよかった。「犬を待つこと」「趙衆均氏の世界」、いずれも明確にこういうこと、とは書かれない。手ざわりを残すような作品。
    この作者の作品がもっと読みたいけど、日本語に翻訳されてないから読めない。はやく翻訳されますように。

  • レビューはこちらに書きました。
    https://note.mu/_yoiyoru/n/nad7af9b1c7d2

  • 表題作のタイトルが良過ぎる…。
    あまりに真昼の恋愛。
    最高のフレーズだわ…。
    そこからの期待を裏切らない、文章と物語のセンス(訳もいい)。
    不穏な小さな物語達。
    どれも個人的な話なのだけど、社会や歴史といった背景がしっかり感じられる。
    「セシリア」が一番好き。

    「私たちはいつも酔っぱらって、家に帰れなくなってしまう。でもそれは帰る道を知らないからでも、家に帰りたくないからでもない。お酒を飲むと、粉砕された氷みたいにいつも心が粉々になってしまって、あらゆる場所が家に思えてくるだけだ。でたらめな話。そう、でたらめな話なのだ。」

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著者プロフィール

1979年、釜山生まれ。2009年韓国日報の新春文芸に「あなたのドキュメント」が当選してデビュー。
短編集に『センチメンタルも毎日だと』、『あまりにも真昼の恋愛』(すんみ訳、晶文社)、『たった一人のもの』、長編小説に『敬愛の心』、『愛しのメギ』、『ポクチャへ』、掌編小説集に『私はそれについてとても長いあいだ考えている』、エッセイに『愛以外のすべての言葉』などがある。申東曄文学賞、若い作家賞、現代文学賞を受賞。

「2021年 『韓国の小説家たちⅡ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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