皺 (ShoPro Books)

  • 小学館集英社プロダクション (2011年7月29日発売)
4.23
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感想 : 19
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  • Amazon.co.jp ・マンガ (176ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784796870917

作品紹介・あらすじ

息子夫婦に連れられ、老人ホームに入ることになった元銀行員のエミリオ。そこでは、たくさんの老人たちがそれぞれの「老い」を生きていた。やがて彼らは「アルツハイマー」という残酷な現実と向き合うことになり……。大切な人の顔も、思い出さえも、なにもかもが失われていくなかで、人生最後の日々に人は何を思うのか――。

まさに一本一本刻まれた「しわ」のように、さりげない描写を静かに積み重ね、2007年にフランスで刊行されるや話題となった表題作『皺』の他、スペイン内戦を背景に灯台守の老人と青年兵士の交流を描いた短編『灯台』を収録。

同作は2011年にアニメーション映画化され、スペインのアカデミー賞と呼ばれる第26回ゴヤ賞で最優秀アニメーション賞、最優秀脚本賞を受賞した。

感想・レビュー・書評

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  • 学校の図書室にてのレンタル。初期のアルツハイマー病であるエミリオが、老人介護施設に入れられ、残酷な老という現象と戦っていく話ですね、凄く胸が締め付けられるように切なくなりました。こんなに愛おしく愛すべき人間なのに自身の思いとは裏腹にアルツハイマーは進行していく、なんて病とは残酷なんだろうと感じました。しかし、ドローレスとドメスト夫妻のあのエピソードは意識がなくても昔の記憶は僅かは残るのだと感じまだ希望はもてたと思いました。灯台の話も普通に面白かったです。

  • バンド・デシネあるいはバンドシネ、略してB.D.

    言葉自体を知ったのはごく最近で、「え、なに?BL?」と勘違いした残念極まりないあたしであった。

    気を取り直してB.D.とは、ベルギー・フランスを中心とした地域のマンガのことらしい。一番有名なものはタンタンの冒険、あれだよ、といわれたらわかるのではないだろうか。英語に訳すとComic Stripsということで、「帯状のマンガ」のこと。(もちろんここでまたいささか下世話な想像をしたことはいうまでもない・・ははは)

    英語やフランス語は左から右に流れるので、絵本の見開きも圧倒的に左綴じで左>右にめくってゆく本が多い。目線は一定のまま左~右に流れるのでたいへん自然。以前日本語を学びかけていた海外の人に日本語は縦に流れて右から左に展開するから右綴じが多いんだよ、でも最近は横書きもあるからその場合は左綴じもありだよ、っていったら、本を手に取るまでどっちが開くか分からないなんて非常にエキサイティングだよね、でも、縦横と左右に目を動かしてたら、目が回りそうと笑っていた。

    ちなみに彼女は縦書きにこだわってメールをくれたが、失敬・大爆笑しちゃったことがある。













    いつまでたっても本題に入れないが、この作品。B.D.テイストの詰まった絵本である。全体に丸い造形と、明度と彩度が少し引き下げられた、ほんのり目に優しいカラリング。最初のストーリー、「皺」で描かれるのはアルツハイマーの気のあるエミリオと、相部屋のミゲルを中心とした、養老院の日々。愛想よさそうに見えたミゲルはなにかと年寄りからカネをむしっており、他の老人たちもみな、なんとなく手に余るヒトビトとして描かれる。日がな窓を見て、汽車旅行をしているつもりの女性。ひとりになったら宇宙人にさらわれると怖がる女性。夫婦で入居して奥さんは他の男性といちゃいちゃし始めてしまい、それをじっと眺める夫。でもその夫も実は、奥さんかどうかさえもわかっていないのである。

    でもその1階にいる面々はまだ、幸せなのだった。2階はみないほうがいい、とミゲルは言う。2回に行ったらもうそいつは終わりだ。2階は要介護者だけのフロアだったのである。

    2階にだけは行きたくない、そういうエミリオにミゲルは知恵を授ける。いわく、服装を整えることが第一だ。服がきちんと着られていればそれは、頭もちゃんとしているってことなんだからな。

