人工知能に哲学を教えたら (SB新書)

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  • Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784797392616

作品紹介・あらすじ

「使える哲学」とはなにか?
AIロボット、ドローン、自動運転。シンギュラリティの恐怖も叫ばれる中、いよいよ活気づいてきた人工知能の世界。アメリカではすでにUberによるタクシーの自動運転が実践化されているといいます。しかし、一方でAIが紛争や殺人に使われる懸念があるなど、モラルや倫理がは追いついていない状況に見えます。
果たして、「合理的で」「最適な」答えを出す、人工知能にどうすれば「考え方」を与えられるのか。

本書では、哲学だけでなく、テクノロジーやITまで幅広い分野に造詣の深い岡本先生に、「人工知能に哲学を教える」という設定のもと、「究極な問い」を立てながら、哲学はそれにどうこたえるか…の考え方を提示いただきます。話題の人工知能と哲学を掛け合わせることで、「哲学のおもしろさ」を味わってもらう1冊を目指します。

感想・レビュー・書評

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  • 人工知能と哲学、なんてワクワクするタイトルだろう。読まなくても自分の中に妄想が膨らんでいくのがわかる、危険なフレーズである。人間とはなんなのかを悩み続ける主体が気付けば自分も人工知能だったなど星新一が何十作も書いてそうなありきたりな妄想に勤しみながら読むことを決意した。

    大学で哲学を教えているという筆者が人工知能と哲学(ここでいう哲学は主に倫理面だ)について様々な面からあり方を考えるものだ。全ての章が巧妙に純粋な希哲学者の私の興味をせっせと引いてくる。万有引力を実感した。その中でも特に面白かったトピックは1章の「AIvs正義」や3章の「AIvs芸術家」や5章の「AIvs労働者」などである。どうだろう、これが面白そうに見える人とはとても気が合うと思う。

    本文はトピックに関連して過去に議論された思考実験や筆者の創造などが混ざり合って面白いものになっている。どこまで内容が有効なのかはわからないが、読みながら自分の妄想に取り込む材料としてはもってこいな内容だと思う。内容について細かく話したいがいかんせn興味深い内容なので本分量にも負けないほどの文量で書いてしまいそうなので遠慮しておく。

    1番印象的だったのは「人間主義の終わり」というフレーズだ。確かに人権や倫理観について人工知能にも当てはめると人間の範囲がどんどん広がると感じた。ただ変に拗らせてハルマゲドン信仰などに入れ込まないように注意したい。我々人類にとって最も大切にするのはなんなのか、全ての思考を人工知能に任せる世界になる前にもう一度考えるべきではないだろうか。

  • 本書は、あくまでも「人工知能に哲学を教えたら」どうなるか?という思考実験である。
    実際にそのような実験を行ったわけではなく、哲学・倫理学を専門とする著者による思考実験でしかない。
    その発想は面白いが、人工知能の専門家ではないため、「人工知能」が何を指すのか、定義があいまいなまま(著者にとっては明確になっているのかもしれないが)、思考が進んでいるように見えてしまった。
    正義、脳、芸術、恋愛、宗教、遺伝子といったテーマごとに章が分かれているので、興味のある分野をかいつまんで読めるのはよい。
    自分の興味のあるテーマについて、読みながら自分自身でも「思考実験」すれば、より思考が深まるだろう。
    切り口は面白いので、考えるきっかけにはなるであろう一冊。

  • 哲学者の視点から人工知能を考えた本で、思考実験という形で色々なテーマを考えてみる本、とても勉強になりました。「ホモ・デウス」でも正しさをジャッジするのに倫理の問題というのが大きく関与していたと思うけど、AIは無人化の形で意思決定をするものであるから、主体として倫理が問われる存在であるということかな。テーマは、「正義」「脳」「芸術家」「恋愛」「労働者」「宗教」「遺伝子」の7つだけど結論から言うと、程度問題という形で白黒は付けられない感じだけど、データ化が進めば人工知能はかなりのところで人間に近づき、超えていくことは間違いないなという印象を持った。世の中はAIを使う人とAIに使われる人に分かれてしまうことも説得力がある。そして、リカレントではないけれども、時代時代で自分の役割を再確認し、自分を順応させられる人だけが生き残れるのだなと改めて考えさせられました。

  • 個人的な読書メモです

    哲学の思考実験はこれまでの常識を考え直すきっかけになった
    「決断」とは高度な思考である
    「フレーム問題」 人間が決断出来るのは人間が有限な処理能力しかもっていないから。あらかじめ情報のフレーム(枠)を限定している
    実際には無限の情報があるので決断が出来なくなる

    芸術の評価は客観的にはありえない、それは個人的な好みや趣味判断の表現以上のものではない。芸術の評価とは純粋に主観的なことがらである
    芸術には「権力価値」と「市場価値」がある

    学校の語源は古代ギリシャ語の「スコレー」にあると言われ、その意味は「暇」である
    「主人と奴隷」のパラドックス

    人工知能と宗教 一人ひとりの生き方に合わせた「カスタマイズ化された神」が作られる

    人間主義(ヒューマニズム)が終わりを迎えている

  • 九州産業大学図書館 蔵書検索(OPAC)へ↓
    https://leaf.kyusan-u.ac.jp/opac/volume/1370964

  • ふむ

  • こういうの初めて読んだ。面白かった!
    AIとずっと喧嘩しよう!

  • 全てを理解できたわけではないが、トロッコ問題の例示が興味深かった。
    自動運転にその問題を応用した場合、一体何が正解なのか。

  • 変化・進化の早いAIの世界。4年前の本だけど、本質的なことが書かれているので、なるほど。という内容です。

  • タイトルがまず面白い。

    自動運転など、問題がまだまだある。そう感じさせられた。
    AIはもうすでに知能を持っている。そう思う。

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著者プロフィール

玉川大学文学部名誉教授。九州大学大学院文学研究科単位取得退学、博士(文学)九州大学。専門分野:哲学・倫理学。主要業績:『異議あり!生命・環境倫理学』(単著、ナカニシヤ出版、2002年)、『ネオ・プラグマティズムとは何か』(単著、ナカニシヤ出版、2012年)

「2019年 『哲学は環境問題に使えるのか』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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