数学ガールの秘密ノート/行列が描くもの (数学ガールの秘密ノートシリーズ)
- SBクリエイティブ (2018年10月17日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (336ページ)
- / ISBN・EAN: 9784797395303
作品紹介・あらすじ
「僕」と三人の数学ガールたちとの数学トークを通して中高生レベルの数学を楽しく学ぶシリーズの第10作目です。
本書のテーマは、「行列」です。
行列の知識は、数学を活用していくために必須です。たとえば、機械学習やディープラーニングを理解するとき、コンピュータを使って数式処理や数値計算を行うとき、ゲーム開発、画像処理、コンピュータグラフィクス、アートなどの多彩な分野を学ぶときなどに、行列の知識は欠かせません。
行列はまた、高校で学ぶ多くの分野を関連づけて学べる題材でもあります。複素数、ベクトル、三角関数、図形の面積に関わる幾何学、交換法則や結合法則といった代数学の法則などに行列は関わっています。
本書では、行列に関する用語や計算方法から始まり、行列の多彩な側面に触れながら行列の基礎知識を学んでいきます。高校の新課程では行列が消えてしまったため、大学に入れば必ず学ぶ線形代数の前準備としても本書は大きく役立つでしょう。
●各章の内容
第1章では、行列がどんなものであるかを学びます。行列の足し算と引き算を具体的に計算しながら、数と行列の似ているところと違うところがどこにあるかを体験し、零行列を定義します。
第2章では、行列の積について学びます。足し算における0と、掛け算における1の類似性に注目しながら、行列の積に親しみ、単位行列を定義します。逆数と逆行列の対比や、数と行列の大きな違いの一つである零因子についても学びます。
第3章では、行列が作り出す図形の変換を学びます。行列が作る一次変換によって座標平面全体がどのような変形を受けるか、具体的な行列とたくさんの図を通して楽しみます。行列とベクトルの関係、行列と三角関数の関係、行列と複素数の関係など、数学の多くの分野の関係についても理解を深めます。
第4章では、行列の計算に登場する法則を探ります。交換法則が一般には成り立たないこと、結合法則は成り立つことなどを具体的に確かめます。そして、複素数と行列の不思議な関係について議論しながら理解を深めていきます。イメージのとらえにくい虚数iを具体的に作ったり、行列と三角関数の関係を学んだりします。
第5章では、ベクトルの内積と行列式の関係について学びます。行列の積と行列式の関係、図形の面積と行列式の関係、そして連立方程式の解と行列式の関係についても学びます。
感想・レビュー・書評
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数学ガールの秘密ノートシリーズの最新作。今回は行列編(最近の高校生は学ばないらしい)。
表紙を見てちょっとビックリした。女の子が4人いる(というよりも、リサがいる)。本編では高校3年生だけど、秘密ノートシリーズのほうも3年生に進学したのか(と思ったけど、秘密ノートシリーズも高3のつもりだったのだろうか? リサがでてこないだけで)。
それより、主人公の『僕』って、ことあるごとにすぐに人を褒めるキャラだなと今作は強く思った。その性格についてのメタ的な会話もあったし。ユーリにはともかく、リサにまで褒めているところはちょっと笑った(それに対するリサの反応が独特で面白い。なんだよ「(呟)」って)。
ただ、行列の話となるとどうしても二次の正方行列の話がメインになるらしいのだけど、もう少しそれ以外の話もほしかったなと思った。三次以上の正方行列だと逆行列をどう求めるかとか。
後、問題4-1で座標平面上を(x,y)から(x+1,y)というように右に1だけ平行移動する行列はできるかという問題で、答えが「できません」とあるのはいいのだけど、平行移動用に余分な一次元を追加して三次元にすればできるというようなことは書いてあってもよかったんじゃないかと思った。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
習ったが意味を理解できなかった行列が少し理解できたような
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中学生にも分かりそうな内容から始めて、線型変換、行列式、連立方程式との関係まで、行列の奥深い世界を見せてくれる傑作。説明も鮮やか。
初めて行列に出くわした時に抱いた苦手意識とモヤモヤが氷解した。
中学生のときに『数学ガール』シリーズに出会っていたら、数学に対する苦手意識はかなり軽減されたんじゃないかなと思う。それくらい、数学の楽しさと親しみやすさを教えてくれる本だった。 -
[初版] 2018年10月25日
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数学ガールは間違いがない
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請求記号 410.4/Y 99
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高校課程で履修していない行列についての本でした。
行列について一から定義を確認するステップを踏みながら進んでいくので非常に分かりやすい良書となっています。もちろん、この一冊で全てを理解できるわけではありませんが、自分で手を動かし、考えることで行列が示すものの一端を垣間見ることができたと思います。