現代怪談考

著者 :
  • 晶文社
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感想 : 9
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  • Amazon.co.jp ・本 (352ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784794972880

作品紹介・あらすじ

姑獲鳥、カシマ、口裂け女、テケテケ、八尺様、今田勇子――
そのとき、赤い女が現れる。
怪談から読み解く現代史。恐怖の向こう側にあるものとは。

絶対に許せない人間の「悪」。
深淵を覗き込んだ時、そこに映るものは何か。

怪談の根源を追求する、吉田悠軌の探索記、その最前線へ。

現代怪談に姿・形を変えながら綿々と現れ続ける
「赤い女」。そのルーツとは。現代人の恐怖の源泉を
見据えることで明らかになる「もう一つの現代史」。
赤い女の系譜を辿りつつ、その他重要な現代怪談の
トピックについても探索していく。

浮かび上がる「ミッシングリンク」とは。

【目次項目】
・怪談の深層に眠るもの:「子殺し」怪談 secition1
 1:イタリア公園へ
 2:こんな晩
 3:ザシキワラシ
 [現代怪談の最前線]:歩く死体を追いかけろ!
・怪談の深層に眠るもの:「子殺し」怪談 section2
 4:現代怪談の幕開け
 5:夕焼けの人さらい
  付1:赤い女前史
 6:口裂けの系譜
 [現代怪談の最前線]:牛の首
・怪談の深層に眠るもの:「子殺し」怪談 section3
 7:子殺しの罪と罰――コインロッカーベイビーとしての「コトリバコ」
 8:欠損する下半身の意味するもの――カシマさん
 [現代怪談の最前線]:人面犬
・怪談の深層に眠るもの:「子殺し」怪談 section4
 9:「大流行」以前の口裂け女
 10:変容する口裂け女
 11:潜伏するカシマ・ウイルス
  付2:テケテケ
 [現代怪談の最前線]:岐阜ポルターガイスト団地
・怪談の深層に眠るもの:「子殺し」怪談 section5
 12:「感染」を拡大させる赤い女――アクサラ、泉の広場の赤い女
 13:「白い女」の系譜――サチコ、ひきこさん、八尺様
 14:産みなおし、生まれ返りを希求する存在たち
  付3:MOMOチャレンジ
 [現代怪談の最前線]:樹海村
・怪談の深層に眠るもの:「子殺し」怪談 section6
 15:なぜ多くの人々が「赤い服を着た大きな女」を見てしまうのか?
 16:怪談とはなにか、恐怖とはなにかを探ること

 おわりに

感想・レビュー・書評

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  • 「現代怪談」と「子殺し」の関係性を主軸に様々な関連を述べる本。ネットの怪談や実際に起きたポルターガイスト騒ぎ、人面犬や口裂け女など話題は多岐に渡りますが一つひとつを丁寧に取り扱い、実際に現地へ行き丹念に源流を辿る姿勢が伺えます。

  • 常に主役は怪談で、怪談が映す現代の心の闇...とかではなく、怪談を考えるために「現代で一番怖いとされているものは、その理由は」と考えていく話なので安心して読めた。

    母性を極端に重んじている傾向から、現代では子供を殺したり死なせてしまうのが女性だった場合、特にそれが恐ろしいものとして語られるし、そういう話を語りたがってもいる、
    というのは結論ではなくて早々に示される出発点で、落ち着いた内容ながら作者の個人的な視線だと明記されているからか、「赤い服(あるいはこれから赤くなることを予感させる白い服)を着た大きな女」のまわりをぐるぐるまわっているような、独特の近さの感覚もあって良かった。最後は意外なくらい感動した。

  • 内容はおおむね怪談に登場する「赤い女」を「子殺しの母」のイメージから読み解くもので、かなり個人的な読み解きに思えるパターンもあるが著者が自覚的なのでそれはそういうものとして読んだ。

    怪談に怪異として出てくる女はだいたい白か赤の服(特にワンピース)を着ているなあ(生きている女性はめったに着ないのに)、というのは薄々感じており、前者は死装束のイメージであろうが後者は何だろうと思っていたが、本書では姑獲鳥のイメージ、つまり出産時の出血という説明がなされていた。
    「子殺しの母」の恐怖的イメージについて語るにあたり、母性神話の女性に対する圧力等についても言及されており、現代的な姿勢で良いと思った。

    ちょっと面白かったのは、著者が黒髪に白服の幽霊を「空白」であると論じていた部分である。貞子の影響も指摘しつつ、黒ツブレと白トビになぞらえた新説は興味深かった。

  • ふむ

  • [鹿大図書館学生選書ツアーコメント]
    その「恐怖」、本当の由来をご存知ですか?
    「姑獲鳥」から「八尺様」まで、怪異のルーツとミッシングリンクを徹底解剖する一冊。

    [利用はコチラ/鹿大図書館OPAC]
    https://catalog.lib.kagoshima-u.ac.jp/opc/recordID/catalog.bib/BC12405325

  • 別紙参照

  • 「子殺し」の目線から考察する

  • 考察が興味深く、面白かった。

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著者プロフィール

怪談研究家。1980年、東京都生まれ。早稲田大学卒業後、ライター・
編集活動を開始。怪談サークル「とうもろこしの会」の会長をつとめ、
オカルトや怪談の研究をライフワークに。テレビ番組「クレイジージ
ャーニー」では日本の禁足地を案内するほか各メディアで活動中。
著書に『一生忘れない怖い話の語り方』(KADOKAWA)、『オカルト探
偵ヨシダの実話怪談』シリーズ1~4巻(岩崎書店)、『怖いうわさ 
ぼくらの都市伝説』シリーズ1~5巻(教育画劇)、『恐怖実話
怪の残香』(竹書房)、『日めくり怪談』(集英社)、『禁足地巡礼』
(扶桑社)、『一行怪談(一)(二)』(PHP研究所)など多数。

「2022年 『現代怪談考』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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