日本人の9割が知らない遺伝の真実 (SB新書)

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  • Amazon.co.jp ・本 (224ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784797389746

感想・レビュー・書評

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  • 「生まれが9割の世界をどう生きるか」を先に読み終わって、本著も読んだのだが、内容が重複する箇所が多かったため星3つ。

  • 子供の能力を伸ばすために親ができることは、長期的に見ればほとんどないと知り、とても気が楽になった。
    驚いたけれど、自分の人生を振り返ってみても納得できる内容だった。
    子どもと一緒に過ごせる時間を大切に、楽しく過ごそう。

  • 橘玲が「言ってはいけない」の参考書籍にした本の著者の本。ということで、書いてある事実はある程度重複している。ちょっと真面目に書いてある分だけ、ちょっと面白みが少ない。
    最後の方に教育制度や社会制度についての論考が書いてあるが、この部分は、論理が上滑りしていて、説得力がない。やはり、餅は餅屋。専門知識と練りこまれた考察によって優れた論理を展開できる分野は限られているなあ。

  • 少し前に読んだ「天才を考察する」とは対象的な論旨だが、こっちのほうが納得。

  • 著者自ら「橘玲さんの『言ってはいけない』の便乗本」とおっしゃっているところに好奇心が湧き、積読リストに入れていました。
    『言ってはいけない』のインパクトは強烈でしたから。。

    行動遺伝学の双生児研究(一卵性双生児と二卵性双生児の類似性の比較)により、人間の身体や知能、性格、才能などが環境や遺伝にどの程度影響しているのかの研究結果を紹介し、行動遺伝学に基づき、今後の社会をどのように作っていくべきかの提案もされていました。
    これらが形成される要因は、遺伝、共有環境(双子が共有している親との家庭環境)、非共有環境(双子が共有しない親以外の友人などの人間関係・学校などの環境)の3つで構成されるそうですが
    ・身長・体重・指紋などは90%以上が遺伝であるのに対し、
    ・知能(IQ)は遺伝50%、共有環境35%、非共有環境15%で決定されるとされているが、歳を追うごとに遺伝の影響が大きくなるとされ、
    ・学業成績は遺伝70%、共有10%、、非共有20%
    ・神経質、外向性、同調性などの性格は遺伝50%、非共有50%で共有である家庭環境はほとんど影響しないとし、
    ・音楽や執筆、数学スポーツなどの才能は軒並み遺伝が80%を超え、残りは非共有となる
    ・統合失調症、自閉症、ADHDなどの発達障害は、遺伝が80%を超えるのに対し、うつ傾向だけは遺伝が40%。残りは非共有
    ・アル中やマリファナ、煙草などの物質依存は遺伝50%、共有・非共有が概ね25%程度、ギャンブルだけは遺伝50%、非共有50%で家庭環境は影響ない
    としていました。

    家庭環境による影響が意外と少ないこと、逆に遺伝による影響が大きいことは先述の橘さんの本で読み知っていましたが、ふつう長く生きていれば、それだけ環境の影響が大きくなりそうな気がするのに実際には、長く生きるほど遺伝的素質があぶりだされてくることに一番驚きました。

  • 無理にゴリゴリ子供を勉強させるのをやめよう、と本気で思える一冊✨✨

  • おすすめの一冊。遺伝について研究で得られたことを一般向けに解説するとともに、教育のあり方を議論する。

    p37「知能とは、知能検査ではかられる能力である」というのは目からうろこであった。このような定義を操作的定義と呼ぶ。(反対は概念的定義。)操作的定義によって定量的研究が可能となった。従って言葉が示す一般的な意味からずれているかもしれないので注意が必要。

    遺伝の影響は一卵性双生児と二卵性双生児の比較から主にえられた。「共有環境」は遺伝以外の、二人を似させようとするもの、であり、「非共有環境」は二人を異ならせようとするもの。

    双子の身長や数学・音楽能力などの相関係数を算出する。
    一番簡単なモデル計算では、「二卵性双生児は遺伝の影響は一卵性の半分しかない。」「1ー相関係数=非共有環境」などを使って、相関係数からその形質が遺伝によるのか、共有あるいは非共有環境によるのか切り分ける。(相関係数ってわったり足したり引いたりする意味あるのですね。ビックリ。)

    そのように計算すると、ほとんどの要素は遺伝と非共有環境で決まると。これまた衝撃。。共有環境庭教育)とかは意味ないのかとかいう疑問に対して筆者の立場が述べられている。考えさせられる。

