中野本町の家 (住まい学大系 90)

著者 :
  • 住まいの図書館出版局
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感想 : 7
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  • Amazon.co.jp ・本 (196ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784795221345

作品紹介・あらすじ

日本の1970年代を代表する住宅建築が、97年、姿を消した。この建築を設計者とともにつくりあげた母とそこに育った娘たちが20年の日々とその帰趨を、それぞれの視点から語った。現代住宅とは何か。この問題意識の最深層を潜り抜けた、住み手からのここまで率直な報告はかつてなかった。今後もないだろう。設計者である伊東豊雄は、この「中野本町の家」成立までの経過と、出現当時の時代状況を、未発表のエスキースを含む資料と併せて報告している。

感想・レビュー・書評

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  • 住宅の本なのに、読んでいて切なさを感じるという不思議。住宅が人に与える影響、今の自分の思いが未来の自分に与える影響、を考えてしまった。
    デザインが違っていたら、後藤さんたちはその家に住み続けただろうか。けれどその家は、当時の後藤さんたちの気持ちに添っただろうか。

  • 2014年10月12日読了。

  • 目前でそれは無惨に打ち砕かれ、
    みるみるうちにコンクリートの瓦礫の山を築いていった。

    自ら設計した建物が消滅する姿に
    建築家は立ち会ったことがあるだろうか。

    住宅の死をめぐって

  •  この本は、伊東豊雄の公式サイトにおいては著書としては上げられていない。しかし、彼の出世作である「中野本町の家」について述べられているものなので、けっこう重要ではなかろうか。

     この本は伊東豊雄の姉の一家(施主でもあった)へのインタビューの書き起こしと、伊東豊雄の文章からなる。「中野本町の家」は築20年を以て施主一家から「服していた喪から人生を進める為に、脱ぎ捨てるべきモノ」として取り壊されたが、これが伊東豊雄にとっては驚天動地の出来事であったと述べられている。居住者にとっての「家」と建築家にとっての「家」との間には、深くて広い淵が生じるケースがあるということらしい。

     そこから伊東は、建築家は家を造るということについてもっと哲学しその思想を明確に施主に伝えるべきだと思うに至ったらしいが、しかし住宅建築のTV番組や雑誌をみるに、まだこの業界、建築家の「自己顕示欲」「自己表現欲」のほうが優先され、住む側がそれに合わせているようにも感じられる。

     まぁ、住み手(施主)がそこまで「生活」について哲学してないから建築家の哲学やハウスメーカーの既製品にのっかりやすい、というのもあるだろうけれど。

  • 住宅が「快適に暮らすための空間」であることは何よりもまず大前提であると信じて疑わなかった私は、そうではないところで「家」を持とうとした施主と、それを受け止め具現化した弟の建築家。そしてそこで共に暮らした二人の娘のそれぞれの「家」に対する思い。そして老朽化ではなく、その役目を終えて(!)取り壊された「家」。この本は伊藤豊雄の建築を知る本であること以上に、施主とその家族の魂の記録である。内容、装丁、写真、すべてすばらしい。

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著者プロフィール

東京大学、お茶の水女子大学、慶應義塾大学の非常勤講師。ミュージック・ペンクラブ会員。

「2014年 『山田耕筰 作るのではなく生む』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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