- Amazon.co.jp ・本 (216ページ)
- / ISBN・EAN: 9784794973207
作品紹介・あらすじ
さて、今日は何をしようかな!
「テスト勉強」で段取りを覚えると、人生が楽しくなる!
学校では教えてくれない、世界が変わる魔法の「時間割り」の組み立て方。
13歳の中学生、アオちゃんから出たSOS「テスト勉強のやり方がちょっとわからない…」
という言葉を受けたお父さんが、「テスト勉強の極意」を皆に伝える。
塾にも行かず、勉強時間を大幅に増やすこともなく、テストで点を取ることなどできるのだろうか。
果たしてその極意とは「段取り」にあった。
「テスト勉強のスケジュール表」を作って、日課をこなしたアオちゃんは
その後、五教科の合計点数が自己ベストを更新。
勉強のための勉強ではなく、生きるための勉強を多角的に伝える、著者初の「参考書」!
おとなが読んだらもう遅い…⁉ もう一つの「勉強の哲学」。
【目次】
はじめに
▼その1 テストとは何か?
▼その2 段取りとは何か?
▼その3 大人とは何か?
▼その4 全体量を把握すると、不安がなくなる
▼その5 スケジュール表の作り方
▼その6 自立のための段取り講座
▼その7 学校でお金の稼ぎ方を教えない理由
▼その8 将来の夢は置いといて、将来の現実を具体的に見る
▼その9 自分で会社をつくってみよう
▼その10 あなたはお金です
感想・レビュー・書評
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作家、画家、など、多彩な顔を持つ坂口恭平さんの「死なないために段取りを身につける」講座。
坂口さんが、自身の電話番号を公開し、死にたくなってしまった人から相談を受け付ける『いのっちの電話』。
そこに電話をかけてくる人々は、坂口さんが言うには「退屈だから」死にたくなっている人が多い。
忙しくしていても、自分のしたくないことで忙しいから「退屈」で死にたくなる。
なぜ、「退屈」なのか。
それは、「段取り」を教えてもらってないから。
学校ではいろいろと学ぶのに、社会に出てから絶対に必要になる「段取り」を教えない。
「段取り」をちゃんと出来るようになれば、人生が楽しく、死にたいとは思わなくなるし、ひいては自分で自分を救えるようになる。
自分で自分を救えるのが本当の「大人」です―――。
口を酸っぱくして、「段取り」の大切さを説いている。
以前、坂口さんと、斎藤環さんの対談のレビューで、宗教っぽい、と書いたと思うが、そう思った原因は、坂口さんの独自性と、自身の経験から導き出された確信ある物言いのせいだと感じた。
自分も楽しんで生きて、苦しんでいる他者も救いたい……そんな思いに満ちた本。
その大切な「段取り」とは何か―――。
それは、朝起きて、一日のやることを円グラフにしてみること。
テスト勉強だったら、まず、全体量を把握し、テストまでの日にちに振り分け、コツコツとこなしていくこと。
毎日8割の力で、決して頑張りすぎない、休憩はこまめに入れる。
勉強のこと、が、書いてあると思った中学生は面食らうかもしれない。
でも、大切なことを書かれている。
この本も、坂口さんの「自殺者をゼロにする」という目標の一環なんだろうな。
興味を持たれた方は、坂口恭平さんのnoteを覗いてみてください。
全文無料で公開されています。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
中学生に向けて行った講座を書籍にしたもの。と思いながら読んだのだけれど、講座を行ったわけではなく、講座調に書かれた本なのかも。そして、この書籍全体がどこかで無料で読めるらしい。それはそうと、とても良い本でした。図書館で待って待って待って借りたのですが、子どもたちが中学生になったら、そっと差し出そうかと思ったり、私もまた読み返すだろうと思ったりで、購入することにしました!
