ファタモルガーナの館-The house in Fata morgana- あなたの原典に至る物語V (GA文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (400ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784797381405

作品紹介・あらすじ

『……ミシェル?』
ジゼルが不安そうに顔を覗き込む仕草が、脳裏に浮かんだ。
「君にも――いや、君にこそ、この光や風を感じて欲しかった」
『大丈夫ですよ、ミシェル! だって――あなたがきっと、この闇を取り払ってくれるわ!』
悩むことはもう、終わらせなければ。今は何かを変えられるのだと信じ突き進むしかない。振り返ったり、足踏みをしている時期はとうに過ぎ去ったのだ!
君をそこから助け出してみせる。
そして、モルガーナの呪いを断ち切ってみせる!!
――館にかかわる真実が明かされる、衝撃と驚愕の最終巻!

感想・レビュー・書評

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  • この一冊分の話は「始まりを~」の方には一切なかった。
    「始まりを~」の方の終わりかたも好きだが、因果とするにはいささか根拠が薄いような気がしたから、モルガーナの物語自体に深みが出てきて面白くなった。
    「始まりを~」でも根拠としては分からなくもないが、逆恨みとしては過剰ともいえるような復讐のような気もしたが、あんな人生を送っていたのなら納得した。
    まさか彼女たちも因果に関わっているとは……。意外。

    モルガーナもただの悪い魔女ではなく、辛い思いもたくさんした普通の少女だったということが印象的。
    彼女にとっては母親も誰も、何もかも信じられない中で、娼館の彼女たちや、傷跡を消すための薬を塗ってくれるあの青年だけが信じることができ、なおかつ安心できる存在だったと思うと切ない。
    モルガーナの生きた時代の信仰を鑑みたとしても、聖女と魔女が紙一重というのが何とも言えないし、皮肉なことだと思う。

    ヤコポの話が一番切なかったが、一番好き。
    彼のような非力な青年が力を持って君臨するような話は作品とは関係ないが、個人的に好き。
    ヤコポの見た目も作中の人物の中で一番好きだった。

    そういえば、ミシェルがモルガーナのいた世界の因果を変えることでその後の悲劇を起こさせないようにする話と白い髪の少女の謎が矛盾しているような気がするのは気のせいだろうか?
    ミシェルが因果を変えようとしなければ白い髪の少女は登場しないし、彼女が登場しなければミシェルが因果を変えようとはしなかったと思うし……。
    親殺しのパラドクスみたい。

    それにしてもこんなに面白い小説は久しぶりに読んだ。
    世界観も設定も自分好みであったため、これで完結なのは残念な気もする。
    願わくば彼らの来世に幸あらんことを。

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著者プロフィール

『レイトン教授VS逆転裁判』等のゲームデザイン、シナリオを担当。自身を中心とした制作チームによる同人ゲーム「ファタモルガーナの館」で人気を博す。小説はほかにMF文庫J刊「モーテ」等がある。

「2016年 『ファタモルガーナの館-The house in Fata morgana- あなたの原典に至る物語Ⅴ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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