絶滅へようこそ 「終わり」からはじめる哲学入門

著者 :
  • 晶文社
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  • Amazon.co.jp ・本 (384ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784794973092

作品紹介・あらすじ

「そろそろ滅びるそこのあなたへ」
 成田悠輔[イェール大学助教授、半熟仮想株式会社代表取締役]
「機械の僕(しもべ)のように、家畜のように暮らしたっていいじゃないか。
 だってもう、“人間”は終わっているんだから」
 磯野真穂[人類学者]、推薦!

完新世絶滅期(Holocene extinction)、あるいは、第六次の大絶滅期に
私たちがなすべきこととは? 全人類に問う「生の哲学」。

【すべてが「終わった」状態から考えるとすると、何が見えてくるだろうか】
人間の視点を越えた視座、億年単位の宇宙を問題とする
(当然すでに人類などというものもいない)、ある種「至高的な空間」から、
「絶滅」を考えたとき見えてくるものとは。
荒川修作の思想を系譜する気鋭の哲学者が「総合知としての哲学」を武器に、
人類の未来を探究する。

【目次】
手引きのようなもの――視野を途方もなく拡張する
1 絶滅へようこそ
2 「まだ始まっていない」と「もう終わっている」の隙間を生きてみる
3 機械のやさしさ
4 食べられたい欲望
5 神はまだ必要なのだろうか
6 人間はツルツルになっていく
7 苦しめば報われるのか?
8 大人しい人間と裁きたい人間
9 暴力と寛容
10 風景なきiPhoneは空虚で、iPhoneなき風景は盲目である
11 自己家畜化とどう向き合うか
12 歴史の終わりとは何だったのか?(過去からの終わり①)
13 村上春樹とピンボール・マシーン(過去からの終わり②)
終わりが始まるまでに――人間の行方

感想・レビュー・書評

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  • 現代の思想がまるっと学べる本だと思った。

    最も印象的だったのは、「出来損ない」「ポンコツ」など本来機械を形容する言葉を人間に使うようになったとき、人間は道具の側になるということ。

    これは日常で本当に痛感してきた。私たちは生産性や効率でしか人を評価できなくなってる気がしていた。

  • 少子高齢化、社会保障費、資源の枯渇問題、温暖化などの環境問題、、
    待ったなしに次々と襲いかかる問題から来る不安な未来に対して
    「まあ、50億年も経てば太陽の寿命は来るし、数億年経てば地表上の動物たちもほとんど生き残れないし、私たち人類が見据えられる未来なんて十数年〜精々100年先でしょ。」と気持ちをラクにさせてくれる本。
    サスティナビリティという持続可能性に疑問を抱き、他方でそのサスティナビリティを達成する使命感を背負った現代人に対してその緊張感を緩めようという著者の狙い。
    平和主義もヴィーガンの語る生命主義も肩肘張り過ぎだと。仏教的に生命への執着心を解いて世界を見つめ直してみようというユーモアに富んだ絶滅への論調。

  • 絶滅が救いであるという視点は興味深かったし、共感するのだが、それがほとんど哲学的な論証を与えられていない単なる主観でしかなかったのは残念だった。また、論が粗雑で危うい点も多々見られた。例えば、自己家畜化という生物学的な進化の方向を無批判に文明の向かうべき道かのように描いてしまっているところなど。

  • 50 57 61ポスト太陽的思考
    64 身体なしの思考
    74 ケアする機械
    114 アンダース
    183 絶対的寛容
    219
    224 自然の幻想☆
    242
    257 自己家畜化
    263
    266
    270 女性イメージが好まれる
    288 コジェーヴ
    300 アウシュヴィッツ
    318 345 村上春樹

  • 現実にある人類の諸課題に対し、現実の中からまともに向き合ってしまうのではなく、様々な視点拡張の試みで捉え方・考え方を変えることで苦しみの緩和や別の解法への糸口を探るといった筋の話だった。

    テーマは12あり、下記のようなもの。
    ・太陽の終わりに伴う生命の流れえぬ絶滅
    ・機械、道具による人工的な環境の中での安寧な生活
    ・暴力を減らし、自己を家畜化してきた試みの成功

    太陽の終わりから考えるという最初の視点は良かったが、それ以外のテーマは2022年時点の社会課題の描写に終始しており、現状理解には役立つが、解決への考えなどはなかった。

    また、最後の章とそれに続く結びの文章が村上春樹の賞賛で締められていた。ここでも独自の展望などがあると期待していたため少し残念。

  • ひっさびさに圧倒的に面白い一冊に出会った感覚。
    衝撃的な面白さ。
    ジワジワ、何十年も、ちょっとずつ熱狂的なファンが増えていくんだろうなという感じの本。
    コロナ上位互換、みたいなのが来る度に、戦争危機が訪れる度に、人類絶滅が近づく度に、読まれる本なんだろうなと。
    圧倒的情報量なのに、どこか風船のような軽さがある文章。暗い内容なはずなのに、どこか神秘的なそこはかとなく湧き上がるエネルギーが見え隠れする一冊。
    読んでよかった。出会えてよかった。心からそう思える一冊。

  • 問題意識は良かったけど結論そこ?好み分れそう

  • 非暴力の社会になっているはずなのに、ますます暴力的になってしまう世の中。スマートでどんどん効率的になっているのに、人々は幸福になるどころか、システムの道具となってゆく。悲観的になりすぎないように現状に対して懐疑的であることは大切だと思った。

  • 哲学について知るのは好きだけども、絶望という点について考えたことはなかった。絶望とは暗いイメージがあるが、わたしたちが感じていなかっただけですでに絶望派始まっていて、それは世界の流れの一部でしかない。ニーチェ、マックス・ウェーバー、デリダ、コジェーヴなど経済哲学者を知るきっかけにもなった。

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著者プロフィール

1974年、北海道生。東洋大学大学院文学研究科哲学専攻博士後期課程修了。
文学博士。自治医科大学総合教育部門(哲学)教授を経て現在、東洋大学
文学部哲学科教授。専門は現象学・環境哲学・リハビリテーションの科学哲学。
著書に『大丈夫、死ぬには及ばない──今、大学生に何が起きているのか』
(学芸みらい社)『壊れながら立ち上がり続ける――個の変容の哲学』
(青土社)など多数。

「2022年 『絶滅へようこそ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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