ランジーン×コード tale.2 (このライトノベルがすごい!文庫) (このライトノベルがすごい!文庫 お 1-2)
- 宝島社 (2011年1月8日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (348ページ)
- / ISBN・EAN: 9784796680295
作品紹介・あらすじ
"ホワイト・ラビット"をめぐる事件が終結して1か月。"くるみの家"に引き取られた由沙美を、ロゴたちは温かく迎える。そんな折、都内に"破詞"と名乗る謎の集団が出現。踊りを通じて他のコトモノを次々と"破詞"化させていく彼らの正体、それはコトモノという存在を根底から揺るがすものだった-!自ら「詞を破る者」を名乗る彼らに、ロゴの『言葉』は通じるのか!?遺言詞の文字が綴る、ヒトとコトモノの幻想詩、衝撃の第2弾。
感想・レビュー・書評
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言語を遺伝子に喩えた設定は秀逸。作内だと「遺伝子」というよりは「生物」ってとらえ方が多いような気がするけれど、ランジーンって語感がいいし、気にはならないかな。
「国語とは国である」は山本夏彦の言葉。日本は「標準語」を定めて初めて国家の始まりを見た。同時にそれは、小さなコミュニティを潰すことに繋がった。
作品では同じ「言葉」を持つ人々がコミュニティを形成し、手と手を取り合って生きている。でも、まだ「標準語」が大半で、彼らを冷視している。
「標準語」の人々は彼らの「言葉」を「治療」することを進めるが、自らの「言葉」を大切にしたい彼らはそれを拒否し、現実と折り合いをつけつつも、閉鎖的な世界に閉じこもってゆく。
これは「方言」と「東京」の縮図だ。
ぼくはこの構図に、ランジーンコードの普遍性を見る。
「方言」とはすなわちマイノリティな「個性」を指し、主人公のロゴはその「個性」を尊重する。なぜなら、それを捨ててしまうことが「本当の自分」を捨てることに繋がると考えているからだ。
ぼくがロゴに覚える親愛も、かような主義に共感するからである。社会というものは個人を認めない。甘い、モラトリアム特有の考えだと思う。しかし、ロゴは血を流して社会に対抗する。その土臭さに、ぼくはロゴの身勝手をどっか肯定してしまう。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
<ホワイト・ラビット>をめぐる事件が終結して1か月。“くるみの家”に引き取られた由沙美を、ロゴたちは温かく迎える。そんな折、都内に<破詞>と名乗る謎の集団が出現。躍りを通じて他のコトモノを次々と<破詞>化させていく彼らの正体、それはコトモノという存在を根底から揺るがすものだった――! 自ら「詞を破る者」を名乗る彼らに、ロゴの『言葉』は通じるのか!?
ランジーン・コードが綴る、ヒトとコトモノの幻想詩、衝撃の第2弾! -
一巻が面白かったんので二巻も購入しました
相変わらずおもしろかったです
けど、あんまり表現が好きじゃないところがあり残念です -
由沙美の父親、羽住の執着心はある意味尊敬できるほどのものだった。手話も言葉という発想は素晴らしい。
最後に由沙美が羽住と決別し「言葉」の繋がりを取るシーンは感動した。 -
前回よりもストーリーが良かった。由沙美の勇気ある決断に乾杯!
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世界観が好きなので2巻も購入。
1巻より読みやすかった。 -
面白い設定だけど、テンポが悪くて読みにくいと感じた。
登場人物についても理解しにくいから、共感できないのが
残念だった。
真面目に書いているのだろうけど、『勢い』みたいなものが
あったら世界に入っていけたかも。 -
“「我々が『言葉』に縛られている?これを見ても、まだそう言えるかな?」
ロゴの肩が強く掴まれ、無理やり後ろを振り返される。さっき、広場で目撃した白髪の男の顔が眼前にあった。律儀に動き出す左手を抑える。
やはり間違いない。こいつは<破詞>だ。そして、コトモノだ。
ギラギラと強い眼力を放ちながら、<破詞>であるその男はロゴを見下ろすと、急に口を開いた。とたんに、ロゴの視線は男の口のなかへと釘付けになった。
男の口には舌がなかった。
舌だけではない。よく見ると、喉にも傷が走っている。
コトモノにとって命であるはずの、『言葉』を発する器官。
その器官が、目の前の男にはない。
男は自分の携帯電話を持った右手を掲げた。右手の指が携帯電話のボタンを打っていき、あの人工的な声が携帯電話のスピーカーから淡々と発せられる。
「我々は言葉を捨てた。『言葉』なき者なのだよ」
「そんな、そんなはず……」
必死にロゴは、自分が見たものの意味を捉えようとする。だけどもいくら考えても理屈に合わない。間違いなく、こいつはコトモノだ。コトモノのはずなのに。”
前巻同様最初から最後まですごく良かった。
何だろう、異色の生物と共存してるとことか先の読めない驚きの展開・行動とかがアンダカを思い出させてとても楽しめる。
出てくる登場人物一人一人が色濃くて薄っぺらくない。奥深い。
もちろんストーリーもとても奥深くて読み応えがある。
ロゴの性格がすごく好きだな。
イラストも素敵。
これからの展開が楽しみ。
ロゴの母がどう出てくるのか。
“「ロゴにいは……」
おずおずと上目づかいで由沙美はロゴに尋ねてきた。
「私がここにいてくれたら嬉しい?」
一瞬、ロゴは由沙美から視線を逸らした。心臓が大きく跳ね上がりそうになった。なんで自分がこんなに照れているのか、ロゴにもわからない。
だけど、真面目に答えなければならない問いだった。本心からロゴは答えた。
「すんげー嬉しいよ。決まってるだろ、そんなの」
何を当たり前なことを。そうロゴが思ったのも一瞬だった。
由沙美の顔が朱を通り越して、茹でタコのように真っ赤になった。”