ランジーン×コード tale.2 (このライトノベルがすごい!文庫) (このライトノベルがすごい!文庫 お 1-2)

著者 :
  • 宝島社
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本棚登録 : 151
感想 : 10
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  • Amazon.co.jp ・本 (348ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784796680295

作品紹介・あらすじ

"ホワイト・ラビット"をめぐる事件が終結して1か月。"くるみの家"に引き取られた由沙美を、ロゴたちは温かく迎える。そんな折、都内に"破詞"と名乗る謎の集団が出現。踊りを通じて他のコトモノを次々と"破詞"化させていく彼らの正体、それはコトモノという存在を根底から揺るがすものだった-!自ら「詞を破る者」を名乗る彼らに、ロゴの『言葉』は通じるのか!?遺言詞の文字が綴る、ヒトとコトモノの幻想詩、衝撃の第2弾。

感想・レビュー・書評

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  • 言語を遺伝子に喩えた設定は秀逸。作内だと「遺伝子」というよりは「生物」ってとらえ方が多いような気がするけれど、ランジーンって語感がいいし、気にはならないかな。

    「国語とは国である」は山本夏彦の言葉。日本は「標準語」を定めて初めて国家の始まりを見た。同時にそれは、小さなコミュニティを潰すことに繋がった。
    作品では同じ「言葉」を持つ人々がコミュニティを形成し、手と手を取り合って生きている。でも、まだ「標準語」が大半で、彼らを冷視している。
    「標準語」の人々は彼らの「言葉」を「治療」することを進めるが、自らの「言葉」を大切にしたい彼らはそれを拒否し、現実と折り合いをつけつつも、閉鎖的な世界に閉じこもってゆく。

    これは「方言」と「東京」の縮図だ。
    ぼくはこの構図に、ランジーンコードの普遍性を見る。
    「方言」とはすなわちマイノリティな「個性」を指し、主人公のロゴはその「個性」を尊重する。なぜなら、それを捨ててしまうことが「本当の自分」を捨てることに繋がると考えているからだ。

    ぼくがロゴに覚える親愛も、かような主義に共感するからである。社会というものは個人を認めない。甘い、モラトリアム特有の考えだと思う。しかし、ロゴは血を流して社会に対抗する。その土臭さに、ぼくはロゴの身勝手をどっか肯定してしまう。

  • <ホワイト・ラビット>をめぐる事件が終結して1か月。“くるみの家”に引き取られた由沙美を、ロゴたちは温かく迎える。そんな折、都内に<破詞>と名乗る謎の集団が出現。躍りを通じて他のコトモノを次々と<破詞>化させていく彼らの正体、それはコトモノという存在を根底から揺るがすものだった――! 自ら「詞を破る者」を名乗る彼らに、ロゴの『言葉』は通じるのか!?
    ランジーン・コードが綴る、ヒトとコトモノの幻想詩、衝撃の第2弾!

  • 一巻が面白かったんので二巻も購入しました

    相変わらずおもしろかったです
    けど、あんまり表現が好きじゃないところがあり残念です

  • 由沙美の父親、羽住の執着心はある意味尊敬できるほどのものだった。手話も言葉という発想は素晴らしい。
    最後に由沙美が羽住と決別し「言葉」の繋がりを取るシーンは感動した。

  • 前回よりもストーリーが良かった。由沙美の勇気ある決断に乾杯!

  • 世界観が好きなので2巻も購入。
    1巻より読みやすかった。

  • 「tale.2」と題名にかいてあるように、前作「ランジーン×コード」の続編です。 前作の感想は↓参照(笑)
    http://booklog.jp/users/tama-hirosima/archives/4796678824

    前作を読んでから4ヶ月程過ぎ去る間に、脳内にストックされていた物語の舞台を、すっかりと忘却のかなたへ忘れ去ってしまっていたために、1作目をザラザラっと読み直してからのトライをしました。

    いやだって。。。2作目なんで、1作目から引き続き登場する人物が多いのだけど、誰がだれだか忘れちゃってたんですよ(苦笑)

    物語のほうは、今回も主人公のロゴががんばってます。
    事件とは関係ないところでは、年相応の女の子の気持ちが読めない男の子だったり。。。読んでいてほほえましいです。

    今回は前作に登場しなかったコトモノが登場しましたが。
    「箱亀」。。。なんかかわいかったなぁ~(笑)

  • 面白い設定だけど、テンポが悪くて読みにくいと感じた。
    登場人物についても理解しにくいから、共感できないのが
    残念だった。
    真面目に書いているのだろうけど、『勢い』みたいなものが
    あったら世界に入っていけたかも。

  • “「我々が『言葉』に縛られている?これを見ても、まだそう言えるかな?」
    ロゴの肩が強く掴まれ、無理やり後ろを振り返される。さっき、広場で目撃した白髪の男の顔が眼前にあった。律儀に動き出す左手を抑える。
    やはり間違いない。こいつは<破詞>だ。そして、コトモノだ。
    ギラギラと強い眼力を放ちながら、<破詞>であるその男はロゴを見下ろすと、急に口を開いた。とたんに、ロゴの視線は男の口のなかへと釘付けになった。
    男の口には舌がなかった。
    舌だけではない。よく見ると、喉にも傷が走っている。
    コトモノにとって命であるはずの、『言葉』を発する器官。
    その器官が、目の前の男にはない。
    男は自分の携帯電話を持った右手を掲げた。右手の指が携帯電話のボタンを打っていき、あの人工的な声が携帯電話のスピーカーから淡々と発せられる。
    「我々は言葉を捨てた。『言葉』なき者なのだよ」
    「そんな、そんなはず……」
    必死にロゴは、自分が見たものの意味を捉えようとする。だけどもいくら考えても理屈に合わない。間違いなく、こいつはコトモノだ。コトモノのはずなのに。”

    前巻同様最初から最後まですごく良かった。
    何だろう、異色の生物と共存してるとことか先の読めない驚きの展開・行動とかがアンダカを思い出させてとても楽しめる。
    出てくる登場人物一人一人が色濃くて薄っぺらくない。奥深い。
    もちろんストーリーもとても奥深くて読み応えがある。
    ロゴの性格がすごく好きだな。
    イラストも素敵。
    これからの展開が楽しみ。
    ロゴの母がどう出てくるのか。

    “「ロゴにいは……」
    おずおずと上目づかいで由沙美はロゴに尋ねてきた。
    「私がここにいてくれたら嬉しい?」
    一瞬、ロゴは由沙美から視線を逸らした。心臓が大きく跳ね上がりそうになった。なんで自分がこんなに照れているのか、ロゴにもわからない。
    だけど、真面目に答えなければならない問いだった。本心からロゴは答えた。
    「すんげー嬉しいよ。決まってるだろ、そんなの」
    何を当たり前なことを。そうロゴが思ったのも一瞬だった。
    由沙美の顔が朱を通り越して、茹でタコのように真っ赤になった。”

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