    しかしエミリオはすこしずつ、いろいろなことがわからなくなってしまう。ミゲルがこれは服、これは靴下、と体のいたるところにマークをつけてくれるが、それさえも読めなくなるのだ。



    最後にはミゲルの顔が輪郭だけになり、そうして・・・


    帯に「えすとえむ」さんが、「あんなに美しく悲しい2ページを他に知りません」と書いているが、確かに。
    最後の2ページに何が書いてあったのか、それは作者からそれぞれの読者に託されるまっさらなメッセージなのかもしれない。

    この絵本の最初に引用として、「雪は消えるわけではない。雨に変わるのだ」というブッダの言葉が書かれている。最後のページを閉じた後にもう一度、そのコトバを見直してみると、もしかしたらまったく別の意味に、取れるかもしれない。

  • 【紙の本】金城学院大学図書館の検索はこちら↓
    https://opc.kinjo-u.ac.jp/

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    所在記号:726.1||ロカ
    資料番号:10214378
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  • まんが
    BD

  • おすすめ資料 第163回 (2012.11.9)
     
    教育をテーマにした優れた映像作品等に贈られる「日本賞」(NHK主催)。
    2012年の授賞式は10月25日に開催され、最優秀賞はスペインのアニメーション映画『皺(しわ)』が受賞しました。

    原作はスペイン・バレンシア生まれのマンガ家、パコ・ロカによる同名コミックArrugasです。
    老人ホームで暮らすふたりの男性の友情を通して「老い」を描いた本作品は、スペインから遠く離れた日本でも身近なテーマとして読むことができるでしょう。

    日本語版には、スペイン内戦を扱った「灯台」も同時収録されています。
    こちらの作品もスペイン語版El faroを図書館で揃えています。合わせてどうぞ。

  • <閲覧スタッフより>
    アルツハイマーを患い、介護施設へ入所したエミリオと、同室のミゲル。老人たちがそれぞれの“老い”と向き合う姿を描いた表題作の『皺』、そして、スペイン内戦期、ラピュータ島という平和の地を目指す青年フランシスコと灯台守のテルモの物語『灯台』の二編が収録されています。

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    所在記号:726.1||ロカ
    資料番号:10214378
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  • 映画版が見たい。

  • 友人絶賛のコミック。
    ・・・前評判があまりに良すぎて、期待しすぎて逆にあんまり(苦笑。

    一度目サラリと読んで、
    2度目3度目・・・読むたびに、じんわり心に沁みてきます。

  • 映画『しわ』(原題:Arrugas)公式サイト - 三鷹の森ジブリ美術館ライブラリー
    http://www.ghibli-museum.jp/shiwa/

    小学館集英社プロダクションのPR
    「第15回文化庁メディア芸術祭マンガ部門優秀賞!
    「かなしいのに、どこかあたたかい。物語の最後。あんなに美しく悲しい2ページを他に知りません。」
    ――えすとえむ(漫画家)
    スペイン発、「老い」と向き合った話題のコミックがついに日本上陸!

    内容紹介


    息子夫婦に連れられ、老人ホームに入ることになった元銀行員のエミリオ。そこでは、たくさんの老人たちがそれぞれの「老い」を生きていた。やがて彼らは「アルツハイマー」という残酷な現実と向き合うことになり……。大切な人の顔も、思い出さえも、なにもかもが失われていくなかで、人生最後の日々に人は何を思うのか――。
    まさに一本一本刻まれた「しわ」のように、さりげない描写を静かに積み重ね、2007年にフランスで刊行されるや話題となった表題作『皺』の他、スペイン内戦を背景に灯台守の老人と青年兵士の交流を描いた短編『灯台』を収録。
    【三鷹の森ジブリ美術館配給にてアニメ映画『しわ』6月22日公開決定!】」

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著者プロフィール

パコ・ロカ[著]……1969年、スペイン・ヴァレンシア生まれ。2007年にフランスで出版された『皺』(小社刊行)が話題となり、人気がヨーロッパ中に拡大。同書はアニメーション映画にもなり、日本でも第15回文化庁メディア芸術祭マンガ部門で優秀賞を受賞した。

「2018年 『家』 で使われていた紹介文から引用しています。」

パコ・ロカの作品

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