呪いの言葉の解きかた

著者 :
  • 晶文社
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  • Amazon.co.jp ・本 (284ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784794970886

作品紹介・あらすじ

「文句を言うな」
「君だって一員なんだから」
「嫌なら辞めちゃえば?」
「母親なんだからしっかり」. . .

政権の欺瞞から日常のハラスメント問題まで、隠された「呪いの言葉」を
2018年度新語・流行語大賞ノミネート「ご飯論法」や
「国会PV(パブリックビューイング)」でも大注目の著者が
「あっ、そうか!」になるまで徹底的に解く!

「私たちの思考と行動は、無意識のうちに「呪いの言葉」に
縛られている。そのことに気づき、意識的に「呪いの言葉」
の呪縛の外に出よう。
思考の枠組みを縛ろうとする、そのような呪縛の外に出よう。
のびやかに呼吸ができる場所に、たどりつこう。
――それが、本書で伝えたいことだ。」(本文より)

感想・レビュー・書評

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  • 着眼点は素晴らしいです。問題提起はしていくほうが良いとは感じます。
    ただ、問題の発言をされた方に対して“妄言(p.126)”等のことば選びはどうなのかなと感じてしまいました。言いたいことはわかるのですけれど、個人的感情が強過ぎます。せっかく考えるきっかけとなりそうなのに、「はいはい、女性のヒステリックなやつね」と、それこそ呪いのことばによって流されてしまいそうです。それは勿体無いです……。

    読者としては、著者の感情にのまれずに冷静に問題を考えていく必要がある本だと感じました。


    (以下、記録)


    2024/04/13 目次

    2024/04/14 p.014-017

    p.016
    “「嫌なら辞めればいい」という言葉は、働く者を追い詰めている側に問題があるとは気づかせずに、「文句」を言う自分の側に問題があるかのように思考の枠組みを縛ることにこそ、ねらいがあるのだ。”
    相手(会社)を変えることはできないのだから、自分が変わるしかないって思考により、辞める選択肢を示しているのかなぁ……と思っていました。けれど、そのことばがさらに苦しめてしまっているのなら、例え優しさスタートの思考だとしても良くないのですよね、きっと……。
    実際、発言者の中には悪意ある人も混ざっているのでしょうから。すべての人がそうだとは思いたくないですけれど。


    2024/04/15 p.017-021

    2024/04/22 p.022-068

    p.022
    “| あなたが価値がないと思っているのは この先 自分が向かっていく未来よ”
    孫引きで申し訳ないのですけれど……。
    「子供叱るな来た道だ 老人笑うな行く道だ」ということばを思い出しました。

    p.048

    | 私は、強くなんかありません
    | 強いて言うなら、人からどう見られるかを気にしていないだけです

    それを「強い人」だと感じるのですよ、弱い側からすると……。

    p.064
    “所定の勤務時間中は適当にさぼっているのに、残業が必要なふりをして定時を過ぎても居残って、ちゃっかり残業代を稼ぐ。”
    (中略)
    “もしかしたら、「いるいる」と思い当たる人がいるかもしれない。”
    はい、かつての自分です。1分単位での残業代が嬉しくて、ついダラダラと働いていました。良くないです……。

    p.068
    “労働者側に立つ弁護士の団体である日本労働弁護団は、この高度プロフェッショナル制度を「定額で働かせ放題」と批判した。”
    嗚呼、懐かしいです。そういえばそんなフレーズがありましたね。力強いことばです。


    2024/04/23 p.069

    2024/04/26 p.069-105

    2024/04/27 p.106-113

    p.111
    “「働く以上は」と、仕事への献身を求め続けているように思える。”
    このプレッシャーがつらいです……。社会人として当たり前と言われてしまうのかもしれないですけれど、「自分にも他人にも優しく無理せず過ごしたほうが良いじゃないですか!」とわたしは思ってしまいます。
    仕事は細く長くいきたいです。


    2024/04/29 p.113-114

    2024/05/02 p.114-125

    p.123
    “「胸触(さわ)っていい?」などとセクハラ発言を繰り返していたと報じられた。”
    良いわけがないです。気持ち悪いです……。

    p.125
    “「あんなひどい会話をした記憶はありません」と、改めて発言を否定した。”
    ひどい会話だとわかるくらいの知能があるのなら、最初から言わないでください。


    2024/05/03 p.125-281

    p.127
    “こうやって整理するだけでもうんざりしてくる。読者の皆さんもそうだろう。”
    強い感情のままことばをぶちまけて、共感を求められると、こわくなってしまいます……。
    下世話なゴシップ記事と同等になってしまいませんか……? もう少し冷静に考えませんか?