著者の坂口さんは、娘さんからテスト勉強に対するアドバイスを求められた。それに対して坂口さんは、どうアドバイスしたか。それが、タイトルにある「段取り」。つまり、勉強すべき全体量を把握して、全体を網羅する勉強スケジュールを立てて、それを実行する(守る)ということ。本書では、テスト勉強へのアドバイスとしてはそれだけしか言っていない。この「段取り」がどういうものかをふむふむと読んでいく中で、これも需要だと感じたことは、「目に見えるかたちにする」ということ。つまり書き出すということ。頭の中で考えただけのことは想像の域を出ないと。これには強く共感した。
坂口さんははっきり言う。テストの内容は大事ではない、と。テスト勉強で段取りする力を身に着けることこそが大事だと。「段取り」は将来、自分の人生を生きていくにも必要な力で、自立する力になると。
学校では「段取り」を全く教えてくれないのに、社会に出たら、「はい、段取り良く仕事してね」と会社で要求され、そこに対応できない人も多いと。これはまさに真実をついてると思った。いい大学を出ていても仕事ができない新入社員がいたとして、彼(彼女)は、「段取り」を自分でしたことがないのかもしれない。ここに日本の教育の穴がある。日本の教育は「段取り」を先生がしてくれるから。
中学生へ、テスト勉強は「段取り」を身に着ける良い訓練と思って、それはそれでがんばりましょう、と呼びかけ、内容的に第2章へうつる。話題はもっとスケールが大きく、人生のこととなる。なぜ、日本では学校でお金のことを教えないのか。これは私自身、こんなにいい歳になってやっと気づいたことで、子どもたちには早くから知っていて欲しいと感じる点だ。そこから、「段取り」を生活に応用して、好きなことをしていくことを強く薦めている。そこから起業の話にもなり、なんだか、中学生じゃないけど、私も今からでも好きなことを好きに段取りした生活が送れるんじゃないかと勇気がもらえた。
坂口さん自身、作家であり、絵描きであり、音楽家である。自分の好きなことを、自分で「段取り」したらこういう生活になったとのこと。そして、坂口さんのもうひとつの大きな活動が、ご自身の電話番号を公開し、「死にたいと思ったらかけてきて」と呼びかけていることだ。もう十年も続けられている活動とのこと。その活動の原動力はおそらく、年間2万人もの自殺者がいる日本という国は変だ、という思いからではないかと思う。本書でも、現在の日本という国の在り方、何にでもお金がかかる資本主義の在り方、教育、大人になっていない大人などに対してはっきりと危機感を示している。私も常々、日本の公教育では自分で考える力が育たない、そもそも子どもたちが自分で考える機会が少ない、その結果、「自分で考える」力を持たないまま大人になってしまっていると、自分自身の反省を含めて感じることが多く、同じような危機感を示してくれたことになんだか安堵してしまった。
全体を通して話し言葉で、中学生に投げかける言葉が多く、繰り返しも多いが(特に最後の方はダラダラと長い気もした)、「いや、ホントそう」と共感するところ、「私がなんとなく思っていたことをはっきりと言葉にしてくれた!」とスッキリするところ、「(中学生じゃないけど)私にもできるかも」と勇気をもらえたところと、色んなポイントで有意義な読書になりました。
さっそく、好きなことを「段取り」して、「継続」してみよう。
中学生だけでなく、大人にもおススメです! -
私も自学で資格を取った時にこれに似たことをしていた。人の言う通りに勉強して合格した高校、大学受験より、資格を取ったときの方が糧になっている感覚がある。また何か勉強したくなった。
時間割をつくり、人に邪魔させない
好きなことをする
いくつかやりたいことを挙げ、会社を作る
「困難は分割せよ」
「好きこそものの上手なれ」
「考える前にやる」
勉強はエンタメではない
段取りを決めれば、あとはそれにのっとって行動するだけでうまくいくし、それができた時に自信がつく、という本。
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働くことの考え方について、相手は関係なく自分の好きなことを継続し続けることが大事というのはおもしろいと思った。ただ、段取りができれば自立、仕事がうまくいくというのは言い過ぎかと思う。仕事は自分の段取り通りにいかない。自分がコントロールできないことも含めて問題が起きてどうにもならなくなってからが仕事だと思う。1人でできる仕事は限られてる。人を巻き込み、引っ張って行く力が必要だと思う。そのためにはテストだけでなく、スポーツ等でチームとして成果を出すということを学ぶというのもとても大事だと思う。僕は今の教育に足りていないのは、答えのない課題に対して目標を決め、周りを巻き込み、発生する課題をチームで解決することを学ぶということだと思う。
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「中学生のための…」というタイトルだが、大人が読んでも勉強になる。分かりやすい。物事に取り組む時は段取りが大切。自分で予定を組んで、主体的に取り組むことが重要。仕事をしているとき、どこか毎日の繰り返しで飽きてしまっていた。でも、それは主体的にやる姿勢が低かったのかも…と考えたりした。
