4%の宇宙 宇宙の96%を支配する“見えない物質"と“見えないエネルギー"の正体に迫る

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  • Amazon.co.jp ・本 (376ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784797365788

作品紹介・あらすじ

宇宙の運命を握るダークサイドに100名もの科学者が言葉を失った…。この途方もない宇宙の真実を生々しく描き切ったノンフィクションの傑作。

感想・レビュー・書評

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  • 「4%の宇宙」(リチャード・パネク : 谷口義明 訳)を読んだ。
副題が「宇宙の96%を支配する“見えない物質"と“見えないエネルギー"の正体に迫る」
    
ダーク・マターとダーク・エネルギーにまつわる人々のドラマ(ノンフィクション)が生々しい。
    
とても面白かったのですが、13年前に書かれたものなのでその後何か進展があったのかなと調べたけれど、あまり目新しいことにはなっていないようですね。
    
『「おいおい、わからないのかい?銀河はここで終わっている。つまり星が見えているのはここまでだ。しかし、回転曲線はそのはるか外側までフラットになっているだろう。いったいそこになにがあるんだ?星はないんだ。なにが質量を担っているんだい?」誰もが固唾をのんで写真に見入った。(中略)なにもないと思っていたところに、なにかがある。』(本文より)
    
上質のミステリー小説みたいですよね。

  • 宇宙の年齢:137.5億年
    質量は
    原子(バリオン):4.56%
    暗黒エネルギー:72.8%
    暗黒物質:22.7%
    Ωは1で宇宙は平坦(膨張し続ける)
    科学者たちの熾烈な戦いと最新の発見の数々。
    ただ、登場人物が多すぎてちょっと読みづらい。

  • 宇宙の構成要素のうち、現在判明しているのはたった4%。あとの3割は現在の技術では観測できない暗黒物質、残りの7割はもっとわけわからんエネルギー、どうしてこうなった?てのをプラトンから始まる天文学の歴史を紐解きつつ、20世紀半ばまでは観測中心だった学問が、相対性理論、ビッグバン仮説と、理論物理学との両輪で宇宙の謎を解き明かそうと発展してきた一連の流れを分かりやすく教えてくれます。

    なによりこの本は、信じられない測定結果に直面した時の学者さんの葛藤、ライバル同士の嫉妬、とえらく人間臭いドラマが上手く盛り込まれてて、最後まで飽きずに一気に読ませられたおかげでまあこんな時間 orz 訳者はハッブル望遠鏡プロジェクトに参加されてる一流の天文学者さんですが、この方も良い仕事してはります(-_-)

    ちなみに、暗黒物質については大体の分布がつかめてるそうで、あとはがんばれ素粒子なみなさん!

  • 確かに最新の宇宙論に至るまでの、近代天文学の歴史をてんこ盛りにしてくれてるのはいいのだが、主格がバンバン変わって、「これって、誰の話?」っていうのがわかりにくくなる。登場人物の写真も、全然その人が出てくるページじゃなかったりして、とにかくイメージの付けにくい本。内容はおもしろいけど、本としてはイマイチ。

  • 暗黒物質(ダークマター)、ダークエネルギーと言う言葉はご存知でしょうか?

    現在の宇宙論では、これら暗黒物質とダークエネルギーが合わせて全宇宙の約96%を占め、私達が馴染んできた炭素原子や水素原子と言った通常物質と熱エネルギーや運動エネルギー等と言った従来の方法で観測できるエネルギーは残りのわずか約4%でしかないとされています。

    #本書の題名で使われている4%はお察しの通り、通常物質+(従来の方法で観測できる)エネルギーが宇宙で占める割合から取ってきたものです。

    とは言え、いきなり暗黒物質とダークエネルギーが宇宙の殆どを占めていると言われた所で、暗黒物質って?、ダークエネルギーって?と思われるかも知れません。

    実際、これらの正体は未だ解明されておらず、また観測もされていないと言う代物。

    本書は、この様に「本当にその様なものがあるのか」と言った疑問の声が上がっても全く不思議ではない暗黒物質とダークエネルギーが、なぜ現代宇宙論では存在していると考えられるまでに至ったかを、宇宙論発展の歴史を紐解きながら読者に解説しています。

    また、宇宙論の発展の歴史を丁寧に追うことによって、(正直、いきなり言われると胡散臭さを感じてしまう)暗黒物質とダークエネルギーが存在しているとの考えが、説得力のあるものだと納得できる内容となっています。


    では、以下に簡単に内容紹介。

    かつて、なんら具体的な検証がされなかった為、科学と言うよりは形而上学的な学問だと思われていた宇宙論。
    しかし、宇宙論は、ビッグバン理論の提唱とそれが予測する宇宙マイクロ波背景放射が観測されたことにより、急速に検証可能な存在、つまり科学として生まれ変わった。

    また、アメリカ人天文学者・エドウィン・ハッブルが、宇宙が膨張している事を観測していた事により、

    「宇宙はこのまま膨張し続けるのか? それとも将来、縮小するのか? あるいは膨張も縮小もしない状態に落ち着くのか? もし膨張していくとしたら、なぜ物質間で働く引力が存在しているにも関わらず膨張していくのか?」

