日本の警察がダメになった50の事情: 神奈川県警、新潟県警、埼玉県警警察不祥事はなぜ多発するのか (別冊宝島Real 1)

  • 宝島社
3.00
  • (0)
  • (0)
  • (1)
  • (0)
  • (0)
本棚登録 : 8
感想 : 0
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (191ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784796618281

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 日本の警察不祥事や不適切な取り調べ、特に事実と異なる自白の強要は深刻である。警察官の不祥事が多い。警察不祥事や警察官の犯罪が頻発している。警察不祥事は繰り返されている。新聞やテレビ報道で連日に渡り警察の不祥事が明らかにされている。警察の腐敗した実態を知り、呆れ果てている。
    さいたま市大宮区のJR大宮駅前のビルにあるインターネットカフェに客の男が立てこもった事件も警察不祥事の観点から論じることができる。この事件は発生から逮捕まで実に32時間も要した。人質は無事ということで関係者お疲れ様と言いたくなるのが人情論であるが、専門家は問題点も指摘する。
    犯罪ジャーナリストの北芝健氏はグダグダ劇と評する。「粗暴犯事案に慣れている埼玉県警はいつでも突入できたはずなのに、どうしてこんなに時間がかかってしまったのか…。長期戦になるほど犯人が疲れて突入のチャンスはできるが、一方で人質の体力が奪われる。何よりストレスから犯人が不測の行動をとりかねないだけに長期戦は得策ではなかった。後世に残るグダグダ劇だ」(「歴史的グダグダだった大宮ネカフェ籠城戦 警察関係者からは「超密室」の難しさ訴える声も」東スポWeb 2021年6月19日)。
    人命重視による慎重さは評価に値する。しかし、公務員組織には先送り体質によるスピード感のなさという体質もある。前者を建前として後者を糊塗するようなことをしていないか。長期戦には「ストレスから犯人が不測の行動をとりかねない」というデメリットがあるとの指摘は貴重である。
    警察不祥事は氷山の一角である。外部の監視機関がない中で警察不祥事は巨大化している。昔よりは報道されるようになり、ネットニュースで容易に目にできるようになったことは進歩である。それでもマスメディアの警察不祥事のネットニュースは消されることが早いように感じる。だからこそ警察不祥事の情報を記録することが大切である。
    警察不祥事は怒りや疑念を呼び覚ます。警察の非人道的な行動を肯定する訳にはいかない。市民の憤り、恐怖と不安は想像を絶する。目に余る腐敗ぶりである。本腰を入れて調査する必要がある。警察不祥事を明らかにすることが今の私にできることである。警察不祥事を知ることが最近の学びである。
    税金を使って働いて給料を貰っている自覚も無く再発防止もできず、毎日のように警察不祥事が起きている。不祥事が発覚すると杜撰な管理と隠蔽体質。調査をしても大した成果は出ない。警察不祥事は、もっと大問題にしないといけない。国民の問題として目を光らせていることが必要である。
    警察不祥事は、結局の所、全ての立場の者達の軽蔑を買うものである。警察不祥事そのものが多数の市民にとって論外である。情報公開の動きは鈍く、精細を欠く。多くの警察不祥事では情報公開が余りに遅過ぎる。行政は縦割りで、全て申請主義になっている。全部の部署に申請に行かないとならない。市民に無駄な手間をかけさせる。警察不祥事を許せるはずもない。警察組織に不信感を募らせる。心に癒えることのない憎しみを植える。
    権力に依存していく不祥事警察官、正義の名の下で悪を可能にする不祥事警察官。もはや人間と呼ぶことも悲しくなるような存在である。不祥事警察官は冷酷で冷淡で、高慢で尊大である。自分達以外の存在が同じ人間だという認識があるかも怪しい。究極的には市民を家畜位にしか考えていないのだろう。市民を認めず、恐れる。そのあり方は無様で愚かで、醜悪に思える。
    警察組織は緊張感の欠如を許容し、慢心や腐敗を温存する害悪と化している。警察組織の体質は骨の髄まで病んでいる。封鎖的で排他的で、差別的で、常軌を逸した価値基準が支配している。どれ程理不尽でも、どれ程おぞましくとも、それしか知らない者にとっては地獄も地獄と認識できない。
    警察組織はグループシンク(集団浅慮Groupthink)が起きやすい。不合理あるいは危険な意思決定が容認されやすい。集団の凝集性が高い場合や外部と隔絶している場合に起きやすい。グループ・シンクを避けるためには、異なった意見を十分に受け入れ、建設的な批判を重視し、選択肢の分析に時間をかけることが必要である。
    警察不祥事は民間感覚の対極にある公務員の組織体質の帰結である。スリランカ女性が死亡した入管の問題も警察不祥事と重なる。自分達の規則が守られていればそれでいいという、縦割り公務員組織の非人間性の結果である。ビデオを開示しない隠蔽体質も露骨である。開示しないことには不都合な事実があるのだろう。
    逆にファイザー社が迅速にワクチンを開発できた理由は民間の優位性にある。ファイザー社CEOは社内と社外の官僚的な事務作業の負担からの開放と指摘する。「過度の官僚的事務作業から彼ら(研究者)を解放した点にある」「当社は米国政府からもドイツ政府からも資金援助をいっさい受けなかったので、意思決定についていちいち政府に報告や説明をする義務はなく、各国の担当規制当局からの監督だけで済んだのである。」(アルバート・ブーラ著、倉田幸信訳「ファイザーはなぜ驚異のスピードでコロナワクチンを開発できたのか 不可能を可能にした6つの要因」Harvard Business Review 2021年6月10日)

全1件中 1 - 1件を表示

久保博司の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×