もうすぐ二〇歳

  • 晶文社
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  • Amazon.co.jp ・本 (408ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784794973511

作品紹介・あらすじ

舞台は1970年代終わり頃のコンゴの大都市ポワント=ノワ ール。主人公はアルチュール・ ランボーの『地獄の季節』を愛読し、ブラッサンスを愛聴する少年ミシェル、12歳。ガールフレンドは愛くるしい同級生のカロリヌ。父親はフランス人所有のホテルで働き、白人客が残した本を家に持ち帰ってくる。母親はもう一人子供をほしがっていて、「お腹を開く鍵」はミシェルがもっていると呪術師が告げる。飛行機が頭上を横切り、ミシェルと年上の友人ルネスは着陸する国を夢見ている。自国はマルクス• レーニン主義一党独裁体制。ラジオからはテヘランアメリカ大使館人質事件、イラン皇帝シャーの死などのニュースが流れる。少年ミシェルの周りにおこる数々の波瀾、ユーモラスな出来事、不思議な経験を作家アラン・ マバンクは淡々と暖かい眼差しで描いていく。幼年・青春の思い出を下敷きにした感動の自伝小説。

感想・レビュー・書評

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  • コンゴのマバンクによる小説。1970年代コンゴの地方を舞台に小学生の最終学年のミシェルの目で語られる日々の記録。母親は第2夫人で連子だったのでミシェルと父親とは血の繋がりはない。だが父親や第1夫人またその子どもたちとはとても良い関係なので、この辺りがコンゴの風習かあるいは父親の人柄か。
    かなり政治情勢が日常会話の中で語られ、子どものミシェルがイランのシャーの亡命生活とその死を気にしていることなど新鮮だ。そして呪術師が当たり前のように存在し、母親に子供ができないのはミシェルが鍵を掛け隠したと告げられる。ミシェル以外が皆そのことに何の疑いも持たないのが怖かった。
    とにかく知らないコンゴの生活を知り、また生き生きとした描写が素晴らしく、読み応えのある物語でした。

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著者プロフィール

1966年、コンゴ共和国ポワント=ノワール生まれの小説家、詩人、評論家、大学教授。首都ブラザヴィルの大学で法律を学び、22歳のとき奨学金を得てフランス留学。ナント大学、パリ第七大学(総合)、パリ・ドーフィン大学(経済・経営)で学ぶ。最初の小説 Bleu-Blanc-Rouge(1998年)でブラック・アフリカ文学大賞を受賞し一躍注目を集めた。小説Verre cassé(2005年)でフランコフォニー五大陸賞、Mémoires de porc-épic(2006年)でルノド賞受賞。2015年マン・ブッカー国際賞ファイナリスト。フランスでは「アフリカのサミュエル・ベケット」として知られる。2002年から米ミシガン大学で、2006年からカリフォルニア大学ロサンゼルス校で正教授としてフランス語圏文学を教える。最もクールな教授とみなされ「マバンクール」というニックネームがある。作品は20の言語に翻訳。

「2023年 『もうすぐ二〇歳』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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