    と言った疑問が浮上。

    加えて、アンドロメダ銀河など円盤状の形態を持つ銀河系は、銀河内で働く引力を計算すると、円盤状ではなく棒状でなければいけないと思われるのに円盤状になっているのはなぜかとの疑問も浮上。

    特に銀河系の形状に関する疑問からは、銀河系の周囲に"目に見えない"存在があれば、銀河系が棒状ではなく円盤状になることが分かり、これら"目に見えない"存在(暗黒物質、ダークエネルギー)が示唆される。

    その上、超新星を観測することにより、これらの天体と地球との距離がどの位のスピードで拡大して行っているのかを確認した結果、私達が馴染んできた炭素原子や水素原子と言った通常物質と熱エネルギーや運動エネルギー等と言った従来の方法で観測できるエネルギーだけでは、宇宙膨張のスピードが説明できない事も判明。

    その結果、銀河の形状と宇宙膨張のスピードの両面から、暗黒物質とダークエネルギーの存在が間違いないであろうと見なされる様になった。

    現在は、これらを観測しようと様々な努力が重ねられ、またこれらの存在を説明する理論の登場が待ち望まれている。


    取り上げているテーマが宇宙論という事もあり、本書には当然専門的な解説も載っています。
    しかし、本書は単なる最新宇宙論の解説本ではなく、世代を超えて宇宙研究に取り組んできた科学者たちの姿に焦点を当てて執筆されたノンフィクションであり、専門知識がなくても、宇宙に対する興味さえあれば最後まで十分読みきる事が出来ると思います。

    特に、素粒子物理学者チームと天文学者チームが激しい超新星観測競争を繰り広げた事や、ビッグバン理論の名称で使われいる"ビッグバン"は、当時のイギリス人天文学者がラジオでこの理論の提唱者に対して、大ぼら吹きめ(英語のスラングでは大ぼら吹きの事をビッグバンと呼ぶ)と罵ったことを切っ掛けに理論の名称として使われるようになったこと等、様々なエピソードが満載されていますので、ヒューマンドラマを描いた本としても十分楽しめるのではないでしょうか。


    暗黒物質とダークエネルギーの存在に対する説得力のある解説はもちろん、激しい先陣争いを繰り広げる科学者たちの様子も描いた本書。

    おすすめの一冊です。

  • 面白かった、一気に読んでしまった。研究者の人間ドラマが横糸となっていて興味が途切れなかった。

  • 暗黒物質、暗黒エネルギーを天文学、物理学界が受け入れるに至る経緯を人物ドラマ風に描いている。これらの話をトピックとしては知っているが、その経緯も含めて具体的、詳細に知りたい、となったときに有用。
    途中経過における誤りも含んで記述されるので結論、エッセンスだけが知りたいと思うと少しじれったい。
    何せとてつもなくホットで革命的なトピックだから、書籍ではやや情報が遅いくらいだが、良書は押さえていきたい。

  • 4%位しか暗黒物質の事が書いてありません。
    あとは発見までの歴史です。
    最新の研究を知りたい人には不向きです。

  • 20111203Amazon

  • セミナーを聞いて成果を上げる人は1%に過ぎないとか、夢の実現に向けて人生を歩む人は3%に過ぎない(ジョブズの本)と言われていますが、今度は4%の宇宙です。民主党の内閣支持率よりも低いこの数字は、宇宙でたった4%の中に我々がいるということなんです。もちろん宇宙は広いので、存在そのものが小さいことはわかりますが、その宇宙そのもの自体が、96%は未知の暗黒物質と暗黒エネルギーでできていると。

    暗黒なんて言うと、なんとなく宇宙戦艦ヤマトやスターウォーズを思い浮かべてしみますが、そもそも未知のもの言うのがどうして96%あるとわかるのか、それが不思議で、昨日の日曜日1日かけて読んでいました。で、なるほどねえ、、なんです(笑)

    人類が星を見上げるようになって4000年、望遠鏡で観測し始めて400年。宇宙に関して肉眼で見えないものが見えて、さまざまなことがわかってきたのですが、望遠鏡でも見えないものは、数学や物理の世界で分かってくるということなんでしょう。

    学生のときに相対性理論も量子力学も習った記憶だけで、中身が完全に抜け落ちている身としては難しいことはよくわからないです。ただ、この本は研究者が書いたものではなくサイエンスライターが取材に基づき書いたもの。そのために、難しい理論先行と言うよりは、ドキュメンタリーを見ているような感じだったので手にしたわけです。とにかく世の中にはいろんな研究をしている人がいるものですね。

    宇宙が膨張し続けたら、最終的に宇宙は絶対零度に向かって永遠に冷却し続けることを意味するらしいです。地球は温暖化と言うけど、宇宙は冷えていくのだろうか?宇宙の終焉はもちろん我々の終焉でもあるのだけど、そんな壮大なことを思うと日々の営みの小さいこと、、、でも、その小さいことにも誇りがあるから生きていけるのだろうなあ。

    なかなか面白く読めた一冊です(夏休み最後の日曜日の宿題?)

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