文中に、大人とは自分のことを自分で守れる人。救える人と書いてあった。その意味でいうと、今の自分は全く大人になれていないよ。 -
素直な中学生で、この本を読むくらいの意欲と能力があれば、大変役立つと思う。
著者が悪い人でないことは確かだと感じられるし、読んで本当に人生変わる子もいると思う。
がしかし。好きなことは続けられる。それを仕事にしていけばいいというのは、著者は文章を書くこと、絵を描くこと、作曲することだったからであって、ゲームをするのが好き、YouTubeなら何時間でも見ていられるというような「好きなこと」だった場合、それを継続して仕事になるのかと。いやもちろんゲーム実況とか、仕事にできる人もいるけど、ただゲームをしてるだけ、YouTubeを見てるだけで全員がそれを仕事にできるようになるわけではない。
自分も才能があったわけではない、継続しただけ、と書いてあったけど、そういうクリエイティブな作業を30年以上続けてこれたのは、才能があるから。そしてそれら全てを他人がお金を出して買いたいと言ってくれてるわけで、「下手の横好き」とは違う。
税金の取りっぱぐれがないから国は会社で働かせたいのだというのも真実ではあるが、会社でなら働けるから、稼いで生活できるのだ、とも言える。起業して維持するだけの才能はないから。まあ起業してないので断言はできませんが。
あと、「いのっちの電話」も素晴らしいことだとは思うけど、一日30人の電話を受けるとあって、普通に考えたら死にたくなってる人がちゃっちゃと要領良く用件を伝えて切るってことはないように思われ、しかし一人に十分な時間を割いていたら、自分の創作活動はできなくなるんじゃないかと。会社を立ち上げていると言っても社員は妻だけとあり、人を雇って電話対応しているわけではなさそう。「いのっちの電話」がなければ、一日に3つの創作活動を行い、夜8時間眠ることも可能だけど、死にたくなる人は夜中でもかけてくるんじゃないか。小説書きながら死にたい人の電話応対もできなさそうだし。正直、どうすれば30人の電話をうけられるのか?と思う。
しかし、この本のターゲットは中学生なんだから、大人がこういうこと言うのも良くない。あたまから否定しては進まないのも本当だし。
とりあえず私もいろいろなものの必要量を測定してみます。仕事のスケジュールはやってるので大丈夫。確かに仕事量と締切ををきちんと把握して表にしておくと、あれもやらなきゃこれもやらなきゃという不安はなくなると私も思います。 -
題名から学べるとこは、前もって計画を立てる事。予定通り出来たら、早くやめてもいい。
その代わりわからない事が出て、時間通りに終わらなかったら場合、しっかり腰を据えてわかるまで頑張ると言う事。
それ以外は、相談乗ると個人の携帯番号を紹介してるだけ -
中学生のためのテストの段取りと銘打っていますが、幸福で理想の生活を作るための段取りや計画について書かれているため大人でも楽しめて学ぶところがあります。
テスト勉強は段取りの練習に最適
テストの段取り=自分なりのスケジュール表を作る
テスト範囲の総量をテストまでの期間で均等に割る
8割くらいの力でできる量にする
目的地を決めると早くゴールできる
全体量を把握すれば不安はなくなる
将来の夢ではなく将来の現実を考える
将来の自分の送りたい生活をリアルに想像して、その生活リズムで過ごすことで心地よい人生を送ることができる。
人から求められることではなく自分がやりたいことをやる
喜びを自分で生み出すことにより継続が楽しくなる
三日坊主になる習慣=自分の体に合わないのでやめていい
人に優しくすることで人が集まる、良い流れが生まれる→生き延びるための技術
毎日一定量自分がやりたいことをやる時間を作る
継続することだけが才能
才能=お金 -
ここ数年、現職がつまらない、何か別の仕事をしたいと思うものの惰性で働いてしまっていた。お金になるならないはさておき、とにかくやってみることが大事。時間割を作って進めていきたい。
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講義で語りかけるような口調で、中学生でも分かるように優しく説明する文章。大人が読んでも良い、どころか大人こそ我が身を省みるために読むべきだと感じた。
「現実とは、つまり、毎日、どの時間に、何をやっているかだけです」(p144)とあるが、自分は実際、これを認識できていなかった。働く、稼ぐ、遊ぶ、そんな漠然とした生活のイメージは、1日24時間をどう使うかという段取りに書き出すことで自分のコントロールできる時間として手に入る。
事前にやることを考え、全量を把握し、余裕を持ったスケジュールとして書き出す。できなければもっと易しいスケジュールにする。それでもできなければ別の原因を探すか、向いてないので諦める。
とてもシンプルだが難しいと思う。でも、なぜ難しいと思うのだろう?真剣に自分の人生に向き合うことは億劫なのかもしれない。それでも、自分と向き合わないことの苦しさや退屈さで押し潰されそうな時は、やはりここに立ち返るしかないのだろう。