    p.137
    “私が参加したデモ、私がおこなった異議申し立ての記者会見、私が始めた「国会パブリックビューイング」の取り組みなど、”
    私が私が私がと言われると、恐怖を抱きます……。前章でもそうだったように、個人的感情が強過ぎると大切なところが見えづらくなり受け取りにくくなります。
    大変申し訳ないのですけれど、この章は飛ばすことにします……。

    p.201
    “| 期待されてがんばる人もいるが、期待されるとその期待につぶされる人もいる。期待とは、「今」のままでは不十分だと、「今」を否定することでもある。”
    上司が期待してくださっているのに、どうして苦しくなってしまうのだろう……と思っていたのですけれど、これかもしれません。知らず知らずのうちに、現在の自分を否定されてしまっているかのような感覚になっていたのかもしれません。お相手は一切そんなことを考えていないというのに。

  • 説得力はあるけど、その説得力も戦ってきた人としてのもの。私はこの人のように戦いたくない。戦わず、ぐでぐでしていたいんだなと思った。そういう自分を見つめ直す契機になった。いい本だけど、この本が必要なほど追い詰められてはいない気がする。この本が必要なほど戦う必要がある人にこそ、この本が届くことを願う。

  • 家人が購入して本棚にずっとあったのだが、もっと早くに読めばよかった!と思うくらいよき本。
    答えのない問い、「どうして負けたんだ?」「私のどこがきにいらないの?」
    何を答えても誤答になる問い。
    「人が『答えにならない問い』を差し向けるのは、相手を『ここ』から逃げ出さないようにするため」
    いきなりガツンと来た。
    私もある。言われたことも、言ったことも。
    そうかあ、相手を逃げ出さないようにさせる問いの形を取った言葉だったんだ。私もそういうつもりで確かに発したことがある…。
    そういう言葉には問いの次数を上げて対処すること。
    要するにメタ的に捉えるということ。
    なるほど。
    でもそれができない弱い相手に発する言葉ではあるのだよね。やはり呪いの言葉は怖い。

    「やっぱり若さというのは価値だと思うんです」という呪いの言葉には
    →「自分で自分に呪いをかけているようなものよ。あなたが価値がないと思っているのは、この先自分が向かっていく未来よ」

    さらに、「灯火の言葉」と名付けられた、人に勇気と元気を与える言葉についても書かれている。
     褒める、というよりも、まず相手を「発見』して、話しかけることだよね。通り過ぎるだけでは、「発見』したことにはならない。話しかける、というのは意外と骨が折れて面倒だけど、それは、もしかするとものすごく人間にとって必要で基本的な生きる力に直結するものなのではないだろうか。言う方も言われる方も、人生を変えるくらいの。

  • 呪いの言葉に振り回されない

  • 言葉によって、私たちの思考は、行動は、縛られもするし、支えられもする

    法政大学の教授
    国会パブリックビューイング代表

    エンパワーメント
    その人が持っている潜在的な力を発揮できるようにする

    肯定的に認めるとは、その人の今を評価すること
    期待をかけるとは、その人の今のその先を評価すること

  • コメント
    いつの間にか、呪いの言葉にとらわれていませんか?
    自由に生きるためのヒントがあります。

    桃山学院大学附属図書館蔵書検索OPACへ↓
    https://indus.andrew.ac.jp/opac/book/630854

  • 自分でも気づかぬうちにかけられた呪いの言葉はたくさんあるのではないか。
    そうした気づきを与えてくれる本。

  • 政権の欺瞞から日常のハラスメント問題まで、隠された「呪いの言葉」を2018年度新語・流行語大賞ノミネート「ご飯論法」や 「国会PV(パブリックビューイング)」でも大注目の著者が
    「あっ、そうか!」になるまで徹底的に解く!
    「私たちの思考と行動は、無意識のうちに「呪いの言葉」に縛られている。そのことに気づき、意識的に「呪いの言葉」
    の呪縛の外に出よう。
    思考の枠組みを縛ろうとする、そのような呪縛の外に出よう。
    のびやかに呼吸ができる場所に、たどりつこう。
    ――それが、本書で伝えたいことだ。」
    長時間労働やサービス残業やパワハラやセクハラや無理な要求などに声を上げる者に対して「嫌なら辞めれはいいんだ」という雇用主の呪いの言葉は、声を上げた労働者に「声を上げた側に問題があり、そんな要求はワガママだ」と責め労働者を黙らせる呪いの言葉。
    そういう呪いの言葉を言われ続けていると、「気持ちよく現場の空気を壊さないために、雇用主に要求したりせず黙って仕事すればいい」というふうに労働者が我慢するように内心から仕向けられる。だが偏った負担を強いる職場環境の問題は、残ったまま。だから労働組合や労働基準監督所などの助けを借りて、雇用主に問題改善の要求した方が職場環境が良くなる。
    虐待する母親や父親に共通しているのは、「母親だから父親だからしっかりしなさい」という呪いの言葉に追い詰められ、養育費をもらえず子供の育児が大変でフルタイムの仕事をすることが難しく経済的に追い詰められ家族に助けを求められなかったことが背景にある。だから援助を求めることが、ハードル低くなるような法整備をする必要がある。
    「なぜもっと頑張れないのか」という呪いの言葉に追い詰められ、「出来ない」と言えずに状況打開出来ず「仕方ない」と状況を背負い込み、過労死したり育児のストレスを子供に向けて虐待したりDVパートナーから逃げられなかったりしてしまう。それを防ぐために、自分の問題を開示して家族や社会保険などの企業福祉や社会福祉の援助を受けることが状況打開し悲劇を回避することが出来る。
    安保法制の頃から様々な課題のデモに市民が参加するようになって、政府支持派から「デモに参加すると就職出来ないよ」「お上に逆らったらダメ」と呪いの言葉をかけてくる奴らが増えたけど、デモする権利は日本国憲法第12条の「憲法が国民に保障する自由や権利は、国民の不断の努力によって保障されなければならない」を元にしたことなので「デモは国民の権利行使すること」と言い返せば良い。
    巻末には様々な「呪いの言葉」に対する言い返し文例集が記載されていて、「呪いの言葉」とは相手の思考の枠組みを縛り、相手を心理的な葛藤の中に押し込め、問題のある状況に閉じ込めるために相手が発するものであることを理解して、相手の土俵に乗らず「呪いの言葉」に絡め取られないように相手と距離を取り対応するやり方を身に付けて、風通しの良い世の中にするためのお守りのような1冊。

  • 言葉はSNSなどを通して凶器の側面が露呈する。その言葉に翻弄されて病んでしまわないためにも免疫力をつける。そして乱暴な言葉の背景や流布する人々の思惑を解析してみる。不条理が壁として立ちはだかっても乗り越えることが至難であっても、その壁を逃げずに見つめてみる。すると聞こえなかった見えなかった何かに気付くかもしれない。安易に分断するのは彼等の術中であり、無関心は悪徳に通じている。私は答えを急がない性質なので、まずは立ち止まってみる。何もしないのは無作法なので一休さんのとんちポーズでやり過ごすかな。

  • 「嫌なら辞めればいい」というような自分を縛る言葉。問題があることに対処せずに、抗議した自分が悪いように意識させられる言葉、それらのおかしな点を突いてちゃんと戦いましょうという書籍。個人的にはっとしたのが、”ダンダリン 労働基準監督官”というドラマからの引用で主人公が部下からどうしたらそんなに強くなれるか尋ねられたとき、『私は強くなんかありません。強いて言うなら、人からどう見られるかを気にしていないだけです』のところ。どうしても女性は意見を述べるときに感情的だとか言われがちで、私もどのように話すか日々腐心している。でも、これこそが呪いの言葉の束縛だったと気づいた。なぜならこのように悩んで出した言葉の成否は結局他人に委ねられておりその評価は信のおける結果ではない。このような部分に悩むのは止めようと思った。また他者のケアに責任を全く持つ必要がない人を”ケアレス・マン”とし、人間としてはあまり幸せでないのではないかという引用があった。自分と少し重なった。「国民主権」を獲得した国と与えられた日本との違いに納得し、デモの必要性もわかった。人間の究極の幸せは、”人に愛されること、人に褒められること、人に必要とされること、人の役に立つこと”の4つであるという禅僧の引用も参考になった。

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著者プロフィール

1965年奈良県生まれ。東京大学大学院経済学研究科第二種博士課程単位取得中退。
日本労働研究機構(現在の労働政策研究・研修機構)研究員を経て、2003年に転
職。現在、法政大学キャリアデザイン学部教授、同大学院キャリアデザイン学研
究科教授。
2017年3月に衆議院厚生労働委員会にて、2018年2月と2019年2月に衆議院予算
委員会にて、意見陳述(順に、求人トラブル問題、裁量労働瀬データ問題、統計
不正問題)。2018年6月より、国会パブリックビューイング(@kokkaiPV)代表。
著書に、『大学生のためのアルバイト・就活トラブルQ&A』(石田眞・浅倉む
つ子との共著、2017年、旬報社)、監修に『10代からのワークルール』(2019年、
旬報社)など。
『Yahoo! ニュース 個人』や『ハーバー・ビジネス・オンライン』に「働き方改革」
など時事問題を寄稿。

「2019年 『呪いの言葉の解きかた』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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