    教育が受けられる人・受けられない人がいるときはその差が大きいが、全員がだいたい教育をうけられるようになると、遺伝の差がもろにでる。など。

  • 世の中は不公平であると常に感じているが、遺伝も理由の1つで、体型、病気、頭の良さなどは、環境とともに影響がある部分だと思っている。

    しかし、側から見て、遺伝で受け継いだ長所を活かせていない人も多くいる。自分はどうかというと、不足のところばかりだから、少しでも優秀な人に近づきたいと思うと同時に求められることに、感謝して取り組んでいる。

    世の中からいただいたものは不公平だが、これを磨く努力は誰でもできる。

  • 『感想』
    〇能力にもいろいろあるが、ほとんどで50%~80%が遺伝によって影響を受ける。残りは非共有環境の影響であり、共有環境つまり家庭環境は影響をほとんど与えないと言われている。

    〇身体や才能の部分は遺伝によって影響を受けていることがわかるし、そこで不満も出てこないが、知能も同じであるといわれると、どこか納得できないところがある。努力が大事という考えから離れているからね。また親や学校の教育で苦労していることは何なんだという寂しい気持ち。

    〇今は知能が大事な時代で、昔と違って身分や環境でそもそも競争に加われもしないことはないのだから、その遺伝子があるかどうかは重要かもしれない。しかし今後どの力が重要になるかはわからない。

    〇遺伝がどうとか言ったって今更仕方のないことなのだから、まずは今できることをやろうじゃないか。素質はあっても努力せず、その力を生かせていない人はいっぱいいるはず。文句を言うのは自分の限界までやって超えられない一線をしっかり認識したときだ。

    〇年齢が上がるほど遺伝の影響力が大きくなるとは面白い。確かに子どものころより大人にそれも成熟してからのほうが、自分のやりたいこと知りたいことってわかってくる。これは遺伝子が内側から導いてくれているのかもしれないな。

    『フレーズ』
    ・注意していただきたいのは、どんな能力も社会的に認知されて初めて「能力」として定義されるということです。(p.39)

    ・科学技術の背後には、膨大な知識が存在しており、それを理解して使いこなすには抽象的な概念を扱える知的能力が必要になってきます。(p.45)

    ・私たちは子どものころから、それがなぜどのようにして出来上がったのかがよくわからない文化的知識の産物の大海に投げ込まれ、常に知識を学び、抽象化し、隠れた規則を推理し、それを別の場面にあてはめ、その正しさを確認しながら、おぼれずに泳いで生きてゆかねばなりません。(p.47)

    ・現代は、かつては天才やエリート層にしか求められていなかった賢さ、つまり知的能力が、あらゆる人に要求されるようになった時代だといえます。(略)昔はそれを学ぶ境遇にあったかなかったかが、そうした知的能力の個人差の決定因でした。誰もが学べるようになったいま、その能力の個人差に遺伝の差がはっきりと表れるようになったのです。(p.49)

    ・年齢が上がるほど遺伝の影響が大きくなっていくことがわかります。(略)人間は年齢とともに経験を重ねていくわけですから、環境の影響が大きくなっていきそうなものですが、実際は逆なのです。つまり、人間は年齢を重ねてさまざまな環境にさらされるうちに、遺伝的な素質が引き出されて、本来の自分自身になっていくようすが行動遺伝学からは示唆されます。(p.117)

  • 著者自らが便乗本と言い切ってしまっている。
    遺伝とか才能の何故かみんなが知ってる経験則を裏付けた話。
    その人の知能は遺伝と家庭環境で7割から9割が決まってしまうから努力の方向性は考えないといけない、が才能自体は遺伝とはあまり関係がないとか。
    教育はどうすべきか、自分や子供の才能はどうやって見つければいいのかなど、知ってた、なものから、へぇ~ってなる話まで、色々学問って進んでいくのだと面白かった。

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著者プロフィール

慶應義塾大学文学部教授
主要著作・論文:『生まれが9割の世界をどう生きるか―遺伝と環境による不平等な現実を生き抜く処方箋』(SBクリエイティブ,2022年),『なぜヒトは学ぶのか―教育を生物学的に考える』(講談社,2018年),『遺伝と環境の心理学―人間行動遺伝学入門』(培風館,2014年)など

「2023年 『教育の起源を探る 進化と文化の視点から』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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