続けてみます

  • 晶文社
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本棚登録 : 121
感想 : 13
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  • Amazon.co.jp ・本 (273ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784794971937

作品紹介・あらすじ

まだ時間はあるのです。世界が終わる瞬間にはゆっくりとたどり着くはずだから。

幼い頃に父を工場の事故で亡くしたソラとナナは、生活の意欲を失っていく母と行き着いた暗い半地下の住居で少年ナギと出会う。「無理してがんばったって、人生はある日突然断ち切られて、それでおしまい」。そう繰り返す母の言葉から抜け出せないまま大人になる姉妹と、行き場のない思いを抱え、暴力に飲み込まれていくナギ。世界の片隅でひっそりと寄り添う3人に訪れる未来のかたちとは――。

誰かを思う気持ち、拒む気持ち、責任、放棄、やすらぎ、恐れ……。現代韓国文学の旗手が、みずみずしくも濃密に生の息遣いを描く。第23回大山文学賞受賞作。

感想・レビュー・書評

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  • 静かだけれど、力強くもあるような物語だった。ナナが自分の違和感に目を逸らさず、別れを決断できたのでよかった。3人が当たり前に赤ちゃんを大事にしていく未来が見える。人生は続いていく。

  • 家族ってただの他人だし子供を産んで育てたくなんかない。当たり前みたいにそう書いてくれるだけで好きな小説だと思った。

  • 韓国文学好きだなって自分でも思ってるんだけど、この本の最高なところは、主人公が妊娠への嫌悪感を露わにしているところ。
    私が知らないだけかも知れないけれど、妊娠出産を嫌がる女の話を私は初めて読んで感動した。自分も妊娠出産をしたくない人間だけど、世の中にはそれを美化してさも「良いこと」であるかのように(リスクを無視して)見せてる表現が沢山あるから、この作中でそんな女に出会えて安心した。
    ナギもいい奴で、ここにセクマイぶち込んでくるあたりが結構好きなんだけど、とりあえず妊娠を嫌悪する女が主人公として登場した時点でこの作品は最高です。

  • 「その取るに足らなさで、どうにか生きているのだから。」の一文に尽きる。

  • 家族とは。
    彼女たちは紛れもなく家族だ。群れの仲間だ。
    深く太く温かい目に見えないモノで結ばれた人たち。遠慮のある距離感にも関わらずそこにある絶対的な信頼感。
    彼女たちはきっとずっと強く生きていく。

  • 第83回アワヒニビブリオバトル「第7回ビブリオバトル全国大会inいこま予選会」で紹介された本です。
    2022.01.23

  • 初読

    「年年歳歳」を読んで、もう少しピンと来たい、
    と思ったのでこちらも
    ディディの傘、年年歳歳に続いて3作目
    なんとなくこの作家の持ち味がわかってきたような
    沈痛で静謐で…言葉にし辛い。

    夫を亡くしたエジャ、その娘ソラとナナ。
    同じく夫を亡くしたスンジャ、その息子ナギ。
    エジャとスンジャの違い。
    ソラとナナにお弁当を作り続けたスンジャは年年歳歳のスンジャ、スンイルの
    原型のような人物で、でもこちらの
    みんなでマンドゥを作って食べる、孫のいないスンジャは
    それはそれで幸福そうでホッとしたり。
    取るに足りなさで生きていける。
    そういう事もあるかもね

    ナギの同級生の教師の息子の彼に対する恋心、肉体の痛みという実在の交わりが印象的。
    ナギの日本での狭い畳の部屋での生活にぼんやりと感じる遠さ。
    子供達のクムジュさんの葬式ごっこでの弔問というものの存在感、
    クムジュさんの法事を執り行う息子がいないため、事故の賠償金を父方の親族が受け取るのも
    これまた違うな、と印象的だった。

  • 重苦しい空気の中でそれぞれ傷を負いながらも生きていく。
    ファンジョンウンの描くひりつくような空気とはっとするような言葉たち。

    “人間なんて虚しくて、取るに足らない。でもだからこそ愛おしいと思います。その取るに足らなさで、どうにかこうにか生きているのだから。”

    最後はまるいきれいな月明りでよかったよ。

  • 登場人物の過去と現在が交錯して、でも、今的な
    作品。
    人間なんて虚しくて、取るに足らない。だからこそ愛おしい。
    何だか、若いのに、老成したような登場人物に、
    明るい未来は、感じられなかった。けど、
    今の空気はすごく描いている。

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著者プロフィール

1976年生まれ。2005年、短編「マザー」でデビュー。08年に短編集『七時三十二分 象列車』を発表。10年、『百の影』で韓国日報文学賞、12年、『パ氏の入門』で申東曄文学賞、14年、短編「誰が」で李孝石文学賞、15年、『続けてみます』で大山文学賞、17年、中編「笑う男」で金裕貞文学賞、『ディディの傘』で五・一八文学賞と萬海文学賞など数々の文学賞を受賞している。邦訳された作品に『誰でもない』(斎藤真理子訳、晶文社)、『野蛮なアリスさん』(斎藤真理子訳、河出書房新社)、『ディディの傘』(斎藤真理子訳、亜紀書房)、『続けてみます』(オ・ヨンア訳、晶文社)、『年年歳歳』(斎藤真理子訳、河出書房新社)がある。

「2023年 『百